介護用ベッドの種類をご説明!「良いベッド」選び方5点と介護保険との関連性

在宅介護

要介護度が上がり横になる時間が長くなってしまったとき、介護される方にとっても、介護をされる方にとっても「寝床」のあり方が重要となります。寝起きや立ち上がりのしやすいベッドは、和室に布団を敷くよりも便利なことはすでにご存じでしょう。

さらに便利なのが、介護用ベッド(特殊寝台)です。今ではそのニーズの高さから、レンタルや中古の介護用ベッドもネットですぐに探し出せます。しかしながら、介護される方・介護する方にとってベストな介護用ベッドはどう選べばよいのでしょうか。

今回は介護用ベッドとは何か、種類や付属品、介護保険でカバーできる金額はどの程度なのかについてご説明します。

1.介護用ベッドとは

介護用ベッドとは、通常のベッドとは異なり、介護のしやすさに着目して作られています。起き上がる動作や立ち上がる動作を補助する役割を備えていて、ベッドの高さの調節・背中を起こす「背上げ」などができるのがその特徴です。

特に高さ調節については、高くすれば介護する方が腰を痛めにくく、低くすれば要介護者自身が自力で立ち上がるとき便利になるというメリットがあり、介護する方にとっても便利な機能のひとつです。他に、背上げができれば、1日のうち長い時間をベッドで過ごす方にとって、食事時・テレビ鑑賞時には楽な姿勢が取れます。

私たちが日頃使用するベッドとは異なり、「姿勢を介護シーンに適したものにできる」のが介護用ベッドの特徴です。

2.介護用ベッドの機能

介護用ベッドの持つ機能を知れば、介護に当たる際に「何が必要か」を理解できるでしょう。介護用ベッドの機能とその意味は、概ね次の表のようになります。

機能 介護者のメリット 要介護者のメリット
高さ調整
  • 腰をかがめることが減り負担を抑制できる
  • ベッドから立ち上がりやすい高さにできる
  • 低くすれば、就寝中の転落の衝撃を減らせる
背上げ
  • 起き上がりを手助けするとき、楽な体勢を作れる
  • 車椅子などへ移動させたいとき、楽な体勢を作れる
  • 食事やテレビ鑑賞のときなどに上半身を起こしていられる
膝上げ
  • 背上げしたとき、体が足側へ滑り落ちることを防止できる
  • 体重が臀部に集中することを防ぎ、褥瘡の予防・悪化防止が期待できる
  • 背上げと交互に使い分ければ、足のむくみや血栓リスクを低減できる

これらの機能は、今では電動で実現するものが増えていますが、手動(ハンドルを回す)タイプのものもあります。電動式はボタンひとつで希望の姿勢にすることができますが、いざ停電、というシーンでは使えなくなってしまいます。その面をも考え合わせながら導入を検討してください。

上記の3つの機能は、

  • 1つのモーター=背上げ
  • 2つのモーター=背上げ+高さ調節、もしくは背上げ+膝上げ
  • 3つのモーター=背上げ+高さ調節+膝上げ

と、モーターの数で実現します。

また、

  • 4つのモーター=背上げ+高さ調節+膝上げに加え、肩を持ち上げて寝返りをサポートする

というタイプも出てきています。

3.介護用ベッドとそれに関連するものの選び方

介護用ベッド選びは、機能面だけでなく他にも注意すべき点があります。そもそも論ではありますが、介護用ベッドはただ単に眠るためのベッドではなく「介護の場」となるものですので、細心の注意を払い選ぶ必要があります。

3-1.身長に合ったもの

通常のベッド同様、介護用ベッドでも利用する方の身長に合わせたものを選びます。長さが不足すれば、いつも膝を立てているか横向けに眠るしかなく、褥瘡を引き起こすリスクが高くなります。また、身長よりも長いベッドなら、必要以上に部屋のスペースを取ってしまうこととなり、介護する方の動きを制約してしまうかもしれません。

さらに、介護用ベッドには「身長に合わせる必要」が他にもあります。上で触れたとおり、背上げ・膝上げなどの機能がありますが、その部分に体がフィットせず、不快な思いをしてしまう可能性が高まるからです。

3-2.安全性の確認

介護用ベッドは、介護を受ける方が1日中過ごす場となることが多々あります。毎日使用する中での危険性を極力排除するため、電動介護用ベッドの各種性能が平成27年(2015年)にJIS(日本工業規格)で規定されました(「在宅用電動介護用ベッド」のJISが改正│一般社団法人 日本福祉用具・生活支援用具協会)。

「在宅用電動介護用ベッド」のJISが改正│一般社団法人 日本福祉用具・生活支援用具協会

  • ベッドグリップ(起き上がる際につかむ固定式手すり)に衣服が引っかかりそのまま転倒することがないよう、突起部分をなくす
  • ベッドガード(サイドレール、ベッド柵とも呼ぶ・マットレスや布団がずり落ちないようにしたり、手すりのようにつかまるためのもの)の縦棒の間に、利用者の体が入り込む・挟まることがないよう縦棒の間隔を狭くする
  • 本体と別に購入するベッドグリップやサイドレールについては、取扱説明書に「適合するもの」を明示すること

