老後の家はどうすべき?状況別の対応策をご紹介

老後の家の確保は、「安全の確保」という側面を持っています。若い頃はなんでもなかった階段・段差がケガの原因になることもあります。杖や車椅子を使用しなければならなくなったときには、トイレやお風呂などが使いづらくなることもあります。

では、老後はどのような家に住めばよいのでしょうか。何かの時に今ある家はどうすればよいのか、住み替えを考えたときに考慮すべきことなどを解説します。

1.老後、家に求める機能は大きく変わる

まず、私たちが家そのものに求める役割について考えてみましょう。そうすることで、老後の家を求める・住み替えるときに必要なチェックポイントが見えてきます。

1-1.若いときの家

一般的に、家やマンションを購入するのは、20~30代の若い頃です。結婚したり、子どもが生まれたりし、「自分たち専用のスペース」が欲しくなって購入に至るのではないでしょうか。日々の暮らしを快適にすること、子育てのために良い環境を得ることを主眼に置くでしょう。

それはとても大切なことです。仕事をしながら家事や仕事に忙しくする日々、どれだけ効率よく、しかも楽しい家にするかを念頭におくことは、若年層において何より重要なことだからです。

また、子どもの人数によっては、子ども部屋をいくつも用意しなければなりませんし、家族のだんらんスペースであるリビングやダイニングも広いほうが便利でしょう。「若い頃の家」には必要とするスペースが広くなる特徴があります。

1-2.老後の家

いよいよ子どもたちも巣立ち、夫婦ふたりで暮らし始めたときには、若い頃とは違う機能が求められます。

足腰が弱ってくること、時には杖や車椅子が必要となることを考えれば、階段や段差は時として“凶器”となります。実際、高齢の方を含む「住人」がケガをする場所の1位は「家の中」で、全体の7割を越えているのです平成25年版消費者白書・(1)生命・身体に関する高齢者の消費者事故│消費者庁)。

しかも、一度転倒してしまうと、重症・危篤・死亡など、大きな事故につながることもあります。このことを考えると、「いかに安全な家にするか」ということが最重要項目といえるでしょう。

せっかく老後用の家を購入しても、転倒事故後に病院への入院、寝たきりになってしまったため施設への入所を余儀なくされてしまえば、その家を購入したこと自体が無駄になってしまう可能性も考えられなくはありません。

そのような悲しい事態を避けるためにも、バリアフリーの平屋が望ましいものです。トイレやお風呂も、車椅子で出入りできるよう広くとることも考えておきたいところです。そのような家は、まだまだ動けるという期間であっても、家事が楽というメリットがあります。

2.家を持っている方が今の家に住み続ける方法

既に家を取得している方が、「この家を老後も使いたい」と思われるときには、リフォームが必要になってきます。このようなケースで抑えておきたいポイントは以下のとおりです。

2-1.先々を見越し、リフォームする

もしも足腰の自由が効かなくなり始めると、家の中でも杖をついたり、車椅子を利用したりしなければならなくなります。この状態に先手を打つためには、

  • 車椅子でも行き来できる広い廊下
  • 車椅子で出入りできるトイレ・お風呂
  • 本人や介護者の動作・作業が楽になる設備
  • 玄関スロープの設置

の4点を重点的に考えなければなりません。

もちろん、階段や段差をなくすことは不可欠です。もしも2階建ての場合は、2階は子や孫が遊びに来たときだけ使うようにし、自分たちの生活は1階だけで完結するよう検討します。

2-2.多少狭くなっても、動線を短くする

可能な限り、生活に関わる動き(動線)を短くする工夫ができないか検討をします。

  • トイレと寝室を近づける
  • 洗濯機設置場所と物干し場を近づける
  • キッチンに勝手口を設けて外部へのアクセスを楽にする

このように間取りを変更すると、リビングやダイニングが狭くなる可能性はあります。しかしながら、毎日の暮らしにまつわる作業を簡便にすることは何物にも代えがたいことでしょう。

2-3.【重要】リフォーム費に加え、メンテナンス費も多めに確保

若い頃に手に入れた家は、メンテナンス費がかかり始める時期にさしかかっていることでしょう。上記のように、老後に適した家にするリフォーム費用と、家そのもののメンテナンス費用を見積もってもらい、多少余裕のある予算を組んでおくとよいでしょう。

その家を継いでくれる子や孫がいなければ、リフォームはしてもメンテナンスは最小限にとどめ、自分が住まなくなったときに解体が簡易な状態にしておくのもひとつの方法かもしれません。

3.今の家を離れざるを得ない・手入れしなければならないときはどうする?

