在宅介護

親と同居するまでの3ステップ+2つのことの話し合いで無理なく暮らす!

結婚を期に、または親御さんの体調の問題を期に親と同居することを決める方は少なくありません。あなたは親と同居することに、どのようなイメージを抱いていますか。一般的には「難しいもの」として認知されているようですが、在宅介護の面においてはそうもいっていられません。

誰かと一緒に暮らすということには、当然「メリット・デメリット」があります。それらを再確認したうえで、親との同居生活の工夫、在宅介護に至ったときの配慮の仕方などをイメージしておきましょう。

さて、親との同居にはどのような問題が起きがちなのか、親との同居をスムーズにするためにどのような方法があるのか、いくつかの側面からお伝えします。

1.親と同居するメリット・デメリット

親と同居することは、ふたつの世帯が一緒になるということです。ひとつの世帯ならひとつの力、ふたつの世帯ならその何倍もの力を生み出すことができます。昔ながらの大家族とはいわずとも、親と子、ときに孫までも一緒に生活をすれば、良いこともありますし、ときにはストレスも生じます。

1-1.親と同居するメリット

親との同居には、いくつかのメリットがあります。

  • 経済的に助け合える
  • 孫・親の見守りを相互に行える

これらは、同居ならではの大きなメリットといえるでしょう。

特に、仕事をしている子育て中のお母さんにとって、お子さんの見守りをしてくれる親の存在はとてもありがたいものでしょう。親の側からしても、体調不良などの際に手助けしてくれる子がいる生活はとても安心できるものであるはずです。

今現在「高齢者」とされる世代の方は、現役時代に経済環境の良さを経験しています。受給年金額もそれなりにあるでしょうし、預貯金もしかりです。今やっと経済環境が持ち直しつつある日本では働き盛りの世代の給与も上昇傾向に入ったとされますが、それを実感できている世帯は全国的に見てまだ少数であるはずです。その点から、親との同居で「暮らしを補完し合う」というのは、とても合理的なことです。

1-2.親と同居するデメリット

親と同居するということは、違う世帯が生活を共にすることを意味します。

このことから

  • 生活時間帯が異なる
  • 価値観が違う

という現実に立ち向かわなければならないでしょう。

働き盛りの子世帯は深夜までが生活の時間です。一方親世帯は、夜の9~10時には就寝してしまうことも珍しくありません。この「ズレ」により相互にストレスを感じてしまうこともあるでしょう。

また、価値観の違いにより、生活に必要と考えるものが違う・子や孫への接し方(教育方針)が異なるなど、気持ちの行き違いが発生することもあります。

2.夫婦はそもそも他人、ましてや義理の親は「もっと他人」

夫婦はそもそも他人同士です。しかしながらお互いに惹かれあって一緒になり、夫婦となります。夫婦であっても分かり合えない部分は生じるもので、それでも何とか関係を維持するため上手な付き合い方を模索しながら落ち着いていくものです。

そこへきてさらに義理の親ともなれば、「もっと他人」と考えるべきでしょう。確かに配偶者の親とはいえ、世代が違いますし、その人格を形成してきた環境も“未知”のものです。同居前には良好な関係に思えても、いざ一緒に暮らすとなるとお互いに「ダメな部分」も見せ合わなくてはならず、相互でがっかり、というケースも少なからずあるでしょう。

2-1.時に親族(親)との折り合いの悪さが「離婚理由」になることも

「親 同居」検索すると、とても痛切で否定的なブログが多くヒットします。これは、上で触れたとおり、「全くの他人であった人たちが家族として生活する軋轢」が噴出している結果でしょう。

少し悲しい現実ですが、家族や親族との折り合いの悪さが離婚の理由に挙がっているというデータもあります(司法統計からみた離婚│厚生労働省)。

司法統計からみた離婚│厚生労働省

  • 性格があわない
  • 暴力をふるう
  • 異性関係
  • 生活費を渡さない
  • 精神的虐待
  • 浪費
  • 家庭を捨てて省みない
  • 酒を飲みすぎる
  • 異常性格
  • 性的不満
  • 同居に応じない

上記までなら「夫婦ふたりの問題」として想像がつくものですが、この中に

  • 家族・親族と折り合いが悪い

が入っていることに注目してください。

このように他人同士が屋根を共にすることには、親の側・子の側双方に「お互いへの配慮」が求められているとわかります。ふたつの世帯が大きな家族となろうとしていたところ、最小ユニットともいえる子世帯が離婚する事態にまで発展することがあるのです。

3.それでも親と同居しなければならないときはどうする?

