在宅介護

要介護認定とは?申請方法と判定方法について知っておこう

親御さん、ないしは祖父母の様子がおかしくなり、日々の生活に影響を及ぼすようになったら、「いよいよ介護が必要なのか」と不安になります。

介護生活に欠かせない介護保険制度については概ねご存知かもしれませんが、介護保険を利用できるようになるための「要介護認定」についても詳しく知っておかなければなりません。

今回は、この要介護認定について、申請から認定の流れや、要介護度の区分などをわかりやすく解説します。

1.高齢者の体の不安を発見したら、「要支援」かも

トイレやお風呂に行くのに「きちんと用が足せたか」「転んでケガをしたりしないか」と不安を感じ始めたら、もしかしたらすでに要介護の一歩手前、「要支援」の程度かもしれません。

実際に、トイレやお風呂の入り口まで付き添ったり、立ち上がりの際に手を貸したりしているのであれば、要介護の一歩手前の「要支援」とされる可能性は低くはありません。

要支援は1と2に分かれますが、基本的な生活行動は自ら行えるものの、ときに人の手を借りなければならない・多少の物忘れで少々困っている段階です。これ以上その状態がひどくならないよう「支援が求められる」とされるのが、要支援1ないしは2と判定される方です。

2.要介護認定とは?どのように行われる?

上記のような日常生活の中のケアは、家族として自然に行っていることかもしれません。しかしながら、そのためにいつも誰かが家にいなければならない、どんどん手助けが必要になってきた、となれば、要介護認定を申請してみてはいかがでしょうか。

介護は、ときに何年にもわたって続くことがあります。「お父さん(お母さん・おじいちゃん・おばあちゃん)には長生きして欲しいけど、この生活がこれから先どのくらい続くかわからない…これでは自分や家族が疲れ切ってしまう」という状態をサポートしてくれるのが介護保険制度です。ご本人のためにも、介護をされる方にとっても、公的サポートは重要です。

介護保険を活用し、これら公的サポートを利用するために必要なのが「要介護認定」です。

ある調査によると、介護の平均的な期間は「4年11カ月」とされています。その中で「10年以上」と回答した方が15.9%を占めました(介護にはどれくらいの年数・費用がかかる?│公益財団法人生命保険文化センター)。

要介護認定申請して認定を受けられるようであれば、利用できるサービスを利用しながら、介護者の健康を保つことも重要な視点です。

2-1.要介護認定とは

厚生労働省では、要介護認定について以下のように定めています。

  • 保険制度では、寝たきりや認知症等で常時介護を必要とする状態(要介護状態)になった場合や、家事や身支度等の日常生活に支援が必要であり、特に介護予防サービスが効果的な状態(要支援状態)になった場合に、介護サービスを受けることができる。
  • この要介護状態や要支援状態にあるかどうか、その中でどの程度かの判定を行うのが要介護認定(要支援認定を含む。以下同じ)であり、保険者である市町村に設置される介護認定審査会において判定される。
  • 要介護認定は介護サービスの給付額に結びつくことから、その基準については全国一律に客観的に定める。

要介護認定に係る制度の概要(1 要介護認定とは)│厚生労働省

要介護(要支援)と認められれば、その程度に見合った介護サービスを介護保険を利用して活用することができます。

2-2.要介護認定を申請する前に試してみたいこと

市町村で行う認定審査とほぼ同等のチェック項目を、スマートフォンのアプリで試してみることができます。「まだ申請は早いかも」という段階でときどきこのようなチェックをしておくと、申請時期の見逃しを減らすことができるでしょう(要介護認定 一時判定│OKAYA SYSTEM CO.,LTD.)。

しかしながら、このようなアプリでの“判定結果”は、あくまでも目安であることを忘れないようにしてください。

3.要介護認定の申請方法と判定方法

要介護認定を申請する前に、まず地域包括支援センターや市町村の福祉の窓口で相談をしてください。ケアマネージャーなど、介護の専門家が相談を受けてくれます。申請の必要性が感じられたら、その旨を教えてくれます。

3-1.申請から判定まで

要介護認定を受けるまでには、以下のステップを踏みます。

  • 申請
  • 認定調査員が身体・こころの状況を調べまとめる(74項目)
  • 主治医が「主治医意見書」をまとめる
  • 上記の資料をコンピュータで一時判定
  • 介護認定審査会で二次判定(再度、主治医意見書が用いられ、特殊な事情がある場合は別にまとめられた「特記事項」も使われる)

上記の流れでわかるとおり、「コンピュータによる一時判定」「主治医意見書などを加味した二次判定」が存在します。つまり、個人個人で異なる状況を詳しく伝えてくれるかかりつけ医の存在が非常に大切なのです。

一時期、「病院ジプシー」なる言葉が流行しました。自分にとって心地よいことしかいわないお医者さんを探し、病院を転々とする状態のことを指します。もちろん、治療方針など考え方が合わないため致し方なく病院を変えることは誰しもが経験しますが、気分の良し悪しで病院を転々とすることは好ましいことではありません。

かかりつけ医は、その人の総合的な問題を把握してくれています。かかりつけ医(主治医)の存在は、日頃の健康状態のチェックのみならず、この要介護認定の場でも有益です。もしも複数の科をまたぐ診療が必要な健康状態であっても、その複数の病院を“固定化”しましょう。

そうすることで、「今の自分はどのような状態なのか」を総合的に理解できますし、「主治医意見書」も正しくまとめてもらうことができます。

要介護認定の申請から約30日で、

  • 要支援1ないしは2
  • 要介護1から5
  • 非該当

の通知が届きます。

3-2.もしも本人が申請できないときはどうする?

