老人ホーム

介護施設に必要な費用は?6種施設の目安と、生活保護のケースを解説

介護のことを考えはじめると、「将来は介護施設と費用のことも検討しておかなければ」と介護施設を選択肢の一つに入れざるを得ないものです。特に要介護度の高いときはなおさらです。

このことを考えておかなければならないのは、介護をする方のみならず、介護を求める方も同様です。どの介護施設が適しているのか、そしてその施設に入るにはどのくらいの費用を見込んでおくべきか、知っておきたいことは多くあります。

預貯金や年金といった介護を要する方の使えるお金で費用をまかなえるのかなど、事前に知識を身につけておけば、いざそのときを迎えたときに慌てずにすみます。今回は介護施設と施設ごとの費用の目安についてご説明します。

1.介護施設には「介護保険3施設」と「民間施設」がある

介護施設の費用について触れる前に、介護施設の種類について理解しておく必要があります。要介護者・要支援者ならどこでも受け入れてくれるわけではなく、施設それぞれに固有の“役割”があるのです。

介護保険サービスとして公的施設に位置づけられるのが「介護保険3施設」と呼ばれるもので、

  • 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム・特養とも呼ばれる)
  • 介護療養型老人保健施設(新型老健)
  • 介護老人保険施設(老健)

があります。要介護度の高い方が比較的安価に利用できることから、「入居待機者」も多いのが特徴です。

それに対し、「民間施設」は上記の介護保険3施設より費用がかかるものの、入所・入居の条件が介護保険3施設よりも“ゆるい”ことから、待ち期間が短く済むことが特徴です。民間施設には、

  • 介護付有料老人ホーム
  • 養護老人ホーム
  • ケアアウス
  • 認知症高齢者グループホーム

などがあります。

※いわゆる「老人ホーム(介護施設)」の種類については、以下の記事もご参考になさってください。

2.「介護保険3施設」の負担費用が比較的安価な理由

先にも触れたとおり、「介護保険3施設」は、要介護度が高めであり、なおかつ24時間の介護が必要であるなどの理由で介護施設に入らざるを得ない方を手助けするために存在します。また、虐待の疑いなどで要介護者を保護しなければならないときの収容先ともなります。

俗に言う「セーフティーネット」に近い位置づけの介護施設ですので、介護保険でカバーできる範囲が幅広いことから、民間施設よりも比較的安価です。また、経済状況により利用者負担額が4段階に分けられています。つまり、介護の面でも金銭面でも、本当に困っている方が頼るべき場所が「介護保険3施設」なのです。

厚生労働省のまとめによると、この介護保険3施設に入所している人の平均要介護度は3~4です。また、介護保健施設の利用者は、2014年(平成26年)現在で9割を超えています(3 介護保険施設の状況│厚生労働省)。このことを見ても、介護保険施設は「本当に必要な人が入れる施設」といえます。

※自己負担額の上限額については、次の記事もご参考になさってください。

3.介護施設にかかる費用の内訳と目安

介護保険3施設であろうと、民間施設であろうと、かかる費用の内訳(項目)はほとんど変わりがありません。「衣食住」に加え、必要とした「介護・看護」の費用です。

これらを図にすると、概ね、以下のような金額になります(単位・万円)。

※胃ろうなど、栄養を「食事」のかたちで摂取していない場合は食費が発生しませんが、その分、療養食加算(医療費)がかかります。

入居一時金 居住費 食費 その他費用
(特別な介護・嗜好品など)
水道光熱費
管理費など
最低実質負担額
介護老人福祉施設
(特養)
2.5~6 4 適宜 8~13
介護療養型老人保健施設
(新型老健)
1.2~6 4 適宜 9~14
介護老人保健施設
(老健)
2~6 4 適宜 8~13
介護付有料老人ホーム 数百 施設により 4~ 適宜 施設により 20~
ケアアウス 数十 施設により 4~ 適宜 施設により 7~20
認知症高齢者グループホーム 数百 施設により 4~ 適宜 施設により 14~

民間介護施設は、どちらかというと「住居」に分類され、入居一時金として大きなお金が必要です。そのお金を終身利用か、もしくは決められた年数で“償却”します。また、他に家賃相当額や水道光熱費が発生し、それに加え一般的な食事から豪華な食事に対応する施設もあり、費用は大きく開きます。

大きなお金を支払うものですので、契約には慎重に臨んでください。どこまでの介護体制が整っているのか、連携している医療機関にはどのようなものがあるのかを細かくチェックしましょう。中には「看取り」「遠くにいる家族への介護報告(ネット利用)」に対応している施設もあります。

4.介護施設利用費用に含まれないもの

上記の表でも少し触れましたが、介護施設利用費用に含まれず、必ず「手出し」しなければならないものがあります。以下のような費用は、月々、ないしは事前に準備しておかなければなりません。

4-1.食費

食費はどこで暮らしても必ず必要なものです。病気やケガで入院したときの請求書に「食費」と書かれてあるのを見たことはないでしょうか。このように、介護・支援の要不要に関わらず必要な食費は、必ず個人負担しなければならないものです。もちろん、その食事の内容により費用は変化しますし、胃ろうであれば医療費としてカウントされその分を負担しなければなりません。

4-2.特別な介護・支援、趣味・娯楽や嗜好品

個人的な用事で外出をするときは、車を出してもらう・付き添いを付けてもらうといったサポートが必要となることがあります。また、趣味や娯楽、個人的にたしなむ嗜好品についても、完全に個人負担です。しかしながら、介護に必要とみなされたレクリエーション(ケアプランに含まれるもの)は介護保険でカバーされます。

4-3.他の人と共有できないもの・していないもの

衛生面から完全に個々人で使用・利用するものがあります。たとえば紙おむつがその代表です(介護保険3施設の費用には、紙おむつは含まれます)。また、コインランドリー利用料金など、他の人と一緒にできないものがあれば、それもまた個人負担です。

言い換えれば、介護施設内で全員一律に提供しているものから外れるものは、自己負担すべきものと考えられています。

  • どうしてもこのメーカーの紙おむつがいい
  • 浴場にあるシャンプーやボディーソープでは満足できず、好みのものを使いたい
  • 自分専用の入れ歯洗浄剤を用意したい

このようなものは、個人負担すべき費用です(介護保険施設における「日常生活に要する費用の取扱いについて」│船橋市)。

5.生活保護者は、介護施設を利用できないの?