「いずれ親の面倒をみなければ」という理由で即座に同居、というのは少々ハードルが高そうです。夫婦であってもお互いの“暮らし方”に慣れていくには時間がかかるのですから、親ともなればまたさらに時間がかかることでしょう。

3-1.「スープが冷めない距離」からはじめる

親世帯のそばに手ごろな賃貸住宅があれば、そこに住み、時々行き来することからスタートするのはいかがでしょうか。お互いに暮らしぶりを観察しあい、少しずつそれを受け入れるところから始めるのは決して悪いことではないでしょう。俗に言うところの「スープの冷めない距離」です。

夫の実家、ないしは妻の実家が近すぎると、そもそものユニットである「夫婦」よりもそれぞれの実家に重きを置いてしまうこともありえます。夫婦の関係がしっかりしたところではじめて、どちらかの実家から遠くないところに住み、慣れてゆくのが自然でよいのではないでしょうか。

親がまだ現役、ないしは現役並みに元気であるならなおさらそうです。お互いの暮らしを保ちつつ、時々会う・食事を共にすることを繰り返しながら、相互のライフスタイルを知っていくことはとても重要です。

3-2.近くに住んでいても、「義理」を欠かさない

段々お互いを理解し打ち解けてくると、いい意味での融和がはじまります。しかしながらそこは親と子、別の世帯ですから、冠婚葬祭・季節のご挨拶は欠かすことなく行うとよいでしょう。古風なタイプの親ならば、「仲良くなったことをいいことに、挨拶のひとつもできない」と思い始める可能性もなきにしもあらず、です。

これはモノでのお礼だけでなく、何かの時にはきちんとお礼を言う、必要なときには手助けに行く、といった行動面でも表現できます。お小言を頂戴することがあっても、理屈の通るものであれば「教えていただいてありがとうございます」と謙虚に受け取ることも必要です。

3-3.お互いに溜め込まず、何でも話し合える関係にまで高める

少なくとも“四半世紀”は世代が違う親と子ですから、考え方が違うのは致し方ない現実です。しかしながらいずれ同居するのであれば、感情ではなく「人として何が大切なのか」にフォーカスし、何でも話し合える関係になりたいものです。

そのためには、まだまだ同居前である段階から、大事なことはきちんと伝えるよう心がけてはいかがでしょう。時にはケンカになることもあるかもしれませんが、実の子である夫(ないしは妻)にフォローを依頼しながら、さらに良い関係になることを目指していただきたいと思います。

介護となれば、もっと多くの問題が出てくるはずです。同居に踏み切る前に、いわゆる「腹を割った話」ができるようになっていればベストです。

4.いざ同居! 家や暮らし方はどうする?

同居をする前に、二世帯住宅を建てる・実家のリフォームをするなど「ハード面の準備」、生活費をどうするのかの「ソフト面の準備」が重要です。これらの準備を怠ると、同居を始めたはいいが子世帯が離婚、ということにもなりかねないことは上でもご説明したとおりです。

4-1.家の準備

二世帯住宅に建て替える・実家のリフォームで二世帯住宅にするという面は、お互いの暮らしを尊重する面でとても重要です。二世帯が上手に暮らすためには、お互いに干渉し過ぎない工夫が必要なのです。

家を建てる・もしくは大規模リフォームには大きなお金が必要です。「今このとき」、「介護が必要になってから」のふたつの側面から充分に検討を重ね、ストレスを感じず長く住める間取りにしなければなりません。

  • 完全同居型=寝室以外はすべて共用、昔ながらの大家族の住む家のようなイメージ
  • 部分共用型=玄関やキッチン・バスルームなどは共用、親世帯は1階・子世帯は2階などに区分し生活するゾーンを分割
  • 完全分離型=共用するものは何もなく1階・2階に分ける、もしくは同じ敷地内に別棟を建てる

この3パターンが親と同居する際の代表的な間取りです。

4-2.お金の計画

仮に親の持ち家が申し分なくそのまま一緒に住むとしても、月々の生活費の話は避けて通れないものです。水道代や電気代、その他の費用がどちらかに多くかかってしまうと不満が出てくることでしょう。それを避けるためには事前の話し合いが欠かせません。実際、お金に関して事前の話し合いをした家族ほど、同居開始後の満足度が高いというデータがあります(「同居・二世帯の住まいづくりと家計」調査について│株式会社住環境研究所)。

