在宅介護

介護食の宅配利用をオススメする3ケース!サービスの選び方について

年齢を重ねると、体の随所が弱ってくることはみなさんご存じのとおりです。これは、手足のみならず、食事をするときに求められる「噛む」「飲み込む」動作に関わるあごやのど周りにも起こりうることです。食べるということは、日々の活力につながるものですので、ないがしろにはできません。

このようなとき、重要なのが介護食です。介護食という言葉を耳にしたことはあっても、「何のために必要なのか」「どのようなものを準備しなければならないのか」という方のために、具体的にご説明したいと思います。

1.介護食の必要性

年齢を重ねると体中の筋力が落ちていき、食事を噛み砕くことが難しくなります。また、虫歯や歯周病などで口内の環境が悪化すると、若い頃のように何でも自由に好きなだけ食べるということがしづらくなります。中には飲み込む力が弱まってしまう方もおられ、ときとして食べ物が気管に入り誤嚥性肺炎を起こしてしまうこともあります。それでも、全身状態をできるだけ良いものに保つため、栄養の摂取は欠かせません。

そのようなときに必要となるのが食べやすいよう工夫した介護食です。介護食を取り入れると、「食べやすいものばかりに偏り栄養不足になる」「のどに詰めて危険な状態になる」というリスクを低減することができます。また、食べることはどの年代の方にとっても楽しみのひとつです。食の楽しみを確保することで、生活の質(QOL)を下げない工夫をしなければなりません。

2.介護食を取り入れる際の注意点

介護食を日々の暮らしに取り入れる際、注意すべきことがあります。それは次の3つのポイントです。これから介護食に取り組まなくてはならない方に知っておいていただきたい事柄です。

2-1.【心理面】可能な限り家族の食事と似たものにする

いくら高齢者で特別なケアが必要とはいえ、自分だけ家族と違うものを食べているとなると、ご本人がなんとなく疎外感を抱いてしまうかもしれません。迷惑をかけているのではないか、特別な手間をかけて申し訳ないといった気持ちを持つこともあるでしょう。

家族のために用意した食事を一部とりわけ、

  • 煮込んでやわらかくする・つぶす
  • 細かく刻む
  • ぱさつく食材はあんかけにする

といった一工夫をするとよいでしょう。「ひと手間」は調理済みの料理を電子レンジで再加熱すれば楽です。また、市販の「とろみ剤」を用いると簡単にあんかけにできます。

2-2.【体調面】たんぱく質は多く・塩分や脂肪分は控えめに

筋肉のモトであるたんぱく質は積極的に摂取したいものです。とはいえ、脂肪分が多いと運動量に対しカロリーオーバーとなってしまいますので、魚や卵、大豆製品を利用してください。血圧の問題を抱えている高齢者も多くいらっしゃいますので、出汁でしっかりと味わいをもたせ、塩分は控えめにしましょう。

2-3.【ストレス予防】決まった時間に

食事を規則正しく摂取することは、心身ともにリズムを保つ役割を果たしてくれます。できる限り決まった時間に食事ができるよう準備してください。しかしながら体調不良などで食欲がないときに無理強いすることは禁物です。食事そのものがストレスにならないよう、「規則正しく」「食べられる分量だけ食べる」ことも必要です。

3.高齢者世帯・介護者が多忙…「宅配」という方法を利用したい3ケース

何らかの理由で買い物や食事作りが難しいときにうれしいのは、介護食の宅配サービスの存在です。どのような場面で活用できるのでしょうか。また介護食の宅配サービスのメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

3-1.買い物や調理がつらい

買い物に出かけることができないご高齢者や、時間や体力の面で介護食の調理にまで手が回らない介護者にとって、介護食の宅配サービスはとても便利です。特に運転免許証を返上したご高齢者にとっては買い物そのものが難しく、週に1度タクシーやバスなどを使ってスーパーへ行かれる方も珍しくありません。食材を買い込んでしまうと長期間の保存で傷んでしまう・重くて自宅に持って入れないなどの問題も起こりがちです。

また、調理という行動は存外につらいものです。特に夏場は暑く、冬場は寒いキッチンで時間をかけて介護食を作るのには苦労が伴います。それだけで体力が奪われてしまい、他のことができなくなる、といった事態を避けるためにも宅配食はありがたいものです。

3-2.栄養管理が難しい

若い頃は何を食べても体が“調整”してくれていたはずですが、高齢者はそうもいきません。栄養の偏りや塩分の取りすぎが直接体調を打撃することもありえます。この点で、宅配の介護食は、カロリーや栄養のバランスが考えられていますし、サービスによっては「糖尿病」「高血圧」に対応したものも取り扱っています。

ダイエットなどでカロリー計算をしてみたことのある方ならご存じのことですが、栄養管理はとても難しいものです。栄養士などの有資格者でも無い限り、毎食の管理はきわめて困難といわざるを得ません。

3-3.あきらかに「介護食」といった見た目が嫌

やわらかさやのど越しのよさを追求すると、どうしても“流動食”のような印象となり、見た目で食欲が減退してしまうことが考えられます。「できれば元気な頃に食べていたようなものを食べたい」という願いは当然のものでしょう。

この点で、宅配の介護食は、やわらかさ・飲み込みのしやすさにも配慮しつつ、見た目にも楽しいものが多くあります。サービスを提供している会社によっては、お弁当形式の献立を選べますので、ある程度好みを反映させることができます。

4.宅配介護食の選び方

上記のように、介護食の宅配サービスにはメリットも多くあります。しかしながら、どうしても費用が高くなってしまう面は否めません。ですが、調理に費やす時間と体力、栄養価コントロールの難しさなどとを比較すれば、介護食の宅配サービスに軍配が上がるでしょう。では、どのように選べばよいのか、「考え方のヒント」をお伝えします。

