在宅介護

訪問入浴サービスとは?申し込み方法と当日のサービス内容

要介護者にとって、入浴は体を清潔に保つだけでなく、リラックスタイムとして生活の質を保つためにとても重要です。もしも要介護者の要介護度が上がったり、自宅の浴室が狭く入浴介護に適していないような場合どうすればよいのでしょう。

そのような時は、介護サービスの中の「訪問入浴」を使うことができるかもしれません。訪問入浴サービスとはどのようなものでしょうか。無理のない介護生活と要介護者ご本人にとっての必要性について、また、その手順や用意しておくものは何かについてご説明します。

1.訪問入浴サービスとその必要性

要介護度が上がると、自力で浴室へ移動できなくなってしまうことがあります。また、浴室が狭いと、介護する方が入浴の介助がしづらく、結果的に入浴頻度が落ちてしまうことがあります。こうなってしまうと、体を清潔に保つことは格段に難しくなってしまいます。

入浴の際、誰かが手助けすることは、単に清潔行動を促すのみならず、褥瘡(じょくそう・床ずれのこと)の有無や皮膚状態の観察の機会となります。要介護者ご本人にとっても、血行促進・リラックス効果と、心身両面でも大きなメリットがあります。

特に問題になりがちなのが、いわゆる「老老介護」での入浴介助ですが、このようなシーンでも積極的に利用したいのが訪問入浴サービスです。

2.訪問入浴サービスの申し込み方法は?

訪問入浴サービスは、介護保険サービスの中のひとつです。これを必要に応じて利用するために行っておくことは次の通りです。

2-1.訪問入浴サービスの検討

訪問入浴サービスを利用する条件は「要介護1~5」であることが求められます。40~64歳の方であっても、16種の特定疾病により要介護と認定されれば利用が可能です。この条件を満たしている方やそのご家族がケアマネージャーに「入浴の際の困りごと」を相談すると、訪問入浴サービスが適しているかどうかを検討してくれます。

もしもサービス利用が決まれば、介護サービス提供事業者へ申し込み予定者の介護状況などを伝え、どの事業者が引き受けてくれるかを選定してくれます。事業者によっては、タオルや入浴剤、血流を促進するとされる炭酸ガスをお湯に溶け込ませる装置の準備をしていることもありますので、事前にサービス内容を聞いておくのもよいでしょう。

2-2.主治医への確認

要介護の状態と持病の状態など、心身が「入浴に適しているかどうか」を主治医が判断します。もしもこの段階で医師が許可できないと判断すれば、訪問入浴サービスの利用はできません。

2-3.ケアプランの作成

入浴の手助けが必要な方の心身状況や介護保険でカバーできる範囲を勘案しながら、訪問入浴サービスの利用頻度やサービス内容を決めていきます。ケアマネージャーと共に次のようなパターンから、どれが適しているかを検討します。

サービス内容 サービス利用料金 派遣人員
全身浴 約1,300円/1回 看護師1名+介護スタッフ2名
約1,200円/1回 介護スタッフ3名
部分浴と清拭 約900円/1回 看護師1名+介護スタッフ2名
約830円/1回 介護スタッフ3名

※上記は「1割負担」の目安金額です。時間帯や地域により若干の料金変動があります。

2-4.自宅環境のチェックと用意するもの

訪問入浴とは、基本的に介護用簡易浴槽を室内に持ち込んで行うものです。このため、自宅の条件を事前にチェックしてもらいます。

  • 一軒家か、集合住宅か
  • 集合住宅(アパートやマンション)の場合、何階にあるか・エレベーターはあるか
  • 部屋に簡易浴槽を広げられるスペースを充分に確保できるか(2畳分あればよい)

自宅で用意するものは特にありませんが、

  • お湯にするための水(水道)
  • 排水するための浴室ないしはトイレ

を使うことになりますので、必要に応じホースをうまく取り回せるように片づけをしておくとよいでしょう。もちろん、入浴後の着替えやお気に入りのバスタオルがあれば、当日に間に合うように洗濯しておきます。

3.訪問入浴サービス利用当日の流れ

予定した時間になると、訪問入浴車と必要に応じたスタッフがご自宅へ訪れます。それから約1時間の間、以下のような流れで入浴を手伝ってもらえます。

3-1.体の状態のチェック

看護師が同行するプランであれば、まず要介護者ご本人の体調チェックをします。体温・血圧・脈拍などのいわゆる「バイタルチェック」を行い、もしも体調不良と判断されたときは、全身浴から清拭に切り替えるなどの措置をします。

