サービス付き高齢者向け住宅は「自由な見守り付き賃貸」、元気なうちに検討を

高齢になってはいても、「まだまだ本格的介護は必要ない」「できるだけ自宅にいるような感覚で日々を暮らしたい」という方にとって、選択肢の一つに入るのがサービス付き高齢者向け住宅です。

いわゆる「老人ホーム」にはいくつもの種類がありますが、その中でも「見守り付きの安心アパート」というイメージで捉えていただければよいのがサービス付き高齢者向け住宅(サ高住とも呼ぶ)です。

今回はこのサービス付き高齢者向け住宅について解説します。ひとりないしは夫婦ふたりでの住まいを求めている方に役立てていただきたいと思います。

1.サービス付き高齢者向け住宅とは?

サービス付き高齢者向け住宅とは、国の推奨するものです。民間事業者や社会福祉法人がサービス付き高齢者向け住宅を建設する場合、国がこれを補助する仕組みとなっています。

少子高齢化が進む日本では、核家族化によって親の介護が難しいという家庭もあります。結婚していない、もしくは結婚したが離別・死別したため単身となった高齢者も多くいます。

このような中、高齢者が賃貸住宅を探すのはとても困難です。いわゆる「孤独死」を危惧して高齢者に貸さない/貸したくない物件オーナーは少なくありませんので、高齢者が行き場をなくしてしまうケースもあるのです。

このような問題を解消しようと、国土交通省と厚生労働省の管轄で「介護と医療が連携した住まい確保」の観点から始まったのがサービス付き高齢者向け住宅です。

2.サービス付き高齢者向け住宅の入居条件は?

サービス付き高齢者向け住宅の入居条件は、

  • 介護の必要がない
  • 元気であること

が基本です。介護の充実ではなく住まいの確保が基本ですので、上記2点が求められます。

しかしながら、最近では幅広いニーズに対応するサービス付き高齢者向け住宅も現れていて、要介護4や5の入居者も増えているのが現状です。

  • 看取りを実施している=25.3%
  • 看取り実績はないが可能=32.7%

と合計58.0%のサービス付き高齢者向け住宅が「看取り実施可能」と解答している調査結果もあり、今後、サービス付き高齢者向け住宅に求められる範囲が広まっていく可能性は否定できません(都市部検討会参考資料(住まい)│厚生労働省)。

都市部検討会参考資料(住まい)│厚生労働省

 

しかしながら、全てのサービス付き高齢者向け住宅で介護や医療面を全て手伝える訳でも、看取りまで対応している訳でもありません。その点を考えると、

  • 持病を持っている人=近隣にサービス付き高齢者向け住宅の提携している医療機関があるか
  • 介護度の高い人=どこまで対応してもらえるか

など、しっかり確認し、検討しなければなりません。

3.サービス付き高齢者向け住宅の費用平均はどのくらい?

まだまだお元気な状態であれば、基本的な家賃と共用費、見守りへの対応費用、必要ならば食費が必要な費用となります。月々の利用料金(家賃相当額)は概ねそのサービス付き高齢者向け住宅のあるマンションやアパートに近いものです。

たとえば、東京都東村山市のあるサービス付き高齢者向け住宅を見てみると

  • 家賃=5万3,700円(ワンルーム/浴室共用)
  • 生活相談など=1万円
  • 食事=3万9,900円
  • 共益費=1万5,000円

となっています。

もちろん、豪華なマンションのようなサービス付き高齢者住宅もあり、東京都中央区であれば

  • 家賃=34万9,000円(2LDK)
  • 生活相談など=3万5,000円
  • 食事=3万3,800円
  • 共益費=1万5,000円

というものもあります。

人気の地域であれば高くなり、また、部屋・施設・体制の充実度により高くなり、となりますので、一概に平均費用は導きにくいものではあります。

また、生活保護を受けている人でも入居可能とするサービス付き高齢者向け住宅もありますので、さらに費用平均ははじき出しにくいものとなり、その幅は広いというべきものとなっています。

4.サービス付き高齢者向け住宅で介護サービスは受けられるの?

サービス付き高齢者向け住宅そのものは、安否確認・生活相談・緊急通報の機能しか持ち合わせません。そのため、「自宅での介護」と同様、外部の介護サービス事業所と契約し、1割ないしは2割負担で介護サービスを受ける運びとなります。

介護や医療を受ける際に必要となるのは、

  • オムツ代
  • 介護保険自己負担額
  • 通院する病院の医療費・薬代/付き添いが必要なら付き添いオプション費

などがあります。

連携した介護サービス事業所や医療機関が充実していれば、いざというときの心配事は減りますので、この点もサービス付き高齢者向け住宅の“選び方ポイント”です。

しかしながら、介護の必要がない場合は、賃料+共益費+生活相談+利用した分だけの食費/自炊環境があり自分で用意できる場合は自身で買い物して賄う、の支払いで済みます。

5.資料請求前に利用したい「サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム」

老人ホームなどを紹介する様々なサイトがありますが、これらを経由して資料請求をする前に使ってみたいのが「サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム」です(サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム│一般社団法人高齢者住宅推進機構)。

サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム│一般社団法人高齢者住宅推進機構

まず、お住まいのエリアや、入居を希望するエリアにどのようなサービス付き高齢者向け住宅があるのかを検索、その詳細を見ることができます。

  • 事業を行っているのはどこなのか
  • 間取りと家賃はいくらか
  • どのような設備があるのか
  • サービス提供(見守り・相談)スタッフは何人いるか
  • 緊急通報してから何分でかけつけてくれるか
  • 連携している医療機関や関連した介護系施設はどこか

