透析療法(人工透析)とは、腎臓がうまく機能しなくなったとき、体内の老廃物・水分を排出する腎臓の働きを人工的に手助けする療法のこと。
体にシャントという血液の出入口をつくり、一旦血液を体外に取り出してきれいにして戻す「血液透析」と、おなかにカテーテルを植え込んで透析液を体内に入れ、腹膜で老廃物などをろ過して取り出す「腹膜透析」のふたつの方法があります。
血液透析は週に3回×1回4時間が一般的で、通院が必要です。腹膜透析は、透析液を1日4回使用するのが一般的で、透析液パック交換は30分ほどかかります。
1.透析療法の種類と頻度
先にも触れたとおり、透析療法にはふたつの種類があります。
- 血液透析=体外に血液を取り出し、ダイアライザーという機械に通し血液を整えてから体内に戻します。週に2~3回、1回4時間ほどかかります。長期の旅行などの際には、その土地で透析を受けられる病院を探し出し、予約しておく必要があります。
- 腹膜透析=体内に透析液を入れ、腹膜でろ過して不要なものを体外に排出させます。1日のうち数回透析液を入れなければなりません。機材のレンタル料が必要です。腹膜の状態によって5~7年で血液透析に切り替えることが一般的です。
2.透析療法指導看護師(慢性腎臓病療養指導看護師)
病院やクリニックで血液透析を受ける患者は約30万人とされています。日本の高齢化に伴い、その人数は増加傾向にあるとされている中、透析療法に深い知識を持つスペシャリストの存在は心強いものとなります。その資格の中のひとつが「慢性腎臓病療養指導看護師(旧;透析療法指導看護師)」です。平成29年9月1日に名称が変更されました(透析療法指導看護師(DNL)の名称変更のお知らせ│日本腎不全看護学会)。
血液透析が必要な患者やその家族・親族に対し、血液透析に関する知識や生活する上で注意すべきことを正しく伝えるのが慢性腎臓病療養指導看護師の役割です。
慢性腎臓病療養指導看護師になるには、
- 看護師免許(准看護師含まず)有すること
- 日本腎不全看護学会正会員歴が継続して3年以上
- 腎不全看護領域の実務経験が通算3年以上
- 看護実務経験が通算5年以上
- 透析療法指導看護師試験に合格していること
などが求められます。
3.透析療法の看護にまつわること
透析療法は、血液を一度外に出す・透析液を体内に取り込むという特性から、看護・自宅ケアの面で気を付けなければならないことが多くあります。
- 不均等症候群=一時的に脳内の圧力が上がり、頭痛や吐き気が生じることがあるので、そのときはその場にいる看護師などへ伝える
- 出血への注意=血液を一度体外に出すとき、血液の凝固を防ぐ薬物を投与。抜歯や手術の予定があれば透析日以外に
- 体重の管理=体重により体内の水分量が推測され、それに合わせて透析での除水量を決める。この量の変動を起こさないよう体重管理をする
- 食事制限=塩分とリンを制限し、たんぱく質は多めに摂取する。病院やクリニックでの指導に沿った食事を
まとめ
透析療法(人工透析)とは、腎臓の病が深刻になったとき必要な治療です。その治療のみならず、生活上でも注意が必要ですので、医師の指導を守りましょう。透析療法(人工透析)については、以下の4つを特に理解しておきましょう。
- 透析療法(人工透析)とは、体内から老廃物や水分を排出する医療行為。腎臓の病気になったときに行われる
- 透析療法(人工透析)には、血液を体外に出す「血液透析」と、体内に透析液を入れて排出させる「腹膜透析」がある
- 透析療法指導看護師(慢性腎臓病療養指導看護師)は、透析に関する知識・生活する上で必要な知識を身につけた“スペシャリスト”
- 透析療法(人工透析)で気をつけなければならないことは多い。特に体重の管理・食事制限は日常的に行うこと