老人ホームの種類

老人ホーム

老人ホームの種類と知っておきたい「それぞれの特徴・役割と費用」

親御さんの介護が必要になりそうと感じたとき、または実際に在宅で介護をされている方がつらさを感じ始めたとき、老人ホームの存在が気になり始めるところです。老人ホームといっても、その種類は様々で、何がどの役割を果たすのかわからないという方もいらっしゃるでしょう。

いわゆる「老人ホーム」の種類はどのようなものがあるのか、どのような状態の人を受け入れてくれるのか、費用の目安などを解説します。

1.いわゆる「老人ホーム」とは

老人ホームとは、単に高齢者が入所する場所ではありません。どの程度介護や支援を必要とするのかを基準にし、「入るべき老人ホーム」が定められます。「医療行為が必要かどうか」も大きく影響します。

では、その老人ホームの内訳をみてみましょう。厚生労働省が公表した資料によると、様々な老人ホームは、介護保険法や老人福祉法、社会福祉法の3つの法の下に展開され、それによって性質や提供されるサービスが異なります(施設・居住系サービスについて│厚生労働省)。

【介護保険施設】

・介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)

65歳以上のものであって、身体上又は精神上著しい障害があるために常時の介護を必要とし、かつ、居住においてこれを受けることが困難なものを入所させ、養護することを目的とする施設(介護保険法第8条第26項/要介護高齢者のための生活施設)

・介護老人保健施設

要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設(介護保険法第8条第27項/要介護高齢者にリハビリ等を提供し在宅復帰を目指す施設)

・介護療養型医療施設

療養病床等を有する病院又は診療所であって、当該療養病床等に入院する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて、療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護その他の世話及び機能訓練その他必要な医療を行うことを目的とする施設(旧・介護保険法第8条第26項/医療の必要な要介護高齢者の長期療養施設)

【高齢者向け住まい】

・サービス付き高齢者向け住宅

状況把握サービス、生活相談サービス等の福祉サービスを提供する住宅(高齢者住まい法第5条/高齢者のための住居)

・有料老人ホーム

  1. 入浴、排せつ又は食事の介護
  2. 食事の提供
  3. 洗濯、掃除等の家事
  4. 健康管理

のいずれかをする事業を行う施設(老人福祉法第29条/高齢者のための住居)

・養護老人ホーム

入居者を養護し、その者が自立した生活を営み、社会的活動に参加するために必要な指導及び訓練その他の援助を行うことを目的とする施設(老人福祉法第20条の4/環境的、経済的に困窮した高齢者の入所施設)

・軽費老人ホーム

無料又は低額な料金で、食事の提供その他日常生活上必要な便宜を供与することを目的とする施設(社会福祉法第65条・老人福祉法第20条の6/低所得高齢者のための住居)

・認知症高齢者グループホーム

入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話及び機能訓練を行う住居共同生活の住居(老人福祉法第5条の2第6項/認知症高齢者のための共同生活住居)

2.具体的に、どのような人が入れる?運営はどこ?費用の目安は?

具体的に、どのような人が入れる?運営はどこ?費用の目安は?

法の定めによって各種老人ホームが運営されていることをご理解いただけたと思います。実際にどのような人がどこに入れるのか、運営しているところ(設置主体)はどこなのか、費用は、といった「入居を検討している方」にとって必要な目安・内訳は以下のとおりです。

2-1.介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)/自己負担10万円~

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)は、地方公共団体や社会福祉法人により運営されています。目安となる介護度は要介護3~5で、介護度や家族が介護にかかわれるのかどうかといった環境も検討され、緊急度を判定、急を要する方から入所となります。日常のお世話(入浴・排泄・食事)やリハビリなどを受けることとなりますが、24時間体制でも医療ケアは提供できないこともあります。

個室ならば月額15万円程度、複数ベッド室ならば月額10万円程度で利用できます。しかしながら、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の空き待ちをしているいわゆる「待機老人」は、平成21年の調査で約6.7万人とされていて、入居までに時間がかかってしまう面があります。また、「看取り」への対応、「終の棲家」の役割を担うための体制が課題となっています。

2-2.介護老人保健施設/自己負担8万円~

介護老人保健施設は、高齢者または40歳以上で特定疾病にかかり要介護認定された方のための施設で、地方公共団体や医療法人により運営されています。病気やケガにより入院しある程度治癒したものの、自宅での介護が難しい方が自宅復帰するまで「寄り道」する施設として機能しています。目安となる介護度は要介護1以上、日常のお世話(入浴・排泄・食事)やリハビリなどを受けることとなります。運営している医療法人が、退所後のケアのため、訪問介護事業所を設置していることもあります。自宅復帰後のケア法や相談事にも対応してもらえることもあります。

