介護付き有料老人ホームとは?入居検討をしたい3パターンと注意点を解説

老人ホーム

ご自宅で親御さんやご親戚の介護をすることが難しくなった場合、いわゆる老人ホームへの入居・入所をイメージすることもあるでしょう。多くの種類がある老人ホームの中でも心理的な面で、より「自分の居場所」として要介護者ご本人が納得できるのはどの老人ホームでしょうか。ある程度プライバシーを保ちつつ毎日を過ごしたいとおっしゃる方には、「介護付き有料老人ホーム」がおすすめです。

では、介護付き有料老人ホームとはどのような施設なのか、入居・入所のための条件、契約に当たって知っておきたい“用語”についてなど、老人ホームについて考え始めた方へ向けて解説いたします。

1.介護付き有料老人ホームとは

まず、数ある老人ホームの中から「介護付き有料老人ホーム」について知るところからはじめましょう。

介護付き有料老人ホームは、基本的に次のような特徴や規定があります。

  • 介護保険給付対象になっていること
  • 都道府県から指定を受けた民間企業によって運営されていること
  • 入居希望者には要介護1以上の介護認定が求められる/自立型とされているホームであれば要介護認定は不要/要介護者と自立者とが一緒に入る混合型もある
  • 入居一時金(当初費用)と月額利用料金が必要(中には入居一時金が不要なところもあるが、その分月額利用料金が上がる傾向)
  • 生活支援や介護、必要に応じて連携医療機関により医療行為が提供される/24時間体制
  • ホームごとに「リハビリ」「医療」「高級感」など特徴があるので、希望する生活スタイルに合わせて選びやすい

介護保険で介護や生活支援を受けながら、より自分らしいライフスタイルを目指すことができるのが、介護付き有料老人ホームです。

厚生労働省の発表した資料では、平成26年には8,495施設に82.3%の入居者がいたのに対し、平成27年には9,053施設に82.7%の入居者がいました。施設の増え方に対し入居率はさほど上がっていませんので、費用が安く人気が高いため「待機組」の多い特別養護老人ホームとは異なり、待ち時間が少ないのも特徴です(平成27年社会福祉施設等調査の概況〈施設の状況〉│厚生労働省)。

2.介護付き有料老人ホームのメリットとデメリット

介護や医療ケアが受けられる介護付き有料老人ホームは、住まいと介護の両方を確保できますので、ご本人のみならずご家族にとっても安心です。しかしながら、やはりこの介護付き有料老人ホームにもメリットとデメリットが共存しています。充分に検討してください。

メリット デメリット
  • 月額費用や介護費用が定額制、支払いイメージがしやすい
  • 居室は基本的に個室
  • 介護・医療サポートが24時間体制で安心
  • 好みの施設・サービスを備えたホームが選べる
  • いわゆる「終の棲家」として暮らし続けられる可能性がある
  • 入居時自立型(自立生活の方)/介護専用型(要介護1以上)/混合型(どちらも入居可)から選べる
  • 居室清掃・買い物・アクティビティなど、オプションが多彩に用意されていることも
  • 生涯の住まいとするための入居一時金が数十万円~数千万円と大きな幅がある
  • 介護保険サービスは施設内で受けられるものに限られる
  • 他の入居者もいるので、環境に馴染めないことも
  • 自立者が入居しても介護サービス費用は負担
  • 入居に際しては、健康状態・収入などで判断される
  • 保証人が必要とされることが多い

3.介護付き有料老人ホームを検討するとき気をつけたい「お金のポイント」

介護付き有料老人ホームといっても、建物・設備や準備しているオプションによりかかる費用はとても幅が広いものです。また、契約方法でも、高額な入居一時金が必要なことがあります。パンフレットなどを読むに当たり、特に気をつけてチェックしておきたいことは以下の通り、契約や支払いに関する事項(用語とその意味)です。

表示名称 内容
権利形態 利用権 居住スペースに関しての契約と、支援・介護サービス分の契約(一体的)
終身建物賃貸借 終身その施設を利用できるという契約、入居者が死亡することで契約が終了
建物賃貸借 住居スペース(賃貸物件と同等の扱い)の契約で、介護保険サービス分は別に契約
利用料支払い 月払い 入居一時金はなく、家賃や介護保険サービスを月々支払う
全額前払い 終身にわたっての家賃・介護サービス費用の全部を一括して支払う
部分払い 終身にわたっての家賃・介護サービス費用の一部を前払いし、残りを月払いにする
選択式 上記3つの支払い方の中から選んで支払いする

介護にとって、お金の問題はとても大きなウエイトを占めます。このため、情報収集にあたって最低限でもこれらのポイントを理解しておく必要があります。

※いわゆる「老人ホーム」の種類と、その利用費については、以下の記事もご参考になさってください。

4.介護付き有料老人ホームへの入居を検討したい人は?

