統合失調症とは、青年期に発病する精神疾患のひとつで、思いや考えと行動とを合致させることが難しい状態となる。
幻聴や妄想が主な症状で、他の人とのコミュニケーションが難しい場合もあります。特別なものではなく、約100人にひとりの割合で現れる病気として知られています。
近年では、青年期のみならず、中高年になって類似する症状が現れることが確認されていて、「遅発性統合失調症」と呼ばれます。中高年で統合失調症になった人の一部は、やがて認知症になることが知られています。
1.統合失調症の症状
統合失調症の症状には、以下のものがあります。
- 妄想=近所の人が嫌がらせをしている・知らない人が毒物を撒いているなどと感じる
- 幻覚=誰かが部屋の隅にいる・亡くなった人が寝室にいるなどと感じる(見える)
- 幻聴=誰かが「バカ」といっている・知らない人が「お前を監視している」といっていると感じる(聞こえる)
これらの「現象」は、本人にとって現実と思われるほどに真実性を帯びていて、それへの反応として他の人には理解しづらい行動を取ることがあります。
- いつもイライラしている
- 誰かの悪口をいう
- 独り言が多くなる
- 物事への意欲がなくなり、動かない・会話をしない・衣服や部屋の乱れを気にしない
のような行動を取ります。
2.統合失調症に用いられる薬や治療法
統合失調症に用いられる薬は、抗精神薬ないしは神経遮断薬です。その人の症状に合わせて処方されます。
それらの効果は、次のようなものです。
- 妄想・幻覚を抑制する
- 緊張や興奮を解き、考えをまと目安くする
- 減退した意欲を取り戻させる
薬を飲んでも症状が落ち着かない、本人が正しく服薬できない、日常生活がつらいため本人が希望するとき、休養をかねた入院という措置がとられます。
入院・外来ともに、薬物療法とリハビリテーション・精神療法を併用し、症状の緩和を目指します。再発も考えられますので、薬をやめるタイミングは医師と相談しながら決めます。
3.統合失調症の人への接し方・対応方法
統合失調症の人への接し方(対応法)は、まず「本人のつらさ」を理解することからはじまります。見えるはずもないものが見える・聞こえるはずのないものが聞こえる、その状況を人に否定されることはとてもつらいはずです。
- 強い感情表現をしない=「そんなはずはない」「おかしい」と答えない。本人を追い詰めないこと
- 提示された治療法を受け入れる=薬やリハビリに拒否感を示さない。本人を悩ませないこと
- 悩み事を口にしたら一旦受け止める=「そうなの」と受け入れる。「じゃあ○○しよう」と話をそらしたり、一緒に解決策を探すことで本人を不安にさせない
- 家族が自身を責めない=身近にいる人が自身を責めたり否定したりしない。患者自身に心理的負担を伝える言動をつつしむ
まとめ
統合失調症とは、特に珍しい病気ではありませんが、周囲の人がどう接してよいのかわからないので、本人・周囲の人相互につらい思いをしてしまうものです。統合失調症に関しては、次の4つを特に理解しておきましょう。
- 統合失調症とは、思い・考えと行動がうまくかみ合わない精神疾患。中高年になって発症することもある
- 統合失調症の症状は、妄想・幻覚・幻聴など。これらの症状から、常にイライラしていたり、独り言が多くなったりする
- 統合失調症の治療には、抗精神薬ないしは神経遮断薬といった薬と、リハビリ・精神療法が併用される
- 統合失調症患者には、心のゆとりをもって接する。強い口調で話さない・否定しないことが大切