車いすとは、自力での歩行が困難な方の移動手段となる乗り物のひとつ。
車いすには多くの種類があり、選び方が難しい介護用具のひとつでもあります。近年では気軽に購入できる価格帯のものも増えたことから、自宅に1台、自動車に1台など、必要な場所に置いておける品となりました。
一方、段差や階段などの障害物により、車いすで行ける場所は思いのほか少ないのも現状です。今後高齢者が増えていくことを考えると、「まちのバリアフリー化」が待たれるところです。
1.車いすの種類
車いすには、いくつもの種類があります。動力の種類でいうと2種類です。
- 自動(電動)
- 手動
また、使い方によって
- 自走用(自分で操作する・タイヤのサイズが大きい)
- 介助用(介助する人が操作する・タイヤのサイズが小さく、介助する人が使用するブレーキが付いている)
- 自走用+介助用(タイヤが大きく、なおかつ介助する人用の手元ブレーキが付いている)
と、少なくとも3種の車いすがあります。
この他に
- スポーツ用(車いすマラソン/車いすバスケット/車いすテニス)
もあり、これらの特殊な車いすは、使用する方の体のサイズや必要とする機能に合わせてオーダーメイドしなければなりません。
車いすに使用されるタイヤも、
- 座り心地のよいエアタイヤ
- パンクの心配のない空気不要のノンパンクタイヤ
に分けられます。
フレームの素材も様々で
- スチールフレーム(安価・さびやすい)
- アルミフレーム(一般的・密度によりゆがみやすいことも)
- ステンレスフレーム(さびないので入浴などに・高価)
に分けられます。
このように、選択肢が多く、選ぶときに迷いやすいのが車いすの特徴でもあります。
2.意外に重要な「車いすの幅」「高さ」
車いす選びの際、意外に重要なのが「幅」です。座ったときのヒップの幅(一番広くなる部分)+5センチほどが適切とされています。これは、幅が余りに広すぎると
- 自分で操作するときタイヤに手が届きにくくなる
- 自身で上半身を支えられない方の場合、車いすの中で姿勢が崩れてしまう
ことにつながるからです。
また、幅だけでなく、高さにも注意が必要です。足が付く状態で椅子などに座り、ももの部分から足裏までの高さ(前座高)を測ります。これを参考に
- 自分でタイヤを操作する場合=前座高+5センチ(クッションの厚みを除く)
- 手ではなく足を使い操作する場合=前座高ちょうど
のものを選ばなければ自然な操作ができません。必ず誰かが介助するのであれば高さについてはさほど問題にはなりませんが、ご自身で操作される場合は注意が必要となります。
3.特殊な車いすはレンタルで
近年安価になってきた車椅子ですが、電動タイプやリクライニング機能のあるもの、乗っている方が立ち上がろうとしたときに自動でブレーキがかかるタイプなどはやはり高価です。
外出の手助けというレベルでなく、本格的な介護となるとこのような高機能なものが必要となりますが、これら高機能な車いすは介護保険を利用してレンタルできます。電動タイプでも2,000円~でレンタルできますので、ケアマネージャーに相談し、適したものが何なのか相談をしてください。
また、旅行など「一般的なものでいいから一時的に必要」と考えるときは、出かける先の地域にあるレンタル会社でも借りることができます。この場合介護保険を利用せず1日あたり500円~1,000円ほど+保証金となりますが、車いすをもって出かけなくてよいという利便性があります。
まとめ
車いすとは、介護に欠かせない福祉用具のひとつで、自力で歩けない方・介助をする方にとって重要な「足」となります。車いすについては、以下の4つを特に理解しておきましょう。
- 車いすとは、足腰が弱った方にとっての移動手段。ニーズの高さから汎用タイプは安価になってきた
- 車いすの種類は多岐にわたる。介護に必要なのは主に「自走用」「介助用」「自走用+介助用」
- 車いすの快適性を決めるのは「座面の幅」と「前座高」
- 高機能な車いすは介護保険を利用してレンタルを。また旅行など一時的に必要なときは介護保険外のレンタル品も利用できる