介護職を辞めたいときに行うこと3つとその理由

介護の仕事がつらく、辞めたいと思っておられますか。まだそこまで行かなくとも、仕事に出る前に何かしらの緊張感を覚える・前向きな気分になれないなどストレスからくる症状に気づいていらっしゃったりはしませんか。

人に寄り添うという尊い理想を持って介護職に就いたものの、現実との差にくたびれ果てて辞めたいと思われている方に少し考えていただきたいことがあります。正しい判断をするためのヒントとなれば幸いです。

1.「介護職を辞めたい」とあなたに思わせる理由は、大きく3つに分けられる

介護職のみならず、どのような仕事にも「いやなこと」は付いて回ります。しかしながらその「いやなこと」が度を過ぎると、職場での働きぶりに影響が出るのみならず、自分自身の心身の調子を蝕んでしまうことにもつながります。

ただ漠然と「いやなこと」にとらわれ、安直に辞めたいと思うのではなく、その理由を分解して考えてみてください。

1-1.人手不足で仕事が回らない

多くの人が介護職を辞めたいと思う最大の理由とされる人手不足。それによって仕事がうまく進められない、スタッフ間にギスギス感が生じてしまう、せっかく新人が入ってきてくれても教育ができずすぐに辞めてしまうなどの問題が起きてはいませんか。

それは正直、あなた自身の問題ではありません。事業者側の問題です。人員を増やしてもらえないか、せめて仕事の効率化を図れないかをビジネスライクに上層に伝えることが必要です。しかしながら、上層部がそれらの問題に気づきながら放置しているようであれば、あなたの側から職場を見切る必要があるでしょう。

人手不足からヒューマンエラーが起きてしまうと、事業者が責任を問われます。また、そのことからスタッフに心の傷が残ってしまうことも考えられます。既に“心が折れている”状態であれば、ご自身がもっと傷つく前に何かしらの対処をしなければなりません。

1-2.給料が安い

給料の安さを感じるのは、そもそも論として「生活が成り立たない」場合と、「仕事量に対して収入が少ないと感じる」場合があります。特に大きな問題となるのは「生活が成り立たない」ことです。

身やこころ、お財布までをも削ってその職場にいてはなりません。人生、お金だけではないとはいえ、生活がギリギリならば精神的余裕がなくなり、仕事でもプライベートでも消耗しきってしまいます。ときに副業をしたくなるほどに苦しい瞬間もあるでしょう。

そのようなときは、まず上司に相談です。就業規則により副業が禁止されていることがあり、それに抵触することで事業所内で厳しい立場に立たされてしまう可能性も否定できません。また無理がたたり体調不良に陥っては本末転倒です。

※給料を上げたい・副業をしたいときは、次の記事もご参考になさってください。

介護の仕事の給料を上げたい!そんなときは2つの点から仕事を見直して!

2017.10.13

1-3.やりがいを見つけられない

たとえ人手が充足していても、頼れる先輩がいても、そしてお給料が高くても、仕事そのものにやりがいを見つけられないという方もいらっしゃるでしょう。特にコミュニケーションが取りづらく、時に暴力を振るわれることも珍しくない認知症の方のお世話は、覚悟や割り切りが必要です。

やりがいを見つけられない、というのは、もしかすると介護系大学新卒者が抱きやすい悩みかもしれません。学校で学んだ技術・介護に対する理想と、現場で行われていることがかけ離れていることでやりがいを見出せない状況に陥ってしまうのです。

お世話の相手は人間です。介護の仕事の中で起こることすべてが学校で学んだとおりにはいきません。できればお相手を「未来の親」「未来の自分」として対応できるようこころのスイッチを切り替えてみてください。それでも難しいようならば、せめて認知症の方の少ない施設・介護サービス業者に仕事を求めるほかありません。

2.離職を決定する前にチェックしておきたいこと

介護職に就いている方が辞めたいと感じる大きな理由を挙げましたが、まずは自分でできることから改善にトライしてみるのはいかがでしょう。もしかすると、離職の前にある程度問題を軽減することができるかもしれません。