4-1.【保存性】冷凍のお弁当タイプ

体調や口内の状態が悪い日だけ柔らかな介護食が必要、という方には、冷凍のお弁当タイプがおすすめです。冷凍庫にいくつかストックしておき、必要な日だけそれを電子レンジで温めて利用します(健康うちごはん│MFS(メディカルフードサービス))。定期コースが設けられていることもありますので、消費しながらストックを更新したいときも注文忘れがなく便利です。

4-2.【コンスタントに利用】できたてないしは冷蔵のお弁当タイプ

毎日介護食が必要な方なら、介護食専門サービス業者が提供するお弁当を利用することができます。事前に献立表を確認できますし、食べる方の状態に合わせやわらかさを工夫して提供してくれます(ベネッセのおうちごはん│ベネッセパレット)(やわらか食・介護食・カロリー調整食・たんぱく調整食をご自宅へ。新サービス「コープの健康管理食」受け付け開始!│ユーコープ)。

地方都市はエリア外で取り扱いをしていないこともありますので、その点だけ注意が必要です。

4-3.【何かのときにも】レトルトの介護食を取り寄せ

「毎食の介護食準備が大変、でも3食では費用面でも負担…」という場合、もしくは介護食宅配サービスエリア外だった場合、レトルトの介護食を取り寄せしてストックしておくのもひとつの方法です。時間的に余裕がある日はご自分で調理し、体力や時間のないときはレトルトを温めて、と使い分けができます。また、あまり考えたくはありませんが、レトルト介護食のストックがあれば、何らかの災害時にも心強いものです(やわらか食・栄養補給食カタログ│キューピー)。

4-4.【費用面】自治体が実施している配食サービスの利用

要支援・要介護認定を受けた方を対象に、配食サービスを実施している自治体があります。ケースによりケアプランの要・不要がありますが、1食あたりの費用が安く、配達の際に安否確認をしてもらえるというメリットがあります。

粗方の場合、自治体が直接食事作りや配達を行うのではなく、自治体が指定する事業者との直接契約によって利用することとなります。食費は全額利用者が負担しますが、その一部を給付することで1食あたりの費用が安く済むこともメリットのひとつです(配食サービスの概要│NAGOYAかいごネット)。

このようなサービスがないか、お住まいの市区町村にたずねてみてはいかがでしょうか。

4-5.【買い物が難しい】食材の宅配を利用

運転免許証を返納した高齢者・介護に時間が取られている介護者にとって、「料理自体は苦にならないけれど、買い物に出るのが難しい」というケースもあるでしょう。そのようなときは、作るメニューが決まっている食材キットの宅配を利用するのもひとつの方法です。このような商品は、栄養を計算した上で、食材のカットが済んだ状態で届きます。実質、「調理するだけ」ですので、費用対効果のバランスはよいでしょう。

このようなサービスは、高齢者向けだけでなく、子育てに忙しいママ向けのラインナップもあります。「せめて買い物の手間だけでも減らして家族の世話をしたい」というニーズを持つ方にとって、とてもうれしいものです。

5.介護食利用に当たって知っておきたい「ユニバーサルデザインフード」のこと

誰にでも使いやすい工夫を凝らす「ユニバーサルデザイン」は、食の世界にも広がっています。

噛む力・飲み込む力に応じて、食材に工夫を凝らし、食べやすさに配慮した食品を日本介護食品協議会が「ユニバーサルデザインフード」と呼び、規格を定めています(ユニバーサルデザインフードとは│日本介護食品協議会)。農林水産省も「スマイルケア食(新しい介護食品)」として、固さ・飲み込みやすさの分類と識別マークを定めました(スマイルケア食(新しい介護食品)│農林水産省)。

宅配の介護食には、「固さ・飲み込みやすさ」を表示しているものがあります。また、同じ食材を使ってはいても、要介護者の状態に合わせていくつかのパターンを用意している業者があります。介護を受ける方の状態に合わせたものを選ぶときの目安になります。

ユニバーサルデザインフードの選び方(区分表)│日本介護食品協議会

まとめ

介護に追われる方・ご自身がご高齢である方にとって、介護食の調理は大きな負担となります。これを補完してくれるのが介護食の宅配サービスです。同じ栄養でも、管で取り入れるのと口から取り入れるのでは、生活の質(QOL)が大きく異なります。できるだけ「食べる楽しみ」を維持するのも、介護における大きなポイントです。

介護食には、理解と実践が重要であること、宅配サービスがあることをお伝えしましたが、今回の記事で特にご記憶いただきたいのは大きく次の5点です。

  1. 介護食とは、噛みにくい・飲み込みにくい方が栄養摂取する方法のひとつ。食事はひとつの楽しみでもあるので、口から栄養摂取する介護食は生活の質の向上にも有益
  2. できれば家族と同じメニューで疎外感をなくす。追加加熱・つぶす・ぱさつく食材はあんかけにするという一工夫で、一緒に食卓を囲む楽しみを維持
  3. 買い物に出にくい・調理が大変、というときは介護食の宅配もひとつの方法。高血圧など持病への対応メニューもあり、栄養管理も大きなメリット
  4. 宅配の介護食には、冷凍・冷蔵がある。使う頻度に合わせて「週に何食」というコースを設けている業者もあるので必要に応じて選ぶことができる
  5. いざというときのためレトルトの介護食をストックしておくのもよい。保存性も高いので、必要なときだけ利用したいというニーズにも合う
  6. 費用面での問題があれば、自治体が実施している配食サービスがないか調べる。比較的安価なうえ、配達時に安否確認もしてもらえる
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