利用月額は、8万円~です。

2-3.介護療養型医療施設/自己負担10万円~

介護療養型医療施設は、先の介護老人保健施設の機能に加え、医療や介護の体制がより強化された施設です。設置主体は地方公共団体ないしは医療法人です。イメージ的には「ほとんど病院」といったもので、生活援助サービスのひとつであるレクリエーションなどはほぼありません。

要介護1以上の方が対象となっていて、利用料金は月額10万円~です。

※基本的に医療行為を必要としない高齢者の利用も少なくないため、廃止・他の施設への転換の方向です。しかしながら、看取りやターミナルケア(終末期において苦痛を減らすケア)の面では頼れる存在ともいえます。

2-4.サービス付き高齢者向け住宅/自己負担5万円~

サービス付き高齢者向け住宅は、バリアフリー化された建物に、賃貸契約という形式で「入居」する場所で、設置主体は営利法人が中心です。最低でも安否確認と生活相談サービスが附帯していて、必要に応じて食事や清掃、洗濯など家事援助(有料)が提供されます。60歳以上の方(もしくは要介護・要支援認定を受けている60歳未満の方)単身での入居、または入居する方の配偶者や親族との同居が認められることもあります(施設により)。

入居できるのは自立した生活ができる人が中心ですが、施設によっては介護事業者や病院との連携により身体状態が悪化しても住み続けられることもあります。

一般の賃貸住宅と同じように、敷金2~3か月分が必要で、月額利用費は5万円~です。

2-5.有料老人ホーム/自己負担12万円~

有料老人ホームという呼び方をする施設の中には、「介護付有料老人ホーム」「住宅型有料老人ホーム」「混合型有料老人ホーム」があります。運営は営利法人で、求めるサービスにより施設を選ばなければなりません。

  • 介護付有料老人ホームは、65歳以上・要介護者へのケアが24時間体制
  • 住宅型有料老人ホームは、65歳以上・自立生活ができる方から要介護の方
  • 混合型有料老人ホームは、60歳以上・上記2つのパターンの混在で、要介護となったときも居住できる

アパートのようなイメージの施設から、豪華なマンションのようなものまでありますので、サービス内容や希望するライフスタイルから選択します。

2-6.養護老人ホーム/自己負担0円~

養護老人ホームは、地方公共団体や社会福祉法人が運営しています。65歳以上の方へ日常生活に対するお世話、機能訓練や療養上のケアを行っている施設です。経済的理由や家族の問題などにより、自宅で養護されることが難しい方向けです。要介護者の属する世帯が生活保護を受けている、もしくは市町村民税の所得割を課税されていないなど、著しく所得の低い方が対象です。要介護認定(要介護1以上)を受けている方は入れません。また、長期間の入所はできませんので、「一時的にお世話になる場所」と考えなければなりません。

2-7.軽費老人ホーム/自己負担0円~

軽費老人ホームは、地方公共団体や社会福祉法人、知事許可を受けた法人が運営しています。60歳以上の単身ないしは夫婦で入居できますが、条件として自立した生活が難しいこと、家族による援助が受けられないことと、いった条件がつきます。

自立した生活が難しい方とはいえ、身の回りのことは基本的に自分で行わなければなりません。提供されるサービスは、見守り・外出時のサポートが中心です。食事を提供する「A型」、自炊が前提の「B型」とで負担費用が異なります。

2-8.認知症高齢者グループホーム/自己負担15万円~

認知症高齢者グループホームの運営は、営利法人が行っています。認知症と診断され、要支援2以上の認定を受けた方が入ります。少人数での入居ですので、家庭的な雰囲気ではありますが、体の状態によって長期入居が困難となることもあります。他の入居者とのトラブル(暴力)などを起こしてしまったり、長期間病院への入院が必要で実質空き部屋となってしまった場合は退去しなければならないこともあります。

3.年金受給額が低くても、入居・入所費用は払える?

年金受給額が低くても、入居・入所費用は払える?

会社勤めで定年まで勤め上げた方ならば、2017年の年金支給額(厚生年金・夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額・平均標準報酬×40年間)である月額221,277万円(平成29年度の年金額改定についてお知らせします│厚生労働省)で入居・入所費用を支払うことは可能でしょう。

しかしながら、自営業者のつみあげた国民年金(老齢基礎年金の満額・1人分)での年金は月額64,941円です。このような場合、上記に挙げた老人ホームへの入居・入所は難しいかもしれません。このようなときのため、世帯の所得額に応じて自己負担額の上限が定められていて、これを「高額介護サービス費支給制度」といいます。「介護費用はいくらかかる?平均額と平均期間、それに対抗する方法」でもご説明していますのでご参考になさってください。「自分の希望通りのところではない」「空きがなく待たなければならない」といった問題はあるにしろ、費用的な面でケアをあきらめなければならないわけではありません。

もちろん、親や自分自身の老人ホーム費用のため、今から積み立てをしておかなければ自由が効かないのも事実です。少なからず、「待機老人状態」を避けるために金銭的な準備は不可欠といえます。

4.どの老人ホームが適しているのかはどこでわかる?

