関節可動域とは

関節可動域とは、ケガなどがない状態で自然に動かすことのできる範囲(角度)を指す。
各関節は、筋肉やじん帯、腱など動きを司るものに取り巻かれていますが、それらが固くなれば関節可動域は狭くなります。また、これらが柔軟であれば、より大きく動かすことができます。
筋肉などが固くなり関節可動域が狭くなると、正しい姿勢をとることが難しくなる上、歩きにくくなったり、転倒時にとっさの動きができなくなります。

1.関節可動域測定

関節可動域がどのような状態にあるかは、「関節可動域測定」でチェックします。関節可動域測定のチェックは、以下のために行います。

  • 関節可動域に制限をかけている原因の発見・障害程度の理解
  • 理学療法を行うための参考情報とする
  • 理学療法を行った後の効果の判定

理学療法(リハビリ)を行うにしても、関節の動きを阻害するものを正しく理解していなければ療法に着手できません。関節可動域を阻害するものの代表(拘縮・こうしゅく)は、主に次の5つとされています。

  • 皮膚性拘縮=やけどやケガなどで皮膚が固くなっている
  • 結合組織性拘縮=じん帯や腱などの結合部分が何らかの病によって固くなっている
  • 筋性拘縮=筋肉がしなやかさを失っている、もしくは長期間固定化されたことで固くなっている
  • 神経性拘縮=中枢神経ないしは末梢神経の病気によって筋肉の伸縮性が失われている
  • 関節性拘縮=じん帯、関節包など関節をとりまくものが何らかの理由で癒着している

2.関節可動域訓練

関節可動域訓練は、正常な関節可動域に近づけ、その状態を維持するための訓練です。また、長時間寝た状態の方に起こりがちなむくみ・静脈血栓の予防にも望ましいものです。

関節可動域訓練には以下の3つがあります。

  • 自己運動=自力で動かす訓練
  • 他動運動=他の人の手を借りて動かす訓練
  • 自己他動運動=自身の力を使いながら、他の人の手を借りることで運動をする訓練

いずれの訓練も、まず介護を要する方の緊張を解いてからはじめます。少しの動きからはじめ、無理を強いないよう進めます。訓練の最中には、痛みがないかなど声をかけます。

3.関節可動域運動

関節可動域運動は、関節可動域訓練とほぼ同じ意味合いで用いられることばです。

高齢者に対して行う他動運動はストレッチも含まれますが、これは筋を伸張させることですので、関節可動域運動が目指す関節可動域の維持・改善とは目的が少し異なります。

関節可動域運動を実施する、もしくは指導する理学療法士は、運動中の状態をつぶさに観察し、それが骨の問題なのか、筋肉がこわばっているために起こっているのか、関節に関連する筋・腱に不具合があるのかをチェックしています。

もしも運動時に骨と骨が直接ぶつかる音がする・痛みによる反応で筋肉が急に収縮するなどの異常を確認すれば、担当医師にそれを伝え、それ以上無理な運動はしないように指導します。

まとめ

関節可動域とは、関節が正しく動かせる範囲のことです。関節可動域が広いことは健康的な生活を送るため特に高齢者に必要です。関節可動域については、以下の4つを特に理解しておきましょう。

  1. 関節可動域とは、傷害のない状態で生理的に動かすことのできる範囲のこと
  2. 関節可動域測定は、関節可動域に制限をかける原因の発見や、理学療法を行う際に検討すべきことの情報を得るために行う
  3. 関節可動域訓練は、正しい状態に近づけること、その状態を維持するために行われるもので、むくみ・静脈血栓の予防にも
  4. 関節可動域運動は関節可動域訓練と同義。運動時(訓練時)に表れる症状や反応によって、リハビリで改善できないことを見分けられることも