アルツハイマー型認知症(アルツハイマー疾患)とは、アルツハイマー病を原因とする認知症のこと。記憶力低下や人格の変化、抑うつ状態を呈します。病状は突然表れず、ゆっくりと進行するため、ときとして発見が遅れることがあります。
進行を遅らせる薬が治療の現場で使用されてはいますが、完治を目指すものではなく、あくまでも症状が重症化するのをゆっくりするためのものです。
認知症とされる人の約5割が、このアルツハイマー型認知症(アルツハイマー疾患)とされています。
※アルツハイマー型認知症(アルツハイマー疾患)を含む「認知症」についてより深く知りたい方は、以下の記事もご参照ください。
[kanren postid=”97″]
1.アルツハイマー型認知症の中核症状について
アルツハイマー型認知症の中核症状(本人に表れる主な症状)には
- 記憶障害(単なる物忘れではなく、記憶できていない)
- 見当識障害(時計が読めない・自分がいる場所がわからない)
- 判断力低下(これまで当たり前にできていたことができなくなる)
- 言語障害(モノの名前が出てこない・ことばで的確に表現することができなくなる)
などがあります。
これらは脳内に異常たんぱく質が蓄積し、脳内の神経細胞が正しいつながりを保てなくなるため起こるとされています。アルツハイマー型認知症のうち、約1割が「家族性アルツハイマー病」という遺伝子異常であることもわかっています。
2.アルツハイマー型認知症の診断
アルツハイマー型認知症は、いくつかの方法を試し総合的に判断されます。
- 長谷川式簡易知能評価スケール(認知症全般に用いられる記憶力のテスト)
- 画像診断(CTやMRIで脳の萎縮状態のチェック)
- 医師が患者と会話する(会話や行動でおかしなところがないかをチェック)
- 血液や尿の検査(アルツハイマー型認知でない他の原因がないかのチェック)
特に記憶に深い関係を持つとされる脳内の海馬と呼ばれる部位の萎縮がないかを画像診断するのが特徴です。また、本人が気づかない症状をチェックするため、家族や親族への面談が行われることもあります。必要に応じて、セカンドオピニオンを求めることもできます。
3.アルツハイマー型認知症の介護
アルツハイマー型を含む認知症の介護は、その進行度合いにより対応が変化していきます。その度合いは7つに分類され、以下のような状態をたどり、悪化していきます。
- 段階1=本人も周囲も気づかない(特に特別な介護・ケアは必要なし)
- 段階2=言葉を思い出せなくなる、モノの置き場がわからなくなるなど本人が自覚を始める(特に特別な介護・ケアは必要なし。周囲が気づいたら診断を受けるよう促す)
- 段階3=同じ話を繰り返す、直前のエピソードを覚えていない(通院や料金支払いなどの重要なことを忘れていないか確認を促す)
- 段階4=今日の日付がわからない、料理などいつもの行動に支障が出る(家事の手伝いや、いつもいくお店などへの理解を求める)
- 段階5=今いる場所がわからない、季節に合わない服を着る(着替えなどのヘルプ、必要ならばGPS発信機を身につけてもらう)
- 段階6=近しい人を忘れる、妄想が表れる(できるだけ一緒にいてケガがないようにし、必要に応じて施設に預ける)
- 段階7=寝たきりになる、呼吸や飲み込みができなくなる(医療や介護の専門家に任せる)
まとめ
アルツハイマー型認知症(アルツハイマー疾患)とは、決して他人事ではないものです。アルツハイマー型認知症については、以下の4つを特に理解しておきましょう。
- アルツハイマー型認知症とは、認知症とされる人の約5割にみられる病気のこと
- アルツハイマー型認知症の中核症状は、記憶障害・判断力低下・言語障害など
- アルツハイマー型認知症の診断は、記憶力テストや画像診断、血液と尿の検査など総合的に行う
- アルツハイマー型認知症に対応した介護は、その段階に応じて異なる。必要に応じて専門家に任せる