これまで住んできた家に手を加えるには費用がかかりすぎるとき、他の方法を考えなければなりません。次のようなケースが考えられます。

3-1.家を売り、賃貸に引っ越す

広い家を持て余し、手入れもままならないときは、賃貸物件へ引っ越すというのもひとつの方法です。

できれば、マンションも選択肢に入れてください。マンションであれば、暮らしのすべてが「平面」で完結します。また、水周りなどの設備がコンパクトにまとまっていますので、掃除を含む家事がとても楽です。

きちんとした管理会社の付いているマンションを選べば、いざというときに手を借りることができるかもしれません。どこまで対応してくれるか、事前に調べておいてください。

しかしながら、賃貸物件はオーナーの考えにより高齢者を「受け入れづらい」とし、断られることもあります。

3-2.家を売り、サービス付き高齢者向け住宅に入居する

賃貸物件の契約ができなかった、ずっと住み続けるためにサポート体制が欲しい、という場合は、「サービス付き高齢者向け住宅(通称・サ高住)」も視野に入るでしょう。高齢者の住宅確保が難しい側面を支えるため、介護サービス業者や医療施設との連携のある賃貸住宅を増やすことを目的に、国が促進しているものです。

サービス付き高齢者向け住宅は、入居者を高齢者に限定していますので、バリアフリーが基本です。しかしながら、体を動かしづらくなったとき、病気になったとき、どこまで対応してくれるかはその施設により異なりますので、事前に調べておくことが必要です。

※入居・入所できる施設については以下でもご説明していますので、ご参考になさってください。

老人ホームの種類と知っておきたい「それぞれの特徴・役割と費用」

2017.05.31
 

3-3.二世帯住宅にする、もしくは同居する

老後の家を確保する方法のひとつとして、二世帯住宅を建てる、もしくは同居するというものもあります。住宅ローンを支払い終え、家も建物も自分名義でしたら、検討する方法は次の通りです。

  • 自宅はリフォーム、同じ敷地内に別棟として子世帯が住む(正しくは二世帯住宅ではない)
  • 自宅のリフォームと同時に、増改築して子世帯が住めるようにする
  • 新たに二世帯住宅を建てる

いずれにせよ、親世帯・子世帯の関係性を充分に検討し、無理のない暮らしができるように工夫しましょう。ライフスタイルや生活時間帯が異なることも珍しくありませんので、家族間のストレスがないように配慮した家づくりを目指します。

3-4.家を賃貸に出し、収益で賃貸物件や高齢者向け住宅に入る

土地や家を財産として保持しながら、老後の家にふさわしい設備を整えた賃貸物件や高齢者向け住宅に入るために、今の家を賃貸物件として貸し出すという方法を採用できるかもしれません。

古い家でも「セルフリフォームOK」など、許せる範囲で借り手のメリットを打ち出せば、きっと借りたい人は現れるはずです。実際、家の強度を落とさない程度のDIY(壁紙の変更など)を許可している物件は、若い世代にとって魅力的に映るご時勢となってきました。

もしも家や土地を手放さず、子に残したい場合は、このような条件で貸し出すことで賃料を得、財産をキープしながら好みの場所へ入居・入所することもできるでしょう。

4.「老後の家」とは、あなたにとって何がベストかをまず考える

高齢者にとって、「老後の家」とはさまざまな意味を持ちます。さて、あなたにとっての老後の家とは、どんな条件を満たしているべきものでしょうか。

4-1.環境

老後の生活を考えると、家に求める条件は、自然に囲まれている、もしくは買い物や通院が便利、のどちらかではないでしょうか。

いずれにしても、体の状態の変化に応じて求めるものは変わっていくはずです。そのことを考えると、購入ではなく、賃貸の方が有利かもしれません。体が動くうちは緑豊かな中で生活をしたい、頻繁に通院・入院を繰り返すようになれば街なかに住みたいと思うようになるかもしれないからです。

賃貸ならば、土地や家に縛られず好きなところに住み替えできる可能性が高まります。

4-2.家族

もしも子世帯など、ご家族や親族と共に住んでいるのであれば、それそのものが安心材料となってくれます。いざというときの手助けも得やすいですし、何より「だれかがそばにいること」は高齢者にとってうれしいものです。

そのようなときは、やはりリフォームを考える必要があるでしょう。自宅内でのケガが寝たきりにつながる可能性を考えれば、家族のためにもバリアフリー化は積極的に考えたいところです。

4-3.【注意が必要】お金

老後の家をどうしても「買いたい」ときは、先に挙げたとおりマンションないしは平屋が便利です。生活に伴う動きが少なくて済みます。しかしながら、ある程度の年齢になって中古のマンションや一戸建てを購入するにはリスクが伴います。

まず、住宅ローンを組むことができないでしょう。そして、マンションならば修繕積立金が、一戸建てならばメンテナンス費用が別に必要だからです。

かといって、安い物件の購入はおすすめできません。古いマンションの修繕積立金は年々高くなっていくはずですし、古い一戸建てには膨大なメンテナンス費用がかかるはずなのです。

もしもそれらを避けるならば、高級老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅を考えてみてください。入居に際し大きな一時金が必要なときは、思い切って家を売ってしまうことも考える必要があるでしょう。

まとめ

老後の家をどうするか、との問いに対する答えは十人十色であるはずです。何を求めているのか、持ち家の状態はどうなのか、家族との関係はどうなのか、など様々な要因を総合的に考える必要があるからです。ここでご記憶いただきたいのは、以下の5点です。

  1. 一般的に、世代によって家に求める機能は変化する。結婚、子育て中、夫婦ふたりになったとき、体の自由が制限され始めたときなど
  2. 老後の家にはリフォームが必要なことも。バリアフリー化(すべてフラット・廊下やトイレ、浴室を広くするなど)がポイント
  3. 家を改修する、建て替える、売って次の住まいを確保する、のいずれかが主な選択肢
  4. 老後の家に求める要素に優先順位をつける。環境・家族・お金などの側面から、どのような家が必要なのか充分に検討する
  5. 家は財産。しかしながら、老後を快適に暮らす家を確保するためには、時として売却も選択肢に入る