介護の仕事の給料を上げたい!そんなときは2つの点から仕事を見直して!

きついわりには介護の仕事は給料が安い、というイメージを持ってはいませんか。確かに要介護者に直接触れるスタッフであれば、力仕事も多く、ときに要介護者との心的トラブルも発生しますので「辛いのに安い」と感じるシーンも少なくないでしょう。また、属する事業所によっては夜勤や日曜・祝日勤務などで体のリズムが乱れやすく、体調管理が難しくなることもあります。

では、介護の仕事の給料はどの位でしょうか。また、2017年から以降給料が上昇する兆しはあるのでしょうか。さらにはより高い給料を手にする方法があるのかどうか、介護の仕事と給料の関係をご説明します。

1.全体平均値は「確かに安い」

一時期「3K(きつい・汚い・危険)」の代表とされていた建設業では、

  • 平成28年度の年平均給料は34万8,200円(男性/平成27年との対比で1.9%上昇/平均年齢44.6歳・勤続年数13.8年)

でした。一方、介護の仕事が組み入れられる医療・福祉の仕事は

  • 平成28年度の年平均給料は34万3,400円(男性/平成27年との対比で-2.6%/平均年齢は40.5歳・勤続年数8.4年)

と下降気味です。接する“お相手”によっては危険も伴ううえ、人命に関わるケースもある重責を担う仕事としては、「安い」と感じられる方も少なくはないでしょう(平成28年度賃金構造基本統計調査結果の概況〈産業別〉│厚生労働省)。

2.給料を上げるにはこの「2つの点」に着目!

上の情報は、年齢や持っている資格などを問わない「平均の給料」ですので、「こんなにもらっていない!」と感じられた方も少なくないでしょう。せっかく働くのですから、お給料という形で働き甲斐を得たいのも当然です。では、お給料を上げるには、どのような“工夫”をすればよいのでしょうか。

2-1.給料を上げるには…資格取得から

どの業界でも同じですが、資格のあり・なしは、給料に大きな影響を与えます。人のお世話をする介護・看護業界はその傾向が顕著で、取得難易度がより高い資格を持っている人が優遇されます。もしもあなたが資格を持っていないのであれば、難易度が高くない資格取得から目指してみてはいかがでしょうか。資格は事業所に付くものではなく、あなた自身に付く「自信」であり「優遇されるポイント」です。

以下の図を見てください(平成28年度介護従事者処遇状況調査結果(100P目)││厚生労働省)。

平成28年度介護従事者処遇状況調査結果(100P目)││厚生労働省

少し見づらいかもしれませんので、資格ごと(資格なし含む)の仕事のる道時間と平均給与を書き出してみます。

※厚生労働省調べでの月の給料の算出法は、基本給(月額)+手当+一時金(4~9月支給金額の1/6)です。

  • 資格名=平均年齢/平均勤続年数/実労働時間数/平均給与額
  • 介護福祉士=42.4歳/8.1年/165.8時間/302,550円
  • 社会福祉士=38.1歳/7.8年/164.3時間/325,570円
  • 介護支援専門員=46.8歳/10.9年/166.1時間/338,440円
  • 実務者研修=46.3歳/7.3年/166.2時間/285,310円
  • 保有資格なし=36.5歳/4.3年/165.9時間/255,220円

どの仕事も1カ月当たり概ね160時間台の勤務でありながら、給料は「資格なし」で255,220円、介護支援専門員(ケアマネージャー)では338,440円と大きく開いています。取得している資格によって給料にこれだけの差が生まれますので、働きながら取得しやすいものからでもチャレンジする価値は充分にあるのではないでしょうか。

※介護の資格や仕事内容、取得までの道のりは、以下の記事もご参考になさってください。

介護の仕事で役立つ資格一覧と難易度、「辛さ・やりがい」を解説!

2017.10.13

2-2.給料を上げるには…職場選びも大切

上記と同じ資料(同じページ)から、「保有資格なし」を抽出し、給料の高いものをピックアップしてみます。

すると、

  1. 介護老人福祉施設=32.5歳/4.2年/165.9時間/275,010円
  2. 介護老人保健施設=34.7歳/4.7年/162.4時間/258,160円
  3. 介護療養型医療施設=40.3歳/6.8年/156.8時間/251,530円
  4. 認知症対応型共同生活介護=42.0歳/3.7年/167.5時間/234,970円
  5. 通所介護事業所=40.3歳/3.5年/171.4時間/228,450円

となりました。単に平均給料の順に並べてみましたが、中には勤務時間から考えても「辛い」とイメージされるものもあります。同じ「保有資格なし」でも、勤め先によってこれだけの開きが生じます。

2-3.法人(施設)側も「良質な人材確保」を望んでいるから…

一方、雇用する側である法人(施設)も、良質な人材の確保ができないことに悩んでいます。また今の介護報酬では良い人材を雇用すること・適正な給料を支払えないことにも頭を悩ませています(平成28年度「介護労働実態調査」の結果│公益財団法人 介護労働安定センター)。

平成28年度「介護労働実態調査」の結果│公益財団法人 介護労働安定センター

2017年現在、人手不足が叫ばれています。その中でも、そもそも人手不足が深刻だった介護の世界では、より良い人材が求められているにも関わらず、それがままならない現状が噴出していることが透けて見えます。

