肺炎とは、細菌・ウイルス・真菌などの病原体により、肺(肺胞)に感染性炎症が起きること。
呼吸によるガス交換が阻害されるので、息切れなどの苦しさを感じます。また、炎症により高熱が出たり、粘り気の強いたんの発生によりゼーゼーと聞こえる呼吸音がすることもあります。
肺炎は、日本人の死因の上位に上るもので、そのうち約97%が65歳以上の高齢者です。風邪の症状と間違われやすいものですが、呼吸のつらさから浅い呼吸を多く繰り返す、ひどいだるさを感じる、食欲がないなどが数日続いたら注意が必要です。
1.肺炎の種類
肺炎は、病原体の種類により大きく3つの種類に分けられます。
- 細菌(肺炎球菌・インフルエンザ・黄色ブドウ球菌など)
- ウイルス(麻疹ウイルス・水痘ウイルスなど)
- 非定型(マイコプラズマ・クラミジアなど)
これらの菌類に触れるきっかけは、他人のくしゃみや咳により空中を漂う菌を吸い込んでしまって起きる「飛沫感染」、他の人が触れたドアノブなどに触れた結果として鼻や口から入る「接触感染」とに分けられます。
安静・体温調節・栄養管理・水分摂取で体力を維持すると同時に、病原体を特定した上で抗生物質を投与するといった治療を行います。
2.高齢者に起こりやすい肺炎球菌感染症
肺炎球菌による肺炎は、成人の肺炎のうちトップを占めます。高齢者の肺炎を予防するため、国は「予防接種法」に基づき肺炎球菌感染症に対する定期接種(ワクチン接種)をすすめています。
抵抗力の弱い高齢者が肺炎球菌感染症になると、敗血症や髄膜炎など命に関わる病気にまで発展することがあります。この予防をしようとするのが、肺炎球菌ワクチン接種です。
お住まいの自治体からはがきなどで知らせがきます。平成30年度までは、65歳・70歳・75歳・80歳…と5歳おきになりますので、タイミングを逃さずワクチン接種をするよう促されます。
3.肺炎予防には何をすればよいのか
肺炎は、感染症であることは上でも触れたとおりです。そのため、日々の感染予防行動が重要です。
- うがいや手洗い
- 身近な人がくしゃみをしているときや、人ごみに出るときはマスクを着用
- 予防接種を受ける
- 正しい睡眠や適切な食事など抵抗力を保つようにする
- 持病があるならそれらの治療を怠らない
- 入れ歯など口の中に入れるものの手入れ/歯のある人は正しく歯磨きをする
これらの行動で、鼻や口から肺炎の原因となる病原体を肺に取り入れてしまわないようガードします。既に食べることが難しくなっている高齢者の場合、飲食物の誤嚥にも注意が必要です。
まとめ
肺炎とは、とても身近な病気の一つです。しかしながら高齢者は抵抗力が弱くなっていることが多く重症化しやすいものです。肺炎については、以下の4つを特に理解しておきましょう。
- 肺炎とは、病原体が肺に入り込み炎症を起こす病気のこと
- 肺炎の種類は、細菌・ウイルス・非定型の3つに分けられ、病原体を特定して抗生物質を投与する治療が行われることも
- 肺炎球菌感染症は、成人のかかる肺炎のうちトップを占める。高齢者にはワクチン接種が促されている
- 肺炎予防は、清潔を保つ・予防接種を受ける・健康的な生活を送るといった方法がある。高齢者は誤嚥にも注意