を知ることができます。

建物外観・内装などだけで判断するのはとても危険です。注意深く、「老後どう安全に快適に暮らすか」に重点を置きましょう。掲載仕切れていない“隠れ費用”はないかどうかも丁寧に確認をし、資料請求に臨むのが好ましいといえます。

当然のことながら、連携している医療機関や介護系施設が多い、ないしは同じ事業者が展開している医療機関・介護系施設があれば、いざというときの安心感も増します。

できれば、要介護度が増しても入居していられるサービス付き高齢者向け住宅が見つかれば、想定される「引越し」の回数も少なく済み、ご本人のみならずご家族の心配も減ることでしょう。

5-1.「一般型」と「介護型」の違いにも注意を

サービス付き高齢者向け住宅には、「一般型」と「介護型」があります。一般型は賃貸借契約で、見守り付きの賃貸物件というイメージで捉えていただいてかまいません。

一方、介護型は利用権契約となっていることが一般的で、入居一時金などで数百万円かかることもあります。それに加え、月額利用料金(食費や光熱費含む)が20~40万円ほどかかります。

介護型は、24時間365日介護職員によるケアを受けることもできますし、ときに認知症にも対応したところもあり、「先々も安心して住んでいられる」満足感を得ることができます。

6.サービス付き高齢者向け住宅の基準は?

高齢者が安心して暮らせる住宅の確保を目的に始まったサービス付き高齢者向け住宅ですが、その基準とはどのようなものでしょうか。

  • 住宅部分=床面積25平方メートル以上
  • トイレや洗面=各室に設置
  • つくり=バリアフリー
  • サービス=最低でも安否確認と生活相談サービスを提供すること
  • 契約=高齢者に不利な契約でないこと・前払い家賃(敷金相当)の返還ルールが定められていること

が最低限の基準です。

6-1.サービス付き高齢者向け住宅のメリット・デメリット

基本的に元気な高齢者向けの住まいであるサービス付き高齢者向け住宅は、マイペースな生活ができることが特徴です。

特に体調面での問題がなければ、外出・外泊はもとより、来客にも制限がかけられていません。完全個室ですので、人と合いたくなければ自分の部屋でゆっくり過ごすこともできます。

自由な住まい、というイメージのサービス付き高齢者向け住宅ですが、類似する住宅型有料老人ホームと比較すると、そのメリットとデメリットが見えてきます。

ホーム種別 サービス 施設 自由度 契約
サービス付き高齢者向け住宅 安否確認

生活相談

介護サービス(外部の事業者と契約)

居室

共用(リビングや浴場など)

外出・外泊OK 賃貸借
住宅型有料老人ホーム 介護サービスや健康管理など希望のものを選ぶ

サ高住より手厚いケア

居室

共用(ジムやプールなど)

レクリエーションやイベントも多い

外出・外泊は制限下にある 利用権

さて、どちらがご自身の考えにマッチしているでしょうか。

7.入るべき「老人ホーム」がわからないときはケアマネジャーなどに相談

既に要支援や要介護認定を受けているときは、担当してくれるケアマネジャーに相談するのもひとつの方法です。とはいえ、在宅介護支援を中心に活動するのがケアマネジャーですので、全ての施設(老人ホーム)について知っている訳ではありませんし、施設の紹介は仕事の範疇ではありませんので無理を言わないよう注意しながら情報を得るようにします。

とはいえ、支援や介護の状態を知ってくれているということは心強いものです。これまで全く自宅でしか暮らしたことがない人にとって、新しい住まい探しは難しいものですが、ケアマネジャーならば少なからず「あそこは知っている」という場所があるはずです。

無理強いしない程度に、情報がもらえないか頼んでみてください。

または、地域包括支援センターや自治体福祉課などへの相談もできます。当然のことながら窓口担当者は公的立場にありますので、「どこそこは評判がいいですよ」「おすすめはここですよ」と特定の施設を推すことはできません。

少なくとも、問題のありそうなところは省いて情報をくれるはずですので、そういった点においては窓口での相談も活用してみたいところです。

まとめ

いわゆる「老人ホーム」のなかでも、まだだま元気で自由に過ごしたい人向けのサービス付き高齢者向け住宅は、国の“肝いり”でスタートしたものです。高齢者の住宅確保と介護・医療の連携を目指したもので、その数も平成23年11月には30戸、平成26年5月には14万8,632戸へと右肩上がりです(高齢者向け住まいについて│厚生労働省)。

老人ホーム選びの選択肢のひとつに入るサービス付き高齢者向け住宅についてご説明しましたが、以下の5つを特に理解しておきましょう。

  1. サービス付き高齢者向け住宅は、高齢者が安心して住むことのできる「賃貸住宅」に、見守り・相談を加えたもの
  2. サービス付き高齢者向け住宅への入居条件は「元気」「介護の必要がない」こと。中には介護から看取りにまで対応するところもある
  3. サービス付き高齢者向け住宅の月額費用(家賃に相当)は、その近隣のマンション・アパートに近い
  4. サービス付き高齢者向け住宅で介護を受けるときは、外部の介護サービス事業所と契約、自宅で介護を受けるのと同様に
  5. サービス付き高齢者向け住宅情報提供システムで調べ、ケアマネジャーや地域包括支援センターから情報を得るのも一案