「正社員として介護職」覚えておきたいこと2つ!ゆとりある収入のために

正社員として介護の仕事をする中で、問題に直面してはいませんか。特に「手取り額が少なく生活が苦しい」、「せっかく正社員になれたのに、パートのほうが収入がよかった」といった給与面での悩みを抱えている方は少なくありません。

人材不足といわれる介護の世界ですが、なぜこのようなことが起きるのでしょうか。そして、その問題を解消する方法にはどのようなものがあるのでしょうか。今回は正社員として介護業界で働くことの意味と給与の問題、そして不足しがちとされる手取り額をアップする方法についてご説明します。

1.介護業界の「お給料のこと」、現実はどうなの?

まず、正社員として介護施設やサービス事業所で働いている人たちの平均給与についてみてみましょう。働く場所(施設など)によって多少変動があることが理解できます。これらはあくまでも施設・サービス事業所での平均ですので、目安として考えてください。

※以下は「平成28年度介護従事者処遇状況等調査結果(月給・常勤の者/P69)」を引用しています。平均給与額は、基本給(月額)+手当+一時金(4~月支給金額の6分の1)として計算されています。表は、左から「介護職員数(累計対象数)」/「平均年齢」/「平均勤続年数」/「実労働時間数」/「平均給与」となっています。

1-1.介護老人福祉施設、時給換算で約1,929円

介護老人福祉施設の平均給与額は31万8880円で、勤務時間は165.3時間です。時給換算すると、約1,929円となりました。

1-2.介護老人保健施設、時給換算で約1,886円

介護老人保健施設の平均給与額は30万5810円で、勤務時間は162.1時間です。時給換算すると、約1,886円となりました。

1-3.介護療養型医療施設、時給換算で約1,749円

介護療養型医療施設の平均給与額は27万7950円で、勤務時間は158.9時間です。時給換算すると、約1,749円となりました。

1-4.訪問介護事業所、時給換算で約1,679円

訪問介護事業所の平均給与額は28万3220円で、勤務時間は168.6時間です。時給換算すると、約1,679円となりました。

1-5.通所介護事業所、時給換算で1,522円

通所介護事業所の平均給与額は25万3880円で、勤務時間は166.8時間です。時給換算すると、約1,522円となりました。

1-6.認知症対応型共同生活介護施設、時給換算で約1,555円

認知症対応型共同生活介護施設の平均給与額は26万430円で、勤務時間は167.4時間です。時給換算すると、約1,555円となりました。

2.「こんなにもらっていない」という方…正社員である意味は「安定」

上記は、調査対象の事業者の平均額です。学歴・保有資格・キャリアなどの諸条件は考慮していない「平均額」ですので、「こんなにもらっていない!」と即座に反応なさらないでください。また、月給(給料)と手取り額には差があることも、改めて思い出してください。

給与(額面どおり)は、会社が正社員に支払うすべての金額を指します。年収(ボーナスがあればボーナス込み)を12カ月で分割した基本的なお給料のことです。一方手取り額は、所得税・住民税や社会保険などを差し引いた額です。このため、年収(月給)と手取り額との間に差が生じるのです。

固定で給料が支払われている正社員は、言い換えれば「毎月決まった額が支払われている人」です。つまり、シフトの多寡によって収入の差が生じるパートやアルバイトと比較すると安定していることが特徴です。正社員の方が時給換算したとき余りの安さに驚くことがあります。しかしながら、税金や社会保険を支払った後の額であることを知っておくと、その分安心を得ている側面が見えてくるでしょう。

3.副業はOK?給料をアップする方法はある?2つの方法のメリット・デメリット

いくら安定した身分である正社員であったとしても、実際に使えるお金(手取り金額)が少ないと生活が苦しい状況に追い込まれてしまいます。実家暮らしの単身者ならまだしも、結婚し子育て中ともなると、暮らしそのものが脅かされてしまうことも考えられます。

そのような場合、収入を増やす方法を探そうとするのは人情ですが、その方法2種について知っておいてください。

3-1.副業したい

正社員の場合、まず就業規則を確認してください。その中に副業についての項目があれば、しっかりチェックします。概ねの会社では「副業禁止」となっているはずですが、それは

  • 本業(つまり正社員として働いている今の仕事)に集中してほしい
  • 自社でのノウハウ、顧客情報が流出しないようにしてほしい
  • 会社の品位を落として欲しくない

という意図のもと定められているものです。

しかしながら、それを理解した上でも生活が苦しいのであれば、まず上司に相談してください。

就業規則に違反した場合、注意、減給、ときに解雇されてしまうことがあります。これらのリスクを背負ってひやひやしながら副業をするより、本当に生活が苦しいこと、副業が会社に迷惑をかけない内容のものであることなど、正直に申告し許可を得るべきでしょう。

