住宅型有料老人ホームとは?他の老人ホームの違いと「入居時の心構え」

老人ホーム

いわゆる老人ホームへの入居を考え始めるより「前」に、様々な種類の老人ホームの名称と役割を知っておきたいものです。ある程度の知識があれば、いざというとき、情報がなくて困るという状況を避けることができます。

それでなくとも老人ホームにはいくつもの種類があり、その役割は多岐にわたるものです。介護を受けておられる方の状態、そして準備できる費用により選ばなくてはならない側面もあり、慎重にならなければなりません。今回は数ある老人ホームの中から「住宅型有料老人ホーム」についてご説明します。

1.住宅型有料老人ホームとは

住宅型有料老人ホームとは、その名の通り「住まいの確保」に主軸を置いた老人ホームです。まだまだ元気な方が住まいを確保しつつ、外部の介護サービス業者から“訪問介護”を受ける仕組みで安心を担保するものです。その面からいえば、サービス付き高齢者向け住宅と類似しています。

住宅型有料老人ホームには、介護職員の常駐は要件として定められてはいません。しかしながら、食事の準備や生活支援、緊急時の対応はしてもらえますので、生活への手伝いが受けられないわけではありません。外部から介護サービスを受ける仕組みですので、

  • 自分が必要とした介護サービスをケアプランに盛り込んでもらえる
  • 入居前に利用していた介護サービスをそのまま続けて利用できる

ことが特徴です。とはいえ、経営は民間企業ですので、住宅型有料老人ホームの一角に居宅介護サービス事業所が入っている、近隣に同様事業所があることが多く、実質、“介護サービスのついた”住宅型有料老人ホームもあります。

これは、2006年に改正された「老人福祉法」により、対象となる方が増えたことによります。入居・入所に必要な要介護度や健康状態などの基準が柔軟になったためで、介護付き有料老人ホームを含めた民間の老人ホームは数が増えている傾向にあります。

厚生労働省の発表した資料では、平成26年には8,495施設に82.3%の入居者がいたのに対し、平成27年には9,053施設に82.7%の入居者がいました。施設の増え方に対し入居率はさほど上がっていませんので「待ちの期間が短い老人ホーム」としても知られています(平成27年社会福祉施設等調査の概況〈施設の状況〉│厚生労働省)。

1-1.施設基準は?費用目安は?

住宅型有料老人ホームの施設基準は、以下の通りです。

  • 居室=13平方メートル以上
  • キッチン=居室内ないしは共用
  • 浴室=居室内ないしは共用
  • トイレ=居室内ないしは共用
  • 食堂やリビング=居室内ないしは共用
  • リハビリ室・相談室=あり

居室については、一見狭いように見えますが、13平方メートル以上と定められているところに注目してください。これは最低基準であって、広い居室が希望なら、そのような住宅型有料老人ホームを探せばよいのです。その分費用は上がりますが、まだ元気なうちに住まいを確保しておこう、という考え方を持っている方はそのような施設を選ぶとよいでしょう。

目安となる費用は、

  • 入居一時金=0~数千万円(原則として終身利用・入居するための権利を得る、もしくは入居期間中の費用の前払い)
  • 月額=10万円~

となります。

※契約にあたってチェックしておきたいお金の支払い方については、以下の記事もご参考になさってください。

1-2.住宅型有料老人ホームへの入居条件は?

一般的な入居条件は、

  • 60歳以上(自立生活可/要支援/要介護問わず)
  • 他の入居者との共同生活に馴染める
  • 入居期間は終身
  • 入居にあたって、心身の状態チェックと経済的審査を受けるよう求められることがある

となります。住まい確保に重点が置かれているとはいえ、賃貸住宅とは異なり他の人との共有スペースも少なからずありますので、こころの柔軟性が求められるのは致し方ないところでしょう。

