在宅介護

介護支援とは?2つの利用ケースと介護者の悩みを紹介

自宅で介護をする「在宅介護(居宅介護)」でも、ケースによっては介護支援が必要なことがあります。むしろ、在宅介護だからこそ介護保険を利用するサービスを必要とするシーンが多くあるでしょう。

介護施設への入所でないだけに、家族介護の状況に合った介護支援プランは的確に定めたいものです。在宅介護で利用したい介護支援サービスの種類やその内容、料金などをご紹介するとともに、プランの決め方についてご説明します。

1.介護支援とは

在宅(居宅)における介護支援とは、要介護認定1~5の方を対象にした介護サービスのことです。65歳以上で要介護と認定された方(40~64歳までの場合、16種の特定疾病により要介護となったとき)が、その身体状況や、家族でカバーできる介護の範囲に合わせてサービスを利用します。

1-1.居宅介護支援(ケアマネジメント)が、介護支援の第一歩

「居宅介護支援」と呼ばれるサービスは介護支援の第一歩目で、ケアマネージャーなどと「どういった介護支援が必要か」を相談しながら決めていきます。このプランを策定するため、家族がどこまで介護に関われるのか、それに対し要介護者に健康面での不具合は生じないのかなどのヒアリングが行われます。不足していると考えられるケア分を介護サービスで補えると判断されれば、その事業所・施設との連絡や調整を行ってくれます。

この居宅介護支援(相談)は2017年現在は無料です(居宅介護支援│独立行政法人福祉医療機構)。しかしながら、ケアマネージャーなどの専門職が立てる「初回ケアマネジメント」にかかる費用は、最低でも1,300単位/月(1単位=約10円。地域により多少差がある)です(居宅介護支援・介護予防支援の 基準・報酬について│厚生労働省)。

高齢者が増え、ケアマネジメントにかかる労力・費用が増すことが予想されています。今後はこの相談に関して「一部負担」が求められる可能性もあります(居宅介護支援費の利用者負担導入に反対する署名活動について(緊急依頼)│一般社団法人 日本介護支援専門員協会)。

2.介護支援のプランニング例

要介護(要支援)と判定されたとき、在宅で利用できる介護支援サービスをケアマネージャーなどから紹介されます。ヒアリングから導き出されたケアプランに則って、どのような施設(福祉・介護サービス会社)がそれに対応しているのかを提示されます。

2-1.【要介護2】メインの介護者(同居・娘)が仕事を持っているとき

土日以外の平日は家を空けざるを得ない娘さんは、要介護2のお父さんの日中の世話が気になって仕方ありません。とはいえ、受け入れてくれる施設も見つからず、お父さんご本人も「自宅にいたい」と希望しています。

そのため、ケアマネージャーと相談のうえ、次のようなプランを立て、それをお父さんも承諾しました。

月曜 火曜 水曜 木曜 金曜 土曜 日曜
午前 デイサービス 訪問介護 訪問介護 デイサービス 訪問介護 娘さん以外のご家族が手伝い 娘さん以外のご家族が手伝い
配食サービス利用 配食サービス利用 配食サービス利用
午後
娘さん 娘さん 娘さん 娘さん 娘さん

この基本プランをベースに、適宜ショートステイを申し込み、娘さんが用事で出かけなくてはならないとき・体調不良を感じ始めたときの“お休み”をカバーしています。

2-2.【要介護3】メインの介護者が奥さんであるとき

平日、要介護3の旦那さんのお世話は奥さんがしています。子どもたちは巣立ち、車で数時間かかる場所に住まいを構えています。そのため、どうしても奥さんがお世話をしなければならない状況です。

奥さんも持病があるため、通院日や体を休める日が必要であることから、デイケアと訪問看護を中心に利用することになりました。

月曜 火曜 水曜 木曜 金曜 土曜 日曜
午前 デイケア 訪問介護 奥さん以外のご家族が手伝い 奥さん以外のご家族が手伝い
訪問介護 訪問介護 訪問介護 訪問介護 訪問介護
午後  デイケア  デイケア
奥さん 奥さん 奥さん 奥さん 奥さん

この基本プランをベースに、適宜ショートステイを申し込み、奥さんの体調不良が生じないようカバーしています。

3.在宅での介護支援、他の人はどのように利用している?

では、現在在宅介護をしている方が、どのように介護をしているのか、どのような介護支援を受けているのかについてご説明します。実際の「介護のすがた」を知ることにしましょう。ここで参考にするのは、さいたま市が公表している資料です((単純集計版)在宅介護実態調査の集計結果~第7期介護保険事業計画の策定に向けて~│さいたま市)。

3-1.介護者は、「子」「配偶者」「女性」「50代」がメイン

介護を要する人をケアしている人は、

  • 子=45.2%
  • 配偶者=35.5%
  • 子の配偶者=13.4%

です。

また、

  • 女性=68.5%
  • 男性=30.1%
  • 無回答=1.4%

となっています。

さらに、

  • 50代=29.9%
  • 60代=23.7%
  • 70代=19.8%

ともされています。

この数字から見えてくるのは、「50代の子(女性)が親の介護に当たっている」というすがたです。ともなれば、やはり介護保険を活用できる介護支援サービスも必要です。50代の女性といえば、更年期など自分自身の体調も変化する頃ですので、場合によっては心身ともに疲弊しながら介護をしていることも考えられます。