3-2.給料そのものをアップしたい

いずれ結婚したい、子供が欲しいなど、“将来的に”お金が必要になることがわかっているのであれば、早めにキャリアアップ(資格取得など)に取り組む必要があります。介護事業者が先進的かつ前向きな場合、資格取得に向けて金銭的なサポートをしてくれるでしょう。また、その資格を活用し長く勤務してくれる人を大事にし、給与アップのチャンスを与えてくれるはずです。

介護の仕事をなさっている方、これから介護の仕事に就こうと学んでいる方ならご存じの「キャリアパス」ですが、大まかにいうと役職ごとの仕事内容・責任・必要なスキルを明確に定め、昇進や昇給に繋げることを介護事業者に求めるものです。

平成24年度(2012年)からスタートした「介護職員処遇改善加算」から始まったキャリアパスですが、平成27年、そして平成29年には以下のように広がっています(介護人材の処遇改善について│厚生労働省)。

介護人材の処遇改善について│厚生労働省

平成29年に変更された点は、介護人材の処遇改善について、キャリアアップの仕組みを検討、それに対して正しい評価を行うための区分を「新設」した部分です。

  • キャリアパス要件Ⅰ=職位・職責・勤務内容に応じた人材の用い方や賃金体系を整備
  • キャリアパス要件Ⅱ=人材の資質や能力向上のための目標・研修計画の策定、評価制度を定める
  • キャリアパス要件Ⅲ=職員の資格・キャリアに応じた昇給に関する基準を定める

これらすべてを満たした場合、「新加算(月額3万7,000円)」に該当し、加算対象となるサービスを提供する従事者(正社員・パートなど)が賃金改善の対象となります。この制度に対応している事業所に勤務しているのであれば、質問・相談してみてください。

また、このキャリアパスの考え方の一部として、「介護プロフェッショナルキャリア段位制度」も制定されました。介護職で利用できる資格を保有している人材が、実際にそのスキルを発揮しているとき、段位を認めようとするものです(厚生労働省「介護職員資質向上促進事業」介護プロフェッショナルキャリア段位制度│厚生労働省)。

認められる知識・スキルを持つことは、あなた自身の価値をあげるものとなります。今後も介護の世界で仕事をしていたい、給料を上げて行きたいと考えるのであれば、「知識・スキル」を手にし、それを正しく判断してくれる事業所へ勤務することが必要です。転職も検討すべきかもしれませんが、知識とスキルを評価されていれば、転職も有利にスムーズに運ぶことでしょう。

※介護の仕事に役立つ資格については、以下の記事もご参考になさってください。

介護の仕事で役立つ資格一覧と難易度、「辛さ・やりがい」を解説!

2017.10.13

4.介護事業所は“二極化”中、正社員になるなら大手を狙う!

残念ながら、老人福祉・介護事業所の倒産件数は2016年で過去最多となった調査結果があります。その内訳は、従業員5人未満で73.1%、設立から5年以内が50.0%となっています。

そして、

  • ノウハウ不足
  • 資金面の課題

が倒産に追い込まれた理由とされています(2016年(1-12月)「老人福祉・介護事業」の倒産状況│株式会社東京商工リサーチ)。

このことを冷静に考えると、働きを正しく評価してくれ、働きやすさにも配慮してくれるであろう資本金の大きな介護事業所が“有望”です。これらの大手事業所が正社員募集をしているのであれば、転職先の候補として検討することも大切です。

このような事業所は人気も高く、募集枠がすぐに埋まってしまう可能性が高いので、転職サイトに登録し、常に募集動向をチェックしておくのが大切です。

まとめ

どのような業界にいても、「正社員」とは会社に守られている存在です。そのため、勤めるなら正社員になりたいと希望する方も少なくないはずです。介護の世界では人手不足はどなたでもご存じのことですが、パートと正社員を比較したとき、「正社員なのに暮らし向きが向上しない」と感じることはないでしょうか。

今回は正社員として介護の現場で働くことの意味や平均月収(時給換算)、生活費が不足するときの対処法などをお伝えしましたが、特に重要なのは以下の6点です。

  1. 介護の現場で正社員として働くと、時給換算平均は1,500円~。各種施設や訪問介護事業所など、「働く場所」によって差が生まれる
  2. 年収(ボーナス込み)÷12カ月が給与。毎月決まった額が支払われる正社員は、たとえ時給換算で収入が低く感じても「安定」という恩恵を得ている
  3. 副業を考えている場合は、就業規則を確認。禁止されている場合は、生活が苦しいことを上司に伝え、何らかの方法がとれないか相談
  4. 将来的に給料を上げていきたいときは、資格取得を。国も「処遇改善加算」という制度で、職員の給与アップの仕組みを整えている
  5. 資格・知識・経験は、あなた自身の“武器”となる。同じ職場での給与アップや、転職を考えたときにも有利に働く
  6. 介護事業所は“二極化”が進んでいる。正社員になるなら、介護職専門の転職サイトを使い、大手事業所を狙うのもひとつの方法