2.サービス付き高齢者住宅や介護付き老人ホームとの違い

同様の老人ホームに「サービス付き高齢者向け住宅」や「介護付き有料老人ホーム」があります。これらと住宅型有料老人ホームの違いは、以下の通りです。

※基本的な事項です。施設により条件が異なることがありますので、施設への問い合わせ・パンフレットの熟読をおすすめします。

入居条件 介護サービス 備考
住宅型有料老人ホーム 60歳以上(自立生活可/要支援/要介護問わず) 外部の介護事業所と契約
  • 必要なサービスのみを受ける(1割/2割負担)
  • 医療的ケアも訪問看護型
  • 居室は13平方メートル以上
  • 介護度の上昇や医療への依存度が高くなると退去となることも
  • 利用する介護サービスが増え上限額を越えると、負担額が高額となるケースも
サービス付き高齢者向け住宅 60歳以上(40歳以上+特定疾患により要介護認定) 外部の介護事業所と契約
  • 必要なサービスのみを受ける(1割/2割負担)
  • 居室は基本的に25平方メートル以上
  • 配偶者や親族との同居が認められることも
  • 介護度の上昇や医療への依存度が高くなると退去となることも
介護付き有料老人ホーム 65歳以上(自立生活可/要支援/要介護問わず) 介護・看護スタッフが常駐
  • 介護保険は利用限度額まで利用するケースがほとんど
  • 医療行為を要する方にも手厚いサポート
  • 居室は13平方メートル以上
  • 認知症にも対応する
  • 基本的に終身利用契約なので、一時金や月額費用が高い

上記の3種の老人ホームは似ていながらもそれぞれに特徴があります。施設によって「医療施設と強い連携を持っている」「高級志向」「リハビリ重視」と“売り物”を設けていることでより一層類似しているケースがあります。上記の特徴を踏まえながら、希望するライフスタイル、将来設計をも含め、じっくりと検討してください。

※その他の老人ホームの特徴や費用目安は、以下の記事もご参考になさってください。

3.住宅型有料老人ホームに医療費控除は使える?

上記でも触れたとおり、住宅型有料老人ホームはどちらかというと「住まいの確保」に軸足が置かれています。医療へのニーズがあまり高くない方向けの老人ホームとなりますので、医療費控除を利用できるケースは少なくなります。

外部医療機関との連携で、健康管理・感染症対策・胃ろう・ストマなど医療行為を求める入居者への対応を実施するホームもありますので、これらの費用がかさんでしまった場合は医療費控除を用いることができることもあるでしょう。しかしながら、医療行為への依存度が高まれば、医療面でのケアができる施設や病院への“移動”を促されることもあります。

4.どんな人に向いている?

まだまだ元気、ないしは要介護度が低い方に向いているのが、住宅型有料老人ホームです。施設によっては個室に小さなキッチンが付いているところもあり、「自分のことは自分でしたい」というニーズにも応えられます。それでいて、必要が生じれば、食事のサポート、外部からの介護・看護サービスを利用できますので、できるだけ長く入居していたい、という方に向いています。

外部の介護事業者との契約により介護を受ける、ということは、その人その人に応じたケアプランに則って必要な介護を受けられるということでもあります。よって、元気なうちは1割負担の介護費用が安く抑えられる傾向にあることもメリットのひとつです。

中には、リッチな生活環境を謳ういわゆる「高級老人ホーム(在宅型有料老人ホーム)」もあります。悠々自適な老後を可能な限り家族に依存せず過ごしたい、という方にもおすすめです。

※高級老人ホームについては、次の記事もご参考になさってください。

まとめ

老人ホームへの入所・入居を検討している方にとって、その種類の多さから「どのような施設が適しているのか」、「どの施設にどのような役割があるのか」という疑問が生まれてしまうものです。老人ホーム選びには、介護の度合いや自分で費用をどこまで負担できるか、どれまでの期間いたいのかなど各種側面からの検討が必要で、すべての条件を満たす施設を選ぶのは少し難しいことかもしれません。

今回は「住宅型有料老人ホーム」についてご説明しましたが、親御さんやご親族、あなたの要望に応えられそうでしたか。今回この記事で特に記憶にとどめていただきたいのは、次の5つのポイントです。

  1. 住宅型有料老人ホームは「住まいの確保」に軸足を置いた老人ホーム。食事や生活支援、緊急時対応は可能なので、安心の住まいを早めに確保したい方向け
  2. 個室の居室に共用のスペース(食堂やリビング、ときに浴室やトイレ)で成り立つ。入居一時金や月額利用料が高くなればなるほど「高級」な施設となる
  3. 住宅型有料老人ホームへの入居条件は、60歳以上・共同生活に馴染めること。完全なプライバシーはないことを理解し、柔軟な気持ちで臨む
  4. 類似した施設には「サービス付き高齢者向け住宅」「介護付き有料老人ホーム」がある。それぞれの特徴を理解し、じっくり検討を
  5. 住宅型有料老人ホームでは、外部の介護事業者との契約により開始。本当に必要な介護サービスを受けられるが、介護・医療行為への依存度が高まると退去を促されることも

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