老後資金

住宅ローンが払えない…「老後のお金」6つの事を並行して検討

老後を過ごすための住まいは「自分の家」とお考えの方は多いはずです。住みなれた家で家族と共に暮らしたい、というのはだれもが願う充実した老後の条件のひとつでしょう。

しかしながら、老後に住宅ローンを払えなくなりそうだというとき、ないしは実際に払えなくなったときはどのようにすればよいのでしょうか。家を手放し、どことも知れないところを転々とするという悲惨なイメージが浮かんできて、心が落ち着かないかもしれません。

その暗いイメージを抱いたまま、不安な気持ちでいることは避けていただきたいと思います。対応策が見出せることもあるからです。とはいえ、実際に住宅ローンを支払えなくなりそうなときは、どのようにその問題を解決すればよいのでしょうか。

今回は、住宅ローンが払えない場合について解説いたします。

1.住宅ローンを払えないと、どんなことが起こるの?

住宅ローンを払えなくなる理由には、様々なものがあります。家族がケガをした・病気になった、収入が大幅に落ち込んだなどは、どなたにも起こりうることです。まず、住宅ローンを払えない状態に陥ると、どんなことが行われるのかを知ることからはじめましょう。

1-1.【最悪のケース】家が競売にかけられる

最悪のケースなら、家が競売にかけられてしまいます。というのも、住宅ローンの支払い期間中は、住宅ローンの対象となっている家が「担保」となっているからです。住宅ローンが払えない状況に陥ってしまったとき、貸し付けているお金を取り戻す手段として金融機関が抵当権を設定しているからです。

といっても、1度支払えなかっただけで「即競売」ということにはなりません。しかしながら、やはり1度でも支払えなかったという事実は消えず、金融機関側は危機感を抱かざるを得ない顧客として認識します。

1-1-1.競売にかけられるまでの流れ

住宅ローンが払えない状態が3~6カ月続くと、以下のような流れで競売に至ります。

  • 督促状が届く
  • 住宅ローンを一括で支払う方向へ切り替える「期限の利益の喪失通知書」が届く
  • 保証会社が住宅ローンの残りを金融機関へ支払う(代位弁済)
  • 債権が保証会社に移り、保証会社から住宅ローンの残りの金額と損害金が請求される
  • 保証会社は裁判所に競売にかける許可を求める
  • 裁判所から「競売開始決定通知書」が債務者に届く

この間(1年~1年半)に、土地や建物の価値を判定する土地家屋調査士や不動産鑑定士があなたの家に出入りすることになります。もしも家を手放さざるを得ないと覚悟していても、生活している家に他人が上がりこみ、写真を撮り、その家のことや家族のことなど根掘り葉掘り聞かれることは大きなストレスとなります。

たとえば、競売情報を掲載しているサイトから、身近なエリアを検索してみてください。特定の物件をクリックし、その物件ページの「三点セットのダウンロード」に進むと、その家の様々な情報を見ることができます。競売前には、情報収集の為に、このようなことが行われるということを覚えておいてください(不動産競売物件情報サイト│株式会社NTTデータ)。

信用情報に傷が付くと同時に、長年住み慣れた土地ののご近所さんに「競売にかけられること」が知れてしまうことは、とてもつらいことでしょう。

2.住宅ローンが払えないかもと思ったら、同時進行で6つのことを検討

では、住宅ローンが払えない見込みとなったときに、どのようなことを行えばよいのでしょうか。できれば、同時進行で以下の事柄を検討してください。もちろん、「払えない」ではなく、「払えなくなりそう」という段階で有効なことばかりですので、早めに対策を講じるようにおすすめします。

2-1.住宅ローンの借り換えができないか金融機関へ相談する

まず、見直したいのは今の住宅ローンの条件です。10年を超えて以前に契約したものであれば、住宅ローンの借り換えで月々の支払いを低くできる可能性があります。というのも、2017年現在、いわゆる「ゼロ金利」の状況で、金融機関側も「安定した収入がある人であれば積極的に貸したい」と考えています。

とはいえ、既に住宅ローンを払えないと感じている方は、他にカードローンを利用していたりなど他の負債も膨らんでいる可能性があります。そのことも包み隠さず話してください。また、借り換えには諸費用も必要ですので、そのことも念頭に入れ相談に臨んでください。

また、年齢の問題で借り換えができないこともあります。そのときは、他の方法も考えてみましょう。

2-2.保険の「契約者貸付」が利用できないかを確認

生命保険など、貯蓄性の高い保険商品には「契約者貸付」が利用できるものがあります。保証はそのままに、死亡時におりる保険金から貸付分を差し引くというもので、長年かけてきた保険であればある程度の金額が準備できるでしょう。