3.介護の仕事、給料を上げる具体策は「ステップアップ」「キャリアアップ」

「2-1.給料を上げるには…資格取得から」でも触れたとおり、やはり資格に勝る「実力の証明法」はありません。給料の上位に上がっていた「介護福祉士」ですが、

  • 現役介護職員=都道府県/社会福祉協議会を窓口にし、取得のための費用の貸付制度あり(都道府県により異なるが、約20万円)
  • 求職者=ハローワークの求職者支援制度(職業訓練給付金・介護の現場で働きたいという意思があり、実際に学校へ通う)
  • 求職者=教育訓練給付金(前職で雇用保険に1年以上加入し、過去3年間のうち同じ給付金を利用していない/受講費の20%が後に返還される)
  • 求職者=転職サイト・エージェントの実施しているキャリアアップ制度(サイトによる)
  • 現役介護職員=介護事業者が独自に行っている補助制度(全額給付も珍しくない)

などを用いて取得することが可能です。

この記事をお読みになっている方は、「介護の仕事は給料が低いな」と思いながらたどり着いた方だと思います。そのような方は、現在働いている介護事業者が補助制度を用意していればそれを利用、「転職(求職)」を期に職業訓練給付金を受ける、といった方法が現実的でしょう(離職中で、生活費を確保しつつスキルアップしたい│厚生労働省)。

離職中で、生活費を確保しつつスキルアップしたい│厚生労働省

注目したいのは、上記の図です。

  • 雇用保険受給中=介護福祉士の資格取得のための訓練や、介護職員初任者研修、実務者研修など職業訓練を“無料”で受けられる
  • 雇用保険を受給できない=介護職員初任者研修、実務者研修など職業訓練を“無料”で受けられる(条件により、訓練期間中月額10万円受給可能な例も)

既に現在の職場に辛さ・やりにくさを感じ、他の職場を探そうとされている方ならば、まずハローワークをたずね、これらの訓練・支援を受けられないか確認すると良いでしょう。

4.転職サイト・エージェントも活用

介護職専門の転職サイトやエージェントの中には、資格取得のための講座受講を「0円」としているところもあります。たとえば「かいご畑」がそれです(キャリアアップ応援制度│かいご畑)。

キャリアアップ応援制度│かいご畑

このようなサイトは、介護の現場で「即戦力」となる人材を常に求めています。また、スキルアップのため勉強中である、「やる気のある人」を気持ちよく受け入れてくれる介護事業者とのつながりも持っていますので、仕事と勉強の両立(シフト面)の相談にも乗ってくれます。転職を考えている方は、ハローワークと同時に、このようなサイトの利用も検討するとよいでしょう。

5.国も「2020年問題」に対応しようとしている!

約800万人いるとされる、いわゆる団塊の世代が後期高齢者(75歳)世代に入るタイミングとされる2020年。これは介護の世界で「2020年問題」と呼ばれていることはご存じのことでしょう。これに対応するため、国も介護に関わる人材を少なくとも現在と比較し「25万人」追加で確保しようとしています介護人材の処遇改善について(参考資料)│厚生労働省)。

この資料の中では、

  • 一度介護の世界から離れた「経験者」を呼び戻す=再就職準備金貸付・介護の知識や技術を再確認するための研修
  • 学生や中高年などの「未経験者」の支援=専門学校などに通う学生に修学資金貸し付け・福祉人材センターなどと連携し、中高年未経験者への研修
  • 離職防止・定着=介護職員処遇改善加算拡充・キャリアアップのための研修受講費用軽減・事業所内保育施設設置援助

などが上げられています。また、辛い仕事とされる介護職の手助けとなるよう、

  • 介護ロボットやICT活用推進

へも助成金を出そうと計画しています。

しかしながら、2017年10月10日には「衆議院議員選挙」が公示されました。予算や法律案を立てた際、参議院と議決が異なった場合に「衆議院の優越」で衆議院の決定が優先されることとなります。それだけ決定力の強い衆議院の選挙ですので、今後上記のプランがどう変化して行くのか、注視していかなければなりません。介護の費用のほとんどは介護保険から出されていますので、介護報酬の改定などにも注意したいところです。

まとめ

介護の仕事には、「給料は安いし、辛いもの」というイメージが付いて回ります。確かに体の自由が効かない方・認知症の方をお世話する仕事ですので、辛いのは事実です。しかしながら、給料という面で“見返り”があるのであれば、人の役に立っているという自負以上にやりがいを感じられるものです。

今回は介護の仕事とお給料のこと、給料に資格が影響すること、職場の選び方で気をつける点などをご説明しましたが、特にご記憶いただきたいのは次の5点です。

  1. 介護の仕事全体でみると、他の業界の平均給料よりも安い。また、介護業界平均で見ても平成28年(2016年)は前年度に比べるとマイナス2.6%と下降気味
  2. 給料を上げる第1ポイントは「資格取得」。資格なしと、介護支援専門員(ケアマネージャー)とでは83,220円もの開きがある
  3. 給料を上げる第2ポイントは「職場選び」。資格なしで介護老人福祉施設に勤める、通所介護事業所に勤めるのとでは、46,560円もの開きがある
  4. 資格取得法には、転職を希望しハローワークで給付を受ける、転職サイトが実施している「0円講座」という方法も。現在勤めている事業所にスキルアップ補助制度がないかも調べる
  5. 介護の世界の「2020年問題」は、まったなし。国も、離職者への研修制度・介護について学んでいる学生に資金貸し付け・事業所内保育施設設置援助などで人材を確保しようと動いている