燃え尽き症候群(バーンアウトシンドローム)とは、極度の心身疲労によりあらゆることへの意欲を失うこと。
うつ病の一種とも考えられていて、人とのかかわりを避けたくなる、物事に集中できなくなる、朝の目覚めが悪くなるなどの状態が発生します。
仕事や介護で極度の緊張感を強いられている人、強いられてきた人が、やる気を失うことでこの燃え尽き症候群を自覚することがあります。
病気として明確に定義されてはいませんので、「燃え尽き症候群」という診断がくだることはありません。
1.燃え尽き症候群の原因
燃え尽き症候群の原因は多岐にわたります。
- やる気はあったのに自分が望む成果を得られなかった
- 熱心に仕事(介護)に当たっていたのに、ゴールが見えず混乱した
- 自身の熱意に対し、相手(要介護者)や環境(家族/職場の仲間)が評価してくれない
- 自身の心身のキャパシティに対し、より以上のものを求められ続ける
いずれも、心身の限界を超える働きを強要された、ないしは熱心なあまり自分自身を二の次にしてでも働いてしまった人が燃え尽き症候群となってしまいます。
真面目で熱心なのは本来よいことではありますが、自分自身を犠牲にしてまで働く(介護する)ことで心身を蝕まれてしまっては本末転倒ですので、注意が必要です。
2.燃え尽き症候群とうつ
燃え尽き症候群も、うつも、気分障害の一種であることは広く知られています。しかしながら、うつは病気として診断されますが、燃え尽き症候群は病気とはみなされていません。
燃え尽き症候群は、心理学者ハーバート・フロイデンバーガーにより造られたことばですが、その後社会心理学者であるリスティーナ・マスラークがMBIという基準を考案しました。
- 情緒的な消耗感=やる気がでない
- 脱人格化=相手を思いやることができず、事務的になってしまう
- 個人的達成感低下=仕事において自身の価値を見出せなくなる
これらの基準に照らし合わせ、燃え尽き症候群であるかどうかを判定しますが、もしも病名をつけなければならないのなら「うつ」「適応障害」などとされることが多くあります。
3.燃え尽き症候群の治療方法
燃え尽き症候群の治療方法は、その人の呈する症状により異なりますが、基本的にうつの治療方法に似ています。
- 体につらさを感じているときは、仕事(介護)を休む
- 眠れないときは睡眠導入剤を処方する
- 症状に適した「こころの薬」を処方する
- 仕事(介護)をひとりで抱え込まないようアドバイスをする
- 無理をさせないよう家族にも理解を促す
うつが「こころの風邪」と呼ばれるように、燃え尽き症候群もまた、いつ・だれに現れてもおかしくないものです。家族や知人など、身近な人の理解がとても重要です。
まとめ
燃え尽き症候群(バーンアウトシンドローム)は、真面目・几帳面な人ほどなりやすいものです。仕事のみならず、在宅介護をしている人も陥りやすいものですので注意が必要です。燃え尽き症候群については、以下の4つを特に理解しておきましょう。
- 燃え尽き症候群(バーンアウトシンドローム)とは、極度の心身疲労により引き起こされる
- 過度に労働(介護)にのめりこむ・体力や精神力を求められることが原因
- 燃え尽き症候群はうつの一種とされている。あえて病名をつけるのなら「うつ」
- 燃え尽き症候群の治療方法は、うつの治療方法と類似している