が定められました。

より安全に介護生活を送るための介護用ベッドですから、このJIS規格に適合する「JISマーク」表示のあるものを選んでください。

3-3.オプションパーツが多いもの

介護用ベッドは、その特殊性から、ベッド本体のみならず付属品も必要です。先にも挙げたベッドグリップやベッドガード(ベッド柵)、食事や読書をするためのベッドテーブルなどがそれです。

ベッド本体にきちんと合ったものでなければ、ズレや落下が起き、それに伴って怪我をしてしまう可能性も否定できません。このことから、いわゆる「純正」のオプションパーツが充実している介護ベッドを選ぶことが必要です。

3-4.体に合ったベッドマット

ベッドマット(マットレス)には、いくつもの硬さがあります。日頃からベッドを利用している方、もしくはフローリング床にベッドマットと布団を敷いている方にはおなじみのものです。

もしもほとんど寝たきりである場合は、体圧分散ベッドマットを選んでください。体の重みを点で支えるポイント(かかと・臀部・背中など)が長時間圧迫されると、血流悪化から褥瘡が起こりますが、体圧分散ベッドマットなら体の重みを平均的に受け止めてくれ、褥瘡予防・悪化の抑制が見込めます。

一方、まだまだ自分で起き上がったり立ち上がったりできる方なら、少々硬めのベッドマットもよいでしょう。硬めのものは腰痛予防にも効果的とされていますし、自力でベッドの縁まで移動する際形崩れしない・つかみやすいといったメリットがあります。

どのタイプを選ぶにしても、ベッドマットは長時間敷いているものです。抗菌加工がほどこされている、丸洗いができるものであれば、カビやダニの発生にも対応できます。

3-5.ベッドシーツ

介護用ベッドに適しているシーツは、平たいフラットシーツではなく、「ボックスシーツ」です。シーツの縁についているゴムでベッドマットを丸ごとしっかり包み込んでくれますので、取替え作業がとても楽になります。また、シーツのズレによる不快感もありません。

ベッドシーツと一緒に使用したいのは、使い捨ての防水シーツです。シーツの上、臀部周辺にセットするもので、仮に排泄に失敗したり、おむつの取替え時に周囲を汚してしまっても、その部分だけきれいに取り替えられます。消耗品ですので、おむつと同様、ストックしておくと便利です。

4.介護用ベッドはレンタルできる?

介護用ベッドは、何も購入しなければならないものではありません。一時的に必要になることもあれば、長い介護生活の中で要介護者の状態・介護する方のニーズが変化することもありますので、レンタルという方法を選択できます。

介護ベッドやそれにまつわるパーツは、介護保険を利用すれば以下のような金額でレンタル可能です。

  • ベッド本体=月額600円~
  • マットレス=月額200円~
  • サイドレール(ベッド柵)=月額50円~
  • ベッドグリップ(手すり)=月額200円~
  • ベッドテーブル=月額50円~
  • 褥瘡防止用エアマット=月額500円~

もちろん、このような介護用ベッド周りの品の組み合わせは、ケアマネージャーと相談の上定められたものを利用します。たとえば、寝たきりで椅子や車椅子への移動が難しい・坐位保持(ざいほじ・上半身を立てた状態)が難しいときは、

  • 背上げ機能のある介護用ベッドを用い、上半身を起こした状態に慣れる
  • サイドレール(ベッド柵)を取り付け、自力で上半身を起こすきっかけとなるものとする
  • 訪問ないしは通所リハビリで坐位保持訓練をする

といった風にプランニングしてくれます。そのプランに適したベッドを選択し、福祉用具レンタル会社と契約、配送日や支払い方法を定めます。

介護保険でカバーできる金額は上限が決まっています。過剰なレンタルは控え、“余力”で他の介護サービスが使えるよう、ケアマネージャーが相談に乗ってくれます。介護に携わる方々の負担を均等にするため家を移動することがあったとしても、介護保険でレンタルできる介護用ベッドは1台のみですので、その点は注意が必要です。

※他の介護サービスで自己負担しなければならない金額などについては、以下の記事もご参考になさってください。

まとめ

今回は、介護生活に欠かせない介護用ベッドについてご説明しました。在宅での介護は、「できるだけ楽をする」「介護する方・される方がより快適な方法」を探らなければ長続きしません。この点で介護用ベッドは重要な役割を果たしてくれます。

介護用ベッドについての基礎知識や、介護保険を利用した際の月額目安をご説明しましたが、今回特に覚えて置いていただきたいのは以下の5つの点です。

  1. 介護用ベッドとは、介護のしやすさや安全性を追求したもの。要介護者にとっては「生活の場」となるものであるだけに、ご本人にとっての快適さにも注目する
  2. 介護用ベッドの機能は、「高さ調整」、「背上げ」、「膝上げ」が基本。電動式と手動式があるので、停電など非常時にどうするかをも考えておく
  3. 介護用ベッドで何より重要なのは安全性。2015年には在宅用電動介護用ベッドについてもJIS規格が定められたので、それに適合したものを
  4. ベッドマットやベッドシーツなど、介護用ベッドにまつわる必要物は多い。取替えがラク・清潔を保ちやすいといった機能性にも注目し選択する
  5. 介護用ベッドはケアプラン策定によってレンタルできる。一時的な使用、ないしは長期的な介護生活で状況が変化することが見込まれるときはレンタルを活用

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