2-1.多方面から今の自分・今の仕事を見てみる

多忙により毎日の仕事が流れ作業のようになっているとすると、本来自分自身が「何をしたかったのか」を忘れてしまいがちになります。休みが取れた日にでも一度ゆっくりとなりたかった自分について思い出してみてください。そして、現在の状況との差をどうすれば埋められるのかを考えてみてください。

  • 何かの資格を取得すればなりたい自分になれるのか
  • 収入が問題ならいくらあれば満足できるのか
  • 真面目さが災いして自身の苦労を増やしてはいないか

様々な側面から今の仕事について眺めてみましょう。自分で解消できることがあれば、是非それにチャレンジしてください。周囲の人を変えることはできなくても、自分自身のこころのあり方は少しずつでも変えていけるはずです。

2-2.周囲(お世話する人たち・職場の人たち)が問題なら離職・転職も選択肢のひとつ

何をどう努力しても変えられないのが、お世話をする人たちや職場の人たちです。どう考えてもいじめにしか思えない、身の危険を感じる、というときは離職や転職を考えなければなりません。

社会に貢献しながら自分自身の暮らしを立てることは、あなた自身が心身ともに健康であってはじめて実現することです。上司に相談をしても改善策を打ち出してもらえないのであれば、自分の心身は自分で守らなければなりません。

もしも離職や転職を考えざるを得ないのであれば、今すぐにでもハローワークや転職サイトを使って次の仕事探しに入りましょう。

3.「辞めたい」と思う方が「辞められない」ときはどうする?

いろいろな面から今の仕事と自分の状況を考え合わせて、やはり辞めることを選ばざるを得ないときに障害となることがいくつかあります。それらに対する考え方は次の通りです。

3-1.人手不足で「辞め時」がわからない

たとえ人手不足でいつ辞めることを伝えればよいのか迷っているとしても、それは不要なものです。人件費を上げられない・上げたくないために、事業所は少ない人数で仕事をこなそうとしているのかもしれません。あなたが仕事を辞めたい旨を伝えたら、すぐにでも次の人を探すべく求人をかけるでしょう。

仕事を選ぶことは私たちに与えられた権利のひとつで、「職業選択の自由」として日本国憲法で定められています。他のスタッフを思いやるがゆえに自分自身の辞め時を定められないようなら、この職業選択の自由を思い出してください。

職業選択の自由とは
日本国憲法第22条第1項
「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転、及び職業選択の自由を有する」
ときに「○年間は競合他社への転職を禁ずる」という社内規定が勝るとされるケースがあるので、
転職の際は介護職でも事業形態の異なる事業所や、他の業種を選ぶことが無難なことも。
辞めることを伝える前に、社内規定の確認を。

確かに、人手不足のときに辞めたいと伝えるのは勇気が必要です。仲間として一緒に働いてきた人たちにしわ寄せが行くことを思い悩むかもしれません。時に悪口の対象となるかもしれませんが、自分の心身、生活を守るためには正しい割り切りが必要です。いくら上司が難色を示しても、社内規定で定められた時期まで(退職希望日の1カ月前までにとされるところが多い)に退職願を提出すればそれでいいのです。

もしもモラルに欠ける職員が多い職場なら辞めるまでの期間は確かにつらい時間となります。しかし、勤務最後の日までいつもどおりに仕事を淡々とこなせば、以降その職場から自由になることができます。

3-2.条件付きで奨学金をもらってしまい、辞めたいけど辞められない

介護にまつわる資格取得のため、自治体などの奨学金制度を利用した場合、「県内で5年以上介護の仕事に従事すること」などの条件がついているでしょう。しかしながら、この定められた期間内につらい思いをし、辞めたいと思ったときはどうすればよいのでしょうか。

まず、その奨学金制度を運営している担当窓口へ連絡してください。連絡するまでにつらさを客観的に確認できるものを用意しておきます。勤務時間の超過があるなら勤務時間を手帳に記入する、暴言があるなら録音しておくなどです。単につらいと伝えても、それを証明することは難しいことですので、事前の準備が必要です。

その上で、何らかの方法がないか相談します。条件として「県内の事業所に勤務すること」が定められているのであれば、県内の他の事業所への転職が認められないか、一度気持ちをリセットするための休職期間を認めてもらえないのかを確認してください。

