閉じこもりとは、外出の頻度が週に1回未満で、生活の範囲が家の中である状態のこと。
他の人との関わりが減りコミュニティから外れてしまうことで、「いないこと」にされてしまう可能性があります。
また、体を動かすことが減り廃用症候群(筋肉を使わないことから起きる身体的不具合、ときに誤嚥性肺炎や血栓塞栓症など命に直結する状態を含む)にまで発展することが危惧される状態です。
体が動くうちは少しずつ外出することを心がけ、他の人との交流を保っておくことが大切です。
1.閉じこもりの意味・引きこもりの意味
閉じこもりと引きこもりとは、似たような意味で理解されがちですが、精神医療の分野では異なる取り扱いがなされます。
- 閉じこもり=高齢者において外出頻度が週に1回未満、ないしは昨年と比較し外出の頻度が減っている
- 引きこもり=思春期や青年期において、半年以上自宅にいて社会参加をしない状態
つまり、高齢者が外出しないことは「引きこもり」とはいいません。
既に身体的機能(足腰の弱りなど)の問題で外出しづらい状態で、致し方なく外出に困難を感じてしまう場合に閉じこもりとなってしまいます。しかしながら、外出支援があればまだ少しは歩ける、外出する意欲があるという状態ならば、要支援度・要介護度が上がらないよう積極的に家から出ることが好ましいといえます。
2.閉じこもり症候群
閉じこもりによって引き起こされるあらゆる症状を、「閉じこもり症候群」と呼びます。寝たきりの原因が身体障害そのものではなく、小さなケガや心身の問題、人間関係が希薄になることから生じるという考えから生まれたことばです。
身体的・精神的刺激が減ってしまい、閉じこもり症候群となった結果、以下のような状態を呈することがあります。
- 歩くことが億劫になり、どんどん筋力が低下する
- 買い物を含む家事が面倒になり、栄養面の問題から体力が落ちる
- 外出が減ることで人との接触が少なくなり、脳やこころへの刺激が低下し興味が薄れる
これらは、最終的に寝たきりや認知症につながるもので、閉じこもり傾向が見られ始めたときから対処を始めることが望ましいといえます。
3.閉じこもり予防
閉じこもりは社会的な問題となっていて、それに対応すべく厚生労働省が「閉じこもり予防・支援マニュアル」を公開しています。これによると、閉じこもりを予防するための考え方として家庭でできること、介護予防サービスでできることとに分類されています。
- 家庭でできること=自身でできること(お風呂に入る・電話をかけるなど)を認め、増やす。外出してみたくなるようなイベントやサークルを見つけ、出かけるよう促す
- 介護予防サービスでできること=デイサービスやデイケアによってリハビリを実施する。他の人と交流しながらレクリエーションを体験してもらう
まとめ
高齢者の閉じこもりは、決して珍しいことではありません。しかしながら、閉じこもりによって要支援度・要介護度が上がってしまうことも多く、できれば早期に対処したいものです。閉じこもりについては、以下の4つを特に理解しておきましょう。
- 閉じこもりとは、外出頻度が週に1回未満であり、家の中にずっといる状態のこと
- 閉じこもりと引きこもりは異なる。高齢者が家を出づらい状態は「閉じこもり」という
- 閉じこもり状態が続くと、最終的に寝たきり・認知症となってしまう
- 閉じこもりへの対処は、家庭でできること、介護予防サービス活用でできることがある。自身でできることを増やし、自信を持ってもらうことが第一歩