いくら介護保険3施設であっても、食費や医療費など「かかるものはかかる」のが現実です。中には生活保護を受けながら生活しておられる方もいらっしゃるでしょう。「介護を受けなければ生活できない、その介護も自己負担費用の面からあきらめなくてはならないのか」という不安が頭をよぎるかもしれません。

そのような方は、地域包括支援センターのケアマネージャーと同時に、自治体福祉課のケースワーカーにも相談してください。

要介護度がさほど高くなければ、

  • サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
  • 在宅型ホーム(在宅型有料老人ホーム)

なども選択肢となるでしょう。

サービス付き高齢者向け住宅とは、「高齢者の住まい確保」のため国が打ち出した政策に則って近年増えている施設です。基本的に家賃や食費を生活保護費から支払い、必要に応じた介護サービスをそのサ高住と連携を持っている介護施設から受け介護保険で補うという形式をとります。

5-1.生活保護を受けている人を受け入れている施設の“現状”

ある調査では、「生活保護受給者がいますか」という問いに対し、「いる」と回答したのは、

  • 在宅型ホーム=49.0%
  • サービス付き高齢者向け住宅=32.1%
  • 介護付ホーム=11.3%

となっています。

また、「生活保護受給者の割合が50%を超えていますか」に「はい」と回答したのは、

  • 在宅型ホーム=16.4%
  • 介護付きホーム=9.8%
  • サービス付き高齢者向け住宅=11.1%

となっています。

平成25年度有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅に関する実態調査研究事業報告書│公益社団法人全国有料老人ホーム協会

※在宅型ホーム・サービス付き高齢者向け住宅ともに「住まいを確保し、介護サービスは外部に求めるもの」、介護付きホームは「介護や医療面のサポートがセットされているもの」とイメージしてください。

また、同調査では、

住宅型ホーム、サービス付き高齢者向け住宅ともに、経済的困窮層の受け皿となっている様子がうかがえるが、その傾向は1~3級地でより顕著である。

平成25年度有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅に関する実態調査研究事業報告書│公益社団法人全国有料老人ホーム協会

としています。この「○級地」とは、介護報酬に係る地域区分のことで、1~3級地は以下のとおりです。

1級地 2級地 3級地
【東京都】

  • 特別区
【東京都】

  • 狛江市
  • 多摩市

【神奈川県】

  • 横浜市
  • 川崎市

【大阪府】

  • 大阪市
【千葉県】

  • 千葉市

【東京都】

  • 八王子市
  • 武蔵野市
  • 府中市
  • 調布市
  • 町田市
  • 小金井市
  • 小平市
  • 日野市
  • 国分寺市
  • 稲城市
  • 西東京市

【神奈川県】

  • 鎌倉市

【愛知県】

  • 名古屋市

【大阪府】

  • 守口市
  • 大東市
  • 門真市
  • 四條畷市

【兵庫県】

  • 西宮市
  • 芦屋市
  • 宝塚市

地域区分について(参考資料)│厚生労働省

このように、生活保護を受けておられる人でも、入居・入所できるところは探せる可能性があります。

先にお伝えしたように、ケアマネージャーやケースワーカーに粘り強く相談してください。

もしもご家族・ご親族だけでなく、介護が必要なのに生活保護を受けているため、費用のかかる施設をあきらめている方がいらっしゃるようでしたら、福祉課に出向くことを強く勧めてください。ご本人が出向くことが難しいのなら、お住まいのエリアの民生委員に伝えてあげてください(民生委員・児童委員はどのような活動をしているのですか?│厚生労働省)。

まとめ

介護施設にかかる費用は、施設ごとに大きく異なります。それは、その施設の性質・必要とする要介護度に左右されるからです。預貯金・年金で介護施設費用をまかなえるのかどうか、その施設で希望する介護を受けられるのかをよく知った上で天秤にかけ、必要であれば家族が費用の支援を行うことも求められるでしょう。

今回の記事で特にご記憶いただきたいのは、以下の5点です。

  1. 介護施設は、大きく分けて「介護保険3施設」と「民間施設」がある。費用面で心配があるのなら介護保険3施設を選びたいところだが、入居待機者も多い
  2. 民間施設は介護保険3施設よりも費用がかかるが、入居・入所しやすい。また、どこまでのケアが必要なのか、どのような暮らし方をしたいのか、で選ぶことができる
  3. 介護保険3施設は概ねの月額が14万円。一方民間施設は、入居一時金+居住費+水道光熱費・管理費がかかり、施設により千差万別。契約内容をよく確認すること
  4. 介護施設で必ず自己負担となるものは、だれもが生活に欠かせない食費、個人の嗜好品、日常生活使用品の中でも「自分で選びたいもの」。他の入居・入所者と異なるものを希望するときに余分な費用が発生する
  5. 月々の生活費用を生活保護に頼っている人でも、入居・入所できる施設は見つけられる可能性がある。特に都市圏では、生活保護を受けている人を受け入れている在宅型ホーム・サービス付き高齢者向け住宅が多い
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