老人ホームの種類についてある程度知っていただいたところですが、「でも、結局どこを選ぶべきか」という疑問をお持ちでしょう。というのも、上記の施設の目安金額は、実質「人それぞれ」だからです。要介護の程度や、どのようなサービスを求めるのか、毎月どの程度なら支払えるのか、といった複合的な要素が絡んでいるからです。

このようなときは、要介護者がお住まいのエリアの「地域包括支援センター」へ相談に出向いてください。その地域の施設情報に詳しく、介護保険にも通じたケアマネージャー、社会福祉士などがいます。要介護者の状態によっては、成年後見制度についても学ばなければならないかもしれません。また、介護保険で受けられるサービスや申請の方法についても教えてくれます。

もしも身近な場所に地域包括支援センターが見つからない場合は、要介護者がお住まいの市町村役場へ問い合わせてください。

5.老人ホームに支払った費用、医療費控除対象になる?

老人ホームの入所・入居にかかった費用の一部は、医療費控除の対象になることがあります。医療費控除の対象になるのは、それが「医療行為に対する費用かどうか」、という点により決まります。

  • 医療行為を提供する施設(介護老人保健施設・介護療養型医療施設)で自己負担した介護サービスや居住費、食費
  • 福祉の位置づけにある施設(介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設)で自己負担した介護サービスや居住費、食費の一部
  • 医師が「おむつの使用が必要」と認めた要介護者の紙おむつ購入費(おむつ使用証明書とおむつ代金領収書が必要)

これらについても、対象になるかどうか、地域包括支援センターなどで相談してください。

6.老人ホームに入所・入居、その平均日数と「その後」

老人ホームに入所・入居、その平均日数と「その後」

先に注目した厚生労働省の資料(6ページ)には、「介護保険3施設における入所者・退所者の状況」の項目があります。これによると、入居・入所する施設は要介護者の状態により異なり、また入所・入居の期間によって「行く先」が異なることがうっすらと見えてきます。その内訳を資料にある3パターンから理解しておくことも有益でしょう。

6-1.「家庭」から「介護老人福祉施設」へ/約1,475日在所

介護老人福祉施設へ入る前に要介護者がいた場所は家庭が最も多く31.8%です。それについで、医療機関が24.5%、介護老人保健施設が22.0%と続きます。介護老人福祉施設での平均在所日数は1,474.9%で、退所後の状況は63.7%の方が死亡、医療機関へ移された方は28.9%、家庭へ戻る方は2.9%と続きます。

6-2.「医療機関」から「介護老人保健施設」へ/約329日在所

介護老人保健施設へ入る前に要介護者がいた場所は医療機関が最も多く52.6%です。それについで家庭が28.8%、その他が11.8%と続きます。介護老人保健施設での平均在所日数は329.2日で、退所後の状況は48.9%の方が医療機関へ移され、23.8%の方が家庭へ、9.3%の方が介護老人福祉施設へ移り、3.8%の方がお亡くなりになっています。

6-3.「医療機関」から「介護療養型医療施設」へ/約412日在所

介護療養型医療施設へ入る前に要介護者がいた場所は医療機関が最も多く75.2%、ついで家庭が12.0%と続きます。介護療養型医療施設での平均在所日数は412日で、退所後の状況は34.7%が医療機関へ移り、33.0%はお亡くなりに、12.1%の方は家庭へ、6.5%の方は介護老人福祉施設へ移っています。

まとめ

老人ホームと呼ばれる施設の種類やその役割、概ねの費用などについてご説明しました。このページで覚えておいていただきたいのは以下の5つです。

  1. いわゆる「老人ホーム」は、介護保険法や老人福祉法、社会福祉法によって設立・許認可されていて、提供できるサービスが異なる
  2. 老人ホームは、「介護老人福祉施設」、「介護老人保健施設」、「介護療養型医療施設」、「サービス付き高齢者向け住宅」、「有料老人ホーム」、「養護老人ホーム」、「軽費老人ホーム」、「認知症高齢者グループホーム」の8つに分類される
  3. 手にしている年金額だけでは、思ったとおりの施設に入れない・待機老人状態になってしまうことも。しかしながら、世帯所得額に応じて自己負担額上限を決める高額介護サービス費支給制度がある
  4. 「医療行為に対する費用」と認められれば、医療費控除の対象になるものも。紙おむつ購入費もそのひとつ
  5. 要介護者の状態によって入れる施設は異なり、平均在所日数も違う。残念ながら、ときとしていわゆる老人ホームで最期を迎えられる方も
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