3-2.介護保険サービスの利用率と求める支援

介護保険サービスを利用しているか、との問いには、

  • 利用している=60.7%
  • 利用していない=34.2%
  • 無回答=5.0%

という回答が寄せられています。

また、在宅生活継続のために充実が必要と考える支援やサービスについての問いに

  • 特になし=35.1%
  • 掃除・洗濯=19.1%
  • 外出同行(通院・買い物)=18.1%
  • 移送サービス(介護・福祉タクシー)=15.8%
  • 買い物(宅配含まず)=14.9%

と続きます。50代の女性が高齢の要介護者を抱え、生活を続けるためには、「家の中のことの手伝い」「外出時のサポート」を要することは想像に難くありません。

3-3.しかし、「本人の意向で介護サービスを利用しない」というケースも

介護保険サービス未利用の人へ、その理由を問う設問には、

  • 現状ではサービスを利用するほどではない=28.8%
  • 本人にサービス利用の希望がない=18.5%
  • 家族が介護をしているので必要ない=15.6%

が上位を占めています。

この調査の対象となった「要介護度」の内訳は、

  • 要支援1=27.7%
  • 要支援2=27.3%
  • 要介護1=18.6%
  • 要介護2=12.2%
  • 要介護3=7%
  • 要介護4=3.5%
  • 要介護5=2.9%

となっていて、在宅で受けるサービスを要する程度もある程度低い、と読み取れます。つまり、「自宅での支援程度なら、自分(子)が行えばよい」という介護者側の考えも見て取れます。

3-4.介護者の本音は「問題ありだが頑張っている」

主な介護者の就労継続に関する問いには、

  • 問題はあるが何とかしている=44.8%
  • 問題なく続けている=24.3%
  • 続けていくのはやや難しい=6.1%
  • 続けていくのはかなり難しい=3.9%

と続きます。

主な介護者の働き方調整については、

  • 特に行っていない=36.1%
  • 残業免除や遅出、中抜けなどをしながら=26.5%
  • 年休・介護休暇を取得しながら=16.5%
  • 在宅勤務=3.9%
  • 介護のために上記の工夫をしている=13.5%

となっていて、離職者以外は、やはり仕事をやりくりしながら介護に臨んでいることがわかります。

特筆すべきことは、介護する方が働き方の多様化や休業・休暇制度の充実を望んでいることです。

(単純集計版)在宅介護実態調査の集計結果~第7期介護保険事業計画の策定に向けて~ (さいたま市)より

4.在宅で介護をしている方は、自分自身のためにも「利用できるサービスを利用する」必要がある

先の「介護の実態」を見ると、在宅支援サービスは、何も要介護者(要支援者)のためだけではなく、介護する側のためにも必要であることがわかります。仕事をしていない・仕事を辞めた方であっても、子世代(50代)ともなれば、自分自身にも体の変化・持病が生じることがあります。そこで無理をしては、親御さんの介護どころか、自身が倒れてしまい、文字通り「親子共倒れ」となることも否定できません。

介護の平均期間は4年11ヶ月、最長で10年以上という調査結果もあります(介護にはどれくらいの年数・費用がかかる?│公益財団法人生命保険文化センター)。このことを考え合わせても、可能な限り無理をしない介護を実践するため、在宅で受けられる介護支援サービスを利用しながら、「子(または主に介護をする方)が健康を害さない」ことが重要であるとわかります。

介護保険サービスを利用する際の負担額ですが、世帯収入によって上限が定められています。費用のことが心配で介護支援サービスを「受けられない」と決めてかかる前に、最寄の地域包括支援センターや、役所の窓口に相談してください。

まずは要介護認定が受けられるのか、受けられたらどのような介護支援を利用できるのかを把握するのが、無理をしない介護のファーストステップです。

介護のお金にまつわるお話は、以下の記事もご参考になさってください。

まとめ

在宅で介護するからこそ必要な介護支援ですが、「自分たちが支援を求めてもよいものか」、「自分たちで頑張れるうちは頑張ろう」と考えている方はいらっしゃいませんか。在宅での介護だからこそ、助けが必要なことにお気づきでしょうか。今回このページでご説明したことの中で、特に以下の5点は重要です。

  1. 在宅介護で必要なプランは、「居宅介護支援(相談)」で決める。ケアマネージャーが要介護度・介護に携わる家族の状況など相談に乗ってくれるが、事前に要介護認定を受ける
  2. ケアマネージャーは、要介護度ごとに定められているサービス利用上限を意識しながら介護支援プランを組んでくれる。主にデイサービスや訪問介護、訪問看護、ときにショートステイなどを組み合わせる
  3. 調査によると、50代の子(女性)が親の介護に当たっている。介護者は苦労をしていても、要介護者本人の意向で介護支援を受けていないケースも
  4. 介護に当たる人は、仕事をやりくりしつつ介護の時間を作っている。働き方の柔軟性や休業制度の拡充を求めながら、「問題ありだが頑張っている」のが現状
  5. 介護支援は、要介護者のためだけにあるのではない。介護する人が長期にわたるかもしれない介護期間、無理をせず介護と向き合うためにも存在する
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