申請すべきご本人が入院などで動けないときは、家族が申請の代理を務めることができます。

  • 申請書(地域包括支援センターや役所の窓口でもらう)
  • 介護保険被保険者証
  • 健康保険証(65歳以下・第2号被保険者の場合)
  • マイナンバー個人番号(書類に記載するために必要)

これらを提出することで、ケアマネージャーなどが自宅や病院へ出向き、心身の状態・生活するうえでの困りごと・家族や住居環境などのヒアリングをしてくれます。ヒアリング時は家族も一緒にいるようにして、本人がうまく伝えられないことをサポートしたり、日頃の状態をメモしたものから、問いに的確に答えるようにします。

認定調査員がチェックする74項目は、主に次のような事柄です。

身体の機能
  • 麻痺などはないか
  • 寝返りや起き上がりができるか
  • 自分で座っていられるか
  • 自分で立ち上がることができるか
  • 視力や聴力の状態はどうか
生活の機能
  • 衣服の脱ぎ着はできるか
  • 食事や排泄を自分でできるか
  • 歯磨き・洗髪など清潔を保つ行動を自分でできるか
認知の機能
  • 自分の名前や生年月日を記憶し、人に伝えることができるか
  • 外に出た後に家に戻れなくなったことはないか
  • 直前のことを覚えているかどうか(短期記憶)
こころや行動の問題
  • 情緒不安定はないか
  • 不必要にモノを集める・無断で他の人(店)のものを持ってきたことはないか
  • 無断外出(徘徊)をしたことはないか
社会性の状況
  • 買い物や金銭管理を適切に行えるか
  • 服用中の薬があれば、それを正しく管理できているか
  • 家族や親族、友人などとの関係が悪化してはいないか(人間関係のトラブルを起こしてはいないか)
治療について
  • 過去14日間に点滴・透析・経管栄養など、特別な治療を受けてはいないか

概ねこれらについての質問が行われますので、ご家族や親族がサポートしてあげればご本人も安心でしょう。また、ご自身が忘れていることもあるかもしれませんので、情報の不足があればそれを補い、また、特段に伝えておきたいことがあればメモなどの情報を元に的確に伝達するようにします。

3-3.要介護(要支援)認定の区分と目安

要介護(要支援)と判定されたとき、要支援ないしは要介護の中で「区分」がつけられることとなります。これは、どの程度支援・介護が必要なのかの“レベル”を表現するもので、区分ごとに介護保険を活用したサービスの利用限度も定められます(要介護認定の仕組みと手順│厚生労働省老人保健課)。

要介護認定の仕組みと手順│厚生労働省老人保健課

人により、支援や介護を要するシーンは異なりますが、概ね上の図のようなイメージで区分分けされます。その上で、個々人の状態に応じ、必要な支援・介護サービスのプログラムが組まれます。

3-4.要介護認定には有効期限がある

支援や介護を要する方の状態は、一生一定であるとは限りません。このため、厚生労働省では要介護認定の有効期間を

・厚生労働省令で定める期間内において有効(法第28条第1項)
※ 厚生労働省令で定める期間
(1) 要介護、要支援(新規)認定の有効期間:6ヶ月(市町村が必要と認める場合にあっては、3ヶ月から12ヶ月の間で月を単位として市町村が定める期間)
(2) 要介護更新認定の有効期間:12ヶ月(市町村が必要と認める場合にあっては、3ヶ月から24ヶ月の間で月を単位として市町村が定める期間)
(3) 要支援更新認定の有効期間:12ヶ月(市町村が必要と認める場合にあっては、3ヶ月から11ヶ月の間で月を単位として市町村が定める期間)

このように定めています(要介護認定に係る法令(9.要介護認定の有効期間について)│厚生労働省)。

定期的に心身の状況を見直し更新することで、本当に必要な支援・介護サービスを利用できるように有効期間が決められているのです。

※在宅介護で利用できるサービスの費用目安については、以下の記事もご参考になさってください。

まとめ

介護をする方・される方、どちらにとっても介護サービスはありがたく大切な仕組みです。介護サービスを利用するために必要な「要介護認定」ですが、申請にまつわる事柄を理解しておくと、事がスムーズに運びます。

ここで覚えておいていただきたいことは、以下の5点です。

  1. 介護の平均的な期間は「4年11ヶ月」で、中には「10年以上」というケースもある。介護する側が疲弊しないためにも、要介護認定を受け、適切な支援・介護サービスを受ける
  2. トイレや入浴に手助けが必要になってきたら、「要支援」かもしれない。要介護認定申請を視野に入れ、地域包括支援センターなどに相談に行く
  3. 申請から判定までには約30日を要する。認定審査員のチェックや主治医の意見書などをもとに、介護認定審査会が「認定区分」を定める
  4. 申請すべき本人が入院などで申請できないときは、家族が代理申請をする。申請書・介護保険被保険者証などを用意し、本人と共にケアマネージャーなどのヒアリングに答えられるよう準備しておく
  5. 要介護認定は、新規(初回)で6カ月、それ以降の更新は12ヶ月(市町村や個人の状態により異なる)が有効期間。定期的な見直しで、本人の状態に合わせた介護プラン・利用限度額が変わっていく
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