溢流性尿失禁とは

溢流性尿失禁(いつりゅうせいにょうしっきん)とは、何らかの理由で膀胱から尿があふれ出ることを指します。しかしながら単にあふれ出るのみならず、「排尿したいのに出せない・出にくい」という排尿障害があることが前提で、それでもなお、思わぬタイミングで尿が漏れ出てしまうことを溢流性尿失禁と呼びます。

この理由から、尿が漏れ出るだけでなく、残尿感を覚える方もいらっしゃいます。この原因となる代表的な病気は前立腺肥大症ですので、溢流性尿失禁は男性に多く見られます。

1.男性の溢流性尿失禁

前立腺肥大症を起こしてしまうと、膀胱へ刺激を与えることとなり、頻尿が起こり始めます。前立腺のさらなる肥大がおきると、いつもトイレに行きたい感覚はありながらも、肥大した前立腺により尿道が圧迫されているため、尿が出にくくなり、腹圧(いきみ)をかけないと排尿できなくなるのです。

前立腺がことのほか肥大してしまうと、結果的に溢流性尿失禁や、排尿できない閉尿が起こってしまうこともあります。前立腺肥大症の症状については、「国際前立腺症状スコア」により重症度評価をする試みが広がっています。このチェックリストの問いの中には、排尿に関する質問が多くあります。

2.女性の溢流性尿失禁

女性の溢流性尿失禁の原因となりうるのは、大きな子宮筋腫などです。男性の溢流性尿失禁と同じように、筋腫により大きくなった子宮が膀胱の出口あたりを圧迫してしまうことにより、「トイレに行きたい」「行っても出にくい」といった状態が表れます。それでも実際には尿は溜まっていますので、最終的にあふれ出てしまい溢流性尿失禁を起こします。

溢流性尿失禁以外に、高齢女性の尿失禁が多い理由には、男性と比較して尿道が約4分の1しかないこと、身体の作り上膀胱炎にかかりやすいことなども挙げられます。このため、女性の尿失禁については、多角的に診察し、原因を突き止める必要があります。

3.溢流性尿失禁とそれに対する訓練

前立腺肥大や筋腫により大きくなった子宮など、膀胱や尿道を圧迫するものへの対策ができれば、残尿から誘発される溢流性尿失禁を緩和することができます。
しかしながら、手術が適切な治療法でない場合、排尿にまつわる訓練を受けることで対処します。
排尿の際に腹圧をかける、おなかを押すといったことも効果的です。これらの方法を取り入れても残尿感がぬぐえない場合、病院で指導・訓練を受け、1日に数度尿道に管(カテーテル)を入れる自己導尿を行うことで尿を排出する方法を採用することもあります。
もしも自分で管を入れることが難しい場合、ご家族が指導・訓練を受け、要介護者の手伝いをするケースもあります。

まとめ

溢流性尿失禁とは、高齢者にとって決して珍しくないものです。溢流性尿失禁については、以下の4つを特に理解しておきましょう。

  1. 溢流性尿失禁とは、何らかの理由で尿がせき止められ、結果的に「あふれ出てしまう」こと
  2. 男性の溢流性尿失禁は、前立腺肥大により引き起こされることが多くある
  3. 女性の溢流性尿失禁は、子宮筋腫が多い。また、膀胱炎にかかりやすいので、丁寧な診察も必要
  4. 溢流性尿失禁には、尿道にカテーテルを入れる自己導尿の訓練を採用することもある