いわゆる老人ホームの中から、介護付き有料老人ホームへの入居を検討するとよいのはどのような方でしょうか。以下の3パターンに該当する方に、特にじっくりと考えていただきたいと思います。

4-1.介護してくれる人のいない「おひとりさま」

医療機関とも強力な連携を持っている介護付き有料老人ホームなら、看取りにまで対応していることがあります。個室のある「住まい」で介護を受けることができますので、身の回りのことや介護だけでなく、ケガや病気のリスクにまで幅広いケアが望めますので、いわゆる「おひとりさま」にも適しているといえるでしょう。

しかしながら、単身者の場合、収入(年金受給額)が低い傾向にありますので、設備やサービスの充実した介護付き有料老人ホームへの入居は望めないかもしれません。ある程度の貯蓄があれば、介護付き有料老人ホームも候補に入れてみてください。

もしも保証人の問題が噴出しそうであれば、まずケアマネージャーに相談してください。まだ数は少ないものの、保証人不要とするホームがあります。また、「身元保証人については相談可」としている介護付き有料老人ホームを探してみてください。保証人代行の企業などと連携している場合があります。

4-2.ご家族が遠方にいるために介護を受けられない方

持ち家がありながら、お子さんやご親族が遠方にいることで介護を期待できない方にも、介護付き有料老人ホームはおすすめできるでしょう。要介護度が上がれば上がるほど、在宅で受ける介護サービスの種類は増えていきますし、その間にも家の手入れができず傷んでいくことも考えられます。

思い切って家を手放し、終末期(看取り)対応をしてくれる介護付き有料老人ホームへの入居を検討されてはいかがでしょうか。家を売った費用で入居一時金を用意できるかもしれませんし、何より遠くにいるお子さん・ご親族も安心していられることでしょう。もしもご実家へ戻ってくる予定のお子さんがいらっしゃらないときは、このような方法も検討材料のひとつです。

そのようなときは、ご夫婦のうち元気な方も一緒に受け入れてくれるホームを選びます。

4-3.いわゆる老老介護の場合

お子さんがいないため夫婦ふたり暮らし、ないしはお子さんも高齢者となってしまった場合、いわゆる「老老介護」となりその負担はとても大きなものとなってしまいます。介護の合間に掃除・洗濯・食事作りなどの家事を行うとなれば、ときとして介護をする方の睡眠時間まで奪われてしまうケースも少なくありません。

そのような状態では、介護をする方も倒れてしまいかねません。そのような問題を回避するためにも、介護を家族や親族の問題として捉え、それぞれ自分で負担できるお金を出し合ってでも介護付き有料老人ホームへの入居計画を進めるべきではないでしょうか。自分のために子が倒れたとなれば、介護を受けている方にとっても精神的ダメージは大きなものとなります。

老老介護の場合、既に要介護認定を受け、在宅での介護保険サービスを利用していることでしょう。その流れで、ケアマネージャーに適した老人ホームはどこかと相談してみるのもひとつの解決策となってくれるでしょう。日頃どのようなケアを必要としているのかを理解してくれていますので、それに適した老人ホームを探し出せる可能性が高まります。

まとめ

今や、要介護者のみの世帯では「ゴミ出し困難世帯」が増え、自治体がその問題に立ち向かっているケースすらあります。その数、48自治体。生活を他人に頼らなくてはならないのは、もう他人事ではないようです(急増する「ごみ出し困難世帯」5万世帯が支援受ける│朝日新聞DIGITAL)。自分自身の生活を支えること、そして介護や医療的ケアまでを“自宅”で受ける方法があるとするなら、いわゆる老人ホームへの入居がそのうちのひとつです。

高齢者に合った住まいの確保と、家族の安心を同時に考えても、いわゆる老人ホームへの入居は検討に値するものとなるでしょう。もしもこのような施設への入居を考えた場合、選択肢の一つに介護付き有料老人ホームを入れてください。

今回は介護付き有料老人ホームについてご説明しましたが、検討に際してご記憶いただきたいのは以下の5つのポイントです。

  1. 介護付き有料老人ホームは、基本的に個室(住まい)と介護がセットになったもの。24時間体制で介護が受けられると同時に、連携医療機関の医療行為も受けられる
  2. 民間企業によって運営されているので、リハビリ・医療・高級感など独自の特徴を持つ。選択肢が多いので、希望する暮らし方にマッチしたホームを選べる
  3. 介護付き有料老人ホームは近年増えている。それに対し、入居率はさほど伸びてはいないので、「待機組」となることは少ない
  4. 入居一時金(頭金)と月額利用料、そのふたつを合わせた利用権の支払いなど、契約や支払い方法は複数ある。パンフレットを読む際は、これらに注意
  5. 看取りにまで対応できる施設を探し出せれば、おひとりさま・ご家族が遠方にいる・老老介護の場合も安心。日頃接しているケアマネージャーに相談することで、適した老人ホームを探し出せる可能性も

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