ここで気をつけたいのは、安易に「うつ」の診断書を手に入れないことです。一度うつと診断されてしまうと、民間の保険に入れない・転職の際に難色を示されるといったデメリットが生じます。そのような事態を避けるためにも、ご自分の我慢の限度を越えてしまわないうちに相談するのがベストです。

4.「辞めたい」と思い始めたら行うこと3つ

上記では、辞めたいと思うケースについてご説明しましたが、この項では辞めたいと思い始めたときにしておくべきことについてご説明します。

4-1.当座の生活費の準備

介護職を辞めてから次の勤務先が決まるまでの間も、必ず必要なのが生活費です。正社員として働いていて失業保険の対象となるとしても、自己都合退社の場合は給付金を手にするまで3カ月かかります。この間の生活費の準備ができていれば、不安なく転職先を探すことができます。最低でも3カ月は暮らせるだけの貯金があることを確認してください。

4-2.ボーナス支給前の時期に次の仕事探しを開始する

ボーナスは、働きを評価されたことに対する“ご褒美”です。これを受け取って辞めることはなにも恥ずかしいことではありません。また、他の職場で辞めたいと思っている人もこのタイミングで退職願を出していることでしょう。

ご褒美を手に入れると同時に次の職場が見つかりやすいのが、ボーナス後。この頃までには転職先探しを始めるとよいでしょう。

4-3.次の仕事も「介護職」を選択肢に入れる

今の職場が勤めにくかったとしても、他の事業所が同じとは限りません。あなたのこれまでの経験をこころから待ち望んでいて、正しく評価してくれる事業所もあるはずです。国の進めている「介護職員処遇改善加算交付金」対象となっている先進的な事業所であれば、「職員のキャリアアップ」「人事評価制度の制定」といった適正な判断をしてくれます。

つまり、このような“企業努力”をしている事業所、そうでない事業所と、二極化してゆく傾向があるという訳です。人手不足により適正に仕事を回せなくなっている事業所がつぶれてしまったり、大手企業に吸収されることは珍しくありません。つまり、これまであなたがいた職場は、この“限りなくブラックに近い事業所”だったかもしれないのです。

実際、2016年に倒産した老人福祉・介護事業所の倒産件数は108件、東京商工リサーチが調査を開始した2000年以来最多となったことが発表されています。その内訳は、従業員5人未満が73.1%、設立から5年以内が50.0%となっていて、業績不振に陥った理由は、ノウハウ不足・資金面の課題とされています(2016年(1-12月)「老人福祉・介護事業」の倒産状況│株式会社東京商工リサーチ)。

介護職を数年続けてきたのであれば、介護職専門の転職サイトに登録しておき、最新の情報をチェックするのも悪いことではありません。これまでの事業所とは違い、あなたを評価してくれる会社に出会えるかもしれないのです。

※介護職への転職については、以下の記事もご参考になさってください。

介護の仕事の転職、そのあり方や転職のために使いたいもの3種教えます!

2017.10.06

まとめ

せっかく介護職に就き、経験や知識を積み上げていても、ときにつらさを感じることで辞めたいと思うことは少なくないでしょう。ネットで検索すると、さまざまなつらさを多くの人が吐露しているページに出会います。「あるある」、「どこも同じ」と共感されたことも多いのではないでしょうか。

今回は介護職を辞めたいと思ったとき・辞めようと決定する前に考えていただきたいことをご説明しましたが、特にお伝えしたかったのは以下の5つのポイントです。

  1. 多くの人が介護職を辞めたいと感じる理由は、大きく3つ。人手不足で仕事がうまくいかない・給料が安い・やりがいが見つけられない
  2. 辞めたいと思ったときに確認すべきことは、「自分のことと自分の仕事」「職場環境」の2つ。自分自身で変えられないことが原因なら、離職・転職も検討
  3. 辞められない理由は、人手不足で他の人に迷惑をかけてしまう・奨学金制度に縛られているなど。いずれも心身が疲弊しきる前にしかるべきところへ相談
  4. 辞めたいと思い始めたら、当座の生活費の確保を。自己都合の退社で失業保険給付金を得るまでには3カ月かかる
  5. 転職希望なら、ボーナス支給後となる時期までに職場探しをはじめる。他の人も「ボーナス後に辞めたい」と考えている可能性が高く、他の職場でも空席が出やすい