また、褥瘡(じょくそう・床ずれのこと)があるかどうかを確認し、もしもあれば丁寧に洗浄するようにしてくれます。

3-2.簡易浴槽の設置から入浴、入浴後の浴槽撤去まで

体の状態のチェックをしている間に、介護職員は簡易浴槽の設置に入ります。

  • 防水マットを床に敷く
  • 簡易浴槽をマットの上に設置する
  • 訪問入浴車へ水を送り沸かす(アパートやマンションの高層階に住んでいる場合は、自宅で沸かしたお湯を使うことも)
  • 汚水を浴室やトイレに流すホースを設置する
  • 脱衣の手伝い・ベッドから簡易浴槽への移動
  • 入浴・洗髪
  • きれいなお湯で体をすすぐ
  • タオルで体や髪を拭き、着衣の手伝い・ベッドへの移動
  • 入浴後のバイタルチェック
  • 簡易浴槽などを洗浄・消毒のうえ撤去
  • 介護保険に係る書類の作成・捺印

入浴後は、褥瘡(じょくそう)があり、医師から処方された軟膏があれば塗布もしてくれます。事前に相談することで、保湿剤(ボディークリームなど)の塗布、爪切りなどへも対応してくれることがあります。

もしも愛用しているボディーソープやシャンプー・リンスがある場合は、それを使ってもらえるよう伝えておきましょう。

4.要介護者に、より安心感を抱いてもらうために

日頃介護をしているご家族・ご親族がその場にいることは、安心を感じてもらうためにとても重要です。介護スタッフは、要介護者の体を見ること・体に触れることに慣れてはいますが、ご本人に抵抗感がある場合は、入浴の一連の作業のうち一部をご家族・親族が手伝うことでより安心感を抱いてくれることでしょう。

また、訪問入浴サービスを利用した後、サービスを受けたご本人に感想を聞いてみてください。ストレスを感じなかったか、こまめなコミュニケーションで緊張をほぐしてくれたかなど、ご本人でなければわからないこともあります。

普段介護をされているご家族・ご親族も、契約時にサービス内容を細かく説明してくれたか・時間が遵守されていたか・介護スタッフ間の引継ぎができていたかなど、今後もその介護サービス事業者に依頼し続けても大丈夫かどうかを“復習”していただきたいと思います。

5.自宅で自由に部分浴ができる簡易浴槽の価格は?

要介護者が入浴に難しさを感じるひとつの側面に、「浴槽のふちをまたげなくなった」「滑って転んでしまうのではないか」という設備面の問題があるでしょう。要介護者とはいえ、誰かの支えがあればまだ歩行できる状態ならば、自宅で利用できる簡易浴槽を購入してみたいとお考えの方もいらっしゃることでしょう。

今、市販されている簡易浴槽にはいくつかのタイプがあり、それぞれの目安価格は次のとおりです。

  • 空気を入れて膨らませるタイプ=6万円~
  • 浅いバスタブを部屋に床置きするタイプ=13万円~
  • 浴室の洗い場に浴用いすを置き、それを四角の枠と防水シートで囲うタイプ=10万円~

まだまだ訪問入浴を利用するまでもない、しかしながら既存のお風呂場では不安があるときには、このような商品も利用できるでしょう。このような商品を購入しようと考えている場合もまずはケアマネージャーに相談してください。ケースによっては介護保険で購入価格の一部を補助してもらえるかもしれません。

まとめ

在宅での介護において、入浴の手伝いは体力を使う「大仕事」となります。特にほぼ寝たきりとなれば、入浴用リフトを導入するような大規模リフォームをしない限りは不可能ともいえます。介護をする方が体を痛めてしまわないため、また介護をされる方が遠慮をし清潔を保てないようなことを防ぐためにも、訪問入浴サービスを活用しましょう。

今回は訪問入浴についてご説明しましたが、利用にあたって事前に知っておいていただきたいことは次の5つの点です。

  1. 入浴は、清潔を保つだけでなく、心身ともにリラックスするためにとても重要。生活の質(QOL)の維持の面でも欠かせないため、できるだけ欠かさないように
  2. 要介護度が高くなると、横になっている時間が長くなる。褥瘡(じょくそう)が発生してしまうこともあり、体をより衛生的に保つ必要が高まる
  3. 訪問入浴は、介護保険サービスの中のひとつ。ケアマネージャーや主治医に相談し、ケアプランの中に訪問入浴を含めてもらうよう検討
  4. 訪問入浴では、家に簡易浴槽が持ち込まれる。畳2枚分のスペースと、お湯を作る水、浴槽のお湯を排水する浴室ないしはトイレの使用が求められる
  5. 要介護者にとって、家族でない人に体を見られる・触れられることはストレスになることも。家族や親族が立会いや手伝いをして、ストレスを和らげる工夫を
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