「同居・二世帯の住まいづくりと家計」調査について│株式会社住環境研究所

同居を始める前にきちんと話し合っておくべきですが、生活費の按分で欠かせない視点は次の通りです。

  • 子が親を扶養に入れ節税できる(扶養控除)=子世帯に無理のない範囲で、親の生活費をバックアップする
  • 同居にあたり子世帯が住宅ローンを負う場合=親世帯の生活費(食費・光熱費・嗜好品)は親に負担してもらう
  • 相互に面倒を見合い、対等でいたいと考える場合=毎月それぞれに決めた額を“共用財布”に入れ、生活をまかなう

いずれのパターンを選んだとしても、親世帯・子世帯の状況は年々変化することでしょう。定期的にルールの見直しをし、どちらかに不満が蓄積しないようにすることも重要です。

※介護にかかるお金に関してもう少し踏み込んだお話は、以下の記事もご参考になさってください。

5.独身の子が親の介護の為に同居をするとき

親が介護のために子の同居を求めても、子が独身である、ということは珍しくありません。そもそも結婚していない・結婚はしたが離婚をした、いずれのケースであってもひとりで親をみるために同居をすることになります。

5-1.自身の実家であるとはいえ、「出戻り」にはストレスも

いくら自分自身の実家とはいえ、一度家を出て自分なりのライフスタイルを身につけた人にとって、親との同居はストレスを生むことがあります。特に一度は結婚をし、苦楽を共にする相手がいる環境を味わったことのある人にとって、離婚後にひとりで介護に臨むというのは辛いものでしょう。

また、それに伴い転職を余儀なくされ、収入が減少してしまったとなればその苦労はひとしおです。手にする給与は減少し、親の年金と合算しても生活が成り立たないというケースも少なからずあるからです。

そのような場合は、お住まいの自治体へ出向き、「世帯分離」ができないかを相談してください。世帯分離とは、住民票の上では同じ住所であっても別の世帯であることを認めてもらうことです。つまり、同住所に世帯主が複数いる状態を示します。

もしもこの世帯分離が認められれば、世帯の所得に応じて定められる「介護保険サービス」の上限額がぐっと下がることがあります。

※世帯所得額により定められる「自己負担上限額」については、以下の記事もご参考になさってください。

「おひとりさま」で親の介護をするには、想像以上の体力的・精神的ストレスがかかります。せめて金銭的な面だけでも少し楽にならないか、自治体の窓口で粘り強く相談してください。すべてを背負うことで子が倒れてしまっては、親の介護はおろか、“一家全滅”となってしまうことも考えられるのです。

上で二世帯同居のお話をしましたが、独身の方もそれと同等の心構えと事前準備で親との同居を成功させましょう。

まとめ

介護を前提とした親との同居には、メリットもデメリットもあります。しかしながら、一人前になるまでに育ててくれた親へ感謝を示す方法のひとつでもありますし、親もまた見知らぬ人ばかりの老人ホームに行くよりは、と強い希望を示すこともあるでしょう。このようなとき、どのようにすれば「良い同居生活」が送れるのでしょうか。

この記事では、特に以下の5点をご記憶いただきたいと思います。

  1. 親と同居する際には、メリット・デメリットをじっくり考えて。ふたつの世帯を一緒にすることで得られる経済面のメリットは大きく、子育て中の母親が子の心配をせず働きに出られることもうれしいポイントのひとつ
  2. 時に親との同居が離婚の原因になることもある。まずは夫婦ふたりの関係が安定し、「家族」として充分に機能し始めてから親との同居を考える方が安全なケースも
  3. 結婚と同時にいきなり同居を始めるのは危険。親・子ともにゆっくりとお互いを理解し、何でも話し合える関係になっておかないと、同居開始後に不満が噴出することにつながる
  4. 親との同居には、「家」「お金(生活費)」の話し合いが欠かせない。丁寧な話し合いを重ねることでコミュニケーションも向上し、大切なことから逃げない姿勢をつくることができる
  5. 独身の子が「ひとり」で親と同居をスタートさせるのは、意外にもハードルが高い。実家であるとはいえ介護にひとりで立ち向かわなければならないので、世帯分離などで金銭面での工夫ができないか自治体に相談を
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