認知療法(認知行動療法)とは

介護に役立つ用語集

認知療法とは、社会適応性を改善するため、誤っている・偏っている認識や認知を修正し、柔軟なものの見方へと整える療法のこと。ときとして反応が大きい特定のことがらをピックアップし、それに対する拒否感を緩めてゆく「認知行動療法」が同時に行われる。

特にうつ病やパニック障害を持つひとに効果があるとされていて、処方薬と共にこの認知療法(認知行動療法)を行うことで治療効果が高くなるとされています。

また、うつ病・パニック障害の再発予防にも効果があるとされていますので、ご自身ないしはご家族、高齢うつとされている方が身近にいらっしゃる人は、学んでおくのもよいことでしょう。

1.認知療法と認知行動療法

認知療法に似た言葉に、認知行動療法というものがあります。この違いは、次のようなものです。

  • 認知療法=自身を否定的に捉えるなどのゆがんだ「認知を正す」
  • 認知行動療法=特に問題となっている事柄(たとえば極度の潔癖症など/自動思考と呼ぶ)が現実とどれほど違うのかを確認し、実際に行動してみて適応力を高める

心理的アプローチのみ、心理的アプローチ+問題となることを実践してみる、の違いがあります。しかしながら、近年では、認知療法のみならず、認知行動療法を組み合わせて行うことも増えています。その治療法が認知療法なのか、認知行動療法なのか、患者自身は意識する必要はありません。近年ではほぼ同等のものとして理解が広まっています(うつ病の認知療法・認知行動療法治療者用マニュアル│厚生労働省)。

2.認知療法(認知行動療法)の効果

真面目で几帳面な人がなりやすいといわれるうつ病、特定の事柄に不安や恐怖を感じるパニック障害は、珍しい病ではありません。

これらの人たちに共通しているのは

  • 根拠はないのに「思い込み」を起こす
  • 何らかの事柄に対し「考えすぎる」「心配しすぎる」
  • 落ち込みやパニックに関して「自分を責めてしまう」

などがあります。

これらの思い・考えはその人の問題ではなく、考え方・感じ方の問題ですので、それらをコントロールする薬とともに認知療法(認知行動療法)を受けることで、考え方・感じ方を少しずつ落ち着かせたり、修正することができるのです。

ある調査では、認知行動療法、薬物療法、認知行動療法+薬物療法併用の3つのグループで効果を計測したところ、他のグループと比較したとき併用グループで効果が高いとの結果が出ました中等症以上のうつ病に有効な「認知行動療法」とは?│NHK健康ch)。

3.自分でできる認知療法(認知行動療法)

自分でできる認知療法(認知行動療法)にはいくつかあります。その中でも比較的難易度が低いのがコラム法で、日記帳などにいくつかの事柄を記すことで自分の考え方を客観視するものです。

【コラム法】

  • 嫌な思いをしたときの状況(○○さんにあいさつを返してもらえなかったなど)
  • その気分につける点数(悲しさ○%・焦り○%のように感情を分類)
  • そのときに思ったこと(嫌われている、避けられているなど)
  • 考えられる認知の“ゆがみ”(相手の顔色を見すぎているかも、など)
  • 反証(○○さんとはその他のときは話ができた、など客観的に見てみる)
  • 適応的思考(○○さんとは浅い付き合い方でいいのではないかなど、客観視したとき、どう考えればよいのかを推測してみる)

この方法以外にも、認知療法(認知行動療法)がありますので、本を購入して学んでみるのもひとつの方法です。

まとめ

認知療法(認知行動療法)とは、「こころの風邪」とさえいわれるうつ病やパニック障害に対して行われる療法です。しかしながら、これらを提供できる精神科医師はまだ多いとはいえません。自分でできることもありますので、本で知識を得ることも大切です。認知療法(認知行動療法)については、以下の4つを特に理解しておきましょう。

  1. 認知療法(認知行動療法)とは、誤ったないしは偏った認識を修正し、こころを柔軟にする治療法のこと
  2. 認知療法と認知行動療法は、ほぼ同等のものとして理解されている。いずれにせよ、まずは患者自身のこころの動きを観察することが基本
  3. 認知療法(認知行動療法)と処方薬とを併用することで、「薬単独」ないしは「認知療法(認知行動療法)単独」よりも高い効果が望める
  4. 自分でできる認知療法(認知行動療法)で取り組みやすいものは「コラム法」。日記帳にその日の出来事や思いなどを綴ることで自分自身を客観視する