体位とは、姿勢のこと。
介護の視点で重要視されるのは、寝たきりにより起こる褥瘡(じょくそう)予防のため、同じ姿勢をとり続けないようにすることです。
ケガや麻痺があれば、それをかばう姿勢をとらなければなりません。総合的に考え「これならば大丈夫」と思われる体位を医師などからいくつか聞いておき、数時間おきに体位を変える手伝いをします。
体位を変えるには、大きな力が必要です。スムーズな手順・コツなどをレクチャーしてもらっておけば、介護の苦痛がいくらか和らぎます。
1.体位の種類
体位は大きく「座位(座る姿勢)」「臥位(横になる姿勢)」とに分けられます。
特に多様な体位は臥位で、次のようなものが例に挙げられます。
- 仰臥位(ぎょうがい)=仰向け(背臥位ともいう)
- 腹臥位(ふくがい)=うつ伏せ
- 側臥位(そくがい)=横向け。安定しづらいので上に来る足を前に出すなどの工夫をする
- 背臀位(はんでんい)=仰向けの状態で膝を曲げた状態
- 屈曲側臥位(くっきょくそくがい)=横向けの状態で体全体を丸め、安定感を増した体位。
- 半側臥位(はんそくがい)=寝床と体が90度になる側臥位ではなく、クッションなどで支えて45度程度にする
- 半腹臥位(はんふくがい)=下半身は側臥位、腰をひねって上半身を限りなく腹臥位に近づける体位
他にもバリエーションがあります。しかしながら要介護者の体の状態でできる体位・できない体位がありますので、体に合わせた種類を覚えておきます。
2.体位交換の方法
体位交換を力任せに行ってしまうと、介護者・要介護者ともにケガをする可能性があります。そのため、コツを覚え、効率の良い体位交換の方法を学んでおいてください。
たとえば、仰臥位から側臥位にする場合、次のような方法で行います。
- 本人に姿勢を変えることを伝え、作業がしやすい高さにまでベッドを上げる
- 向かせたい方向に介護者が回り、要介護者の顔を介護者のほうへ向ける
- 腕が体位交換の邪魔にならないよう、胸の辺りで組んでもらう
- 膝を立て、可能な限り臀部とかかとを近づける
- 要介護者の腰と肩に手をあてる
- 腰に当てた手とひじを使い、膝から腰にかけて向かせたい方(介護者の手前側)へ倒す
- 腰がねじれる力を利用し、肩を引き起こす
このように、体の回転力を利用する・手だけでなくひじまでを使うなどの工夫で、楽に体位交換ができるようになります。
3.体位交換の目的
体位交換の目的は、先に触れたとおり、褥瘡(とこずれ)防止・悪化の抑制です。また、それだけでなく、テレビを見る、窓の外の風景を見るなど気分転換にもとても重要な役割を果たしてくれます。
また、他にも
- 体位交換することにより、普段使わない筋肉を使うきっかけにする(姿勢の保持)
- 皮膚の乾燥を促す
- 寝具に含まれる空気の入れ替えを促す
- 上半身を起こすことで呼吸を楽にする・痰を出しやすくする
といった目的で行うことがあります。
まとめ
体位とは、姿勢を意味する医学用語です。体位の種類とそのコツを知ることで、介護もずいぶんと楽になります。体位については、以下の4つを特に理解しておきましょう。
- 体位は、姿勢を意味することば。褥瘡防止のため、1~2時間ごとに体位を変える
- 体位は、大きく「座位(座る姿勢)」「臥位(横になる姿勢)」に分けられる
- 体位交換はコツがある。介護する人の負担にならないようしっかり学ぶ
- 体位交換は褥瘡防止に効果的。他にも呼吸を楽にする、痰を出しやすくするといった目的も