ケガや病気、介護に必要な当初費用といった一時的なものであれば、これでしのぐことができるでしょう。とはいえ、これらについては医療保険に加入していればカバーできるかもしれません。慌てずに契約している会社に連絡を取ってください。

もしも契約者貸付を利用しても、一般的なローンなどより金利は低いですし、まとまったお金ができれば返済もでき、死亡時など本来の保険金をキープする道も残されています。

2-3.税金関係の猶予や免除ができないか相談

国民年金や国民健康保険料(税)など、消費行動ではない「支出」もあります。これらは、個人や世帯の収入により納めるべき金額が決められるものです。収入が減ってしまったことが確認できれば、猶予や免除、一部免除の措置が取られることがあります。

たとえば、失業してしまった、ケガや病気で働けなくなった、介護に当たるに際し退職したことが事実であれば、そのことを国民年金機構やお住まいの自治体の窓口で相談してください。出かける前には、どのような書類が必要なのか電話で確認しておくと、二度手間が防げます。

2-4.親族に相談する

介護生活に入ることで世帯収入が落ち込んでしまったのなら、それを親族で支えることができないかを話し合ってみてください。お金での援助が得られるかもしれませんし、介護の一部を担ってもらえれば、空いた時間で働けるかもしれません。

または、比較的金銭的余裕のある親族がいれば、その家を買い取ってもらい、そこに住み続けるという方法も採用できるかもしれません。介護は家族・親族の問題ですので、身近な人に相談することも必要です。

2-5.売却を考える

同じく家を手放す結果となりそうなら、競売よりも売却が有利です。上でご紹介したサイトで競売情報を見ていただければすぐにご理解いただけますが、競売のスタート価格(標準売出価格)はとても安いものです。

それならば、思い切ってご自分の手で売りに出されるのはいかがでしょうか。住宅ローンの残債を上回る売値をつけることができる、もしくは預貯金を補填することで住宅ローンを完済できる額で売れれば、住宅ローンの一括返済が可能です。

この方法でうまく「住宅ローン地獄」を抜け出すことができれば、信用情報に傷が付くこともありません。他に家を借りなければならない事態にはなりますが、決して安くはない固定資産税や、今後必要となってくる家のメンテナンス費用から自由になることもできます。

しかしながら、住宅ローンを支払っている最中の家を売るには、債権者である金融機関の了承を得ることが必要です。貸し手としては貸したお金が戻ってこないのも困りますし、ローン期間中は抵当権が設定してあり自由に売買できないからです。一括で残債を支払うことができる見通しが立っているのであれば話は別です。

もしもローンの残高よりも売却額が低くなりそうなときは「任意売却」の知識を持ち合わせた専門家(宅地建物取引士など)に相談をします。どのようにすればお互いが納得できるのかの仲介をしてくれます。どうしても残債が残ってしまう場合はそれを「無理のない支払い方にできないか」とあなたと一緒に協議してくれます。このときは残念ながら信用情報に傷がついてしまいますが、今後の生活を考えれば前向きに臨むしかありません。

もしも既に、支援や介護が必要となっている方であれば、いずれは老人ホームなどへの入居も視野に入っていることでしょう。家を売ることで一旦身軽になり、老人ホームへの入居をお考えになるのもひとつの方法です。

2-6.【原則】生活費の見直し

当然のことではありますが、住宅ローンを払えないという状況に陥る前に、収入と出費のバランスを見直ししましょう。不慮の「何事か」が起こってもいないのに、住宅ローンが払えなくなりそう、と感じておられるのであれば、支出のどこかに問題があるのではないでしょうか。

もしも介護に関わる費用が家計を圧迫しているのであれば、まず得られる公的支援(介護保険を用いたサービス)で費用を軽減できないかを、自治体の福祉窓口などで相談してみてください。

もちろん、収入に見合わない出費を続けているのであれば、今日からでもそれをやめなければならないことはいうまでもありません。高い生活水準のまま暮らしを続ければ、住宅ローンが払えなくなるだけでなく、預貯金の切り崩しから生活そのものも危うくなります。

3.「老後はお金がかかるもの」という意識を高く持つ

子どもの教育といった大きなライフイベントを通過した60代は、経済的に自由なのかといえばそうではありません。他の世代に比べ、「保険医療費」「交際費」が高い傾向にあります。

※老後の生活費に関しては、以下の記事もご参考になさってください。

一方で、経済環境が落ち込んだ時期に退職を迎えた方は、思ったような額の退職金を得られなかったということもあるでしょう。住宅ローンを退職金で払いきってしまおうと考えていた場合、その計算が狂い、老後の資金が底を付いてしまうケースもあるようです。

また、年代が上がるにつれ、親として低収入の子や孫の世話を焼きたいという心理も働き始めます。2017年、働き盛りの世代の賃金は上昇傾向にありますが、これまでに何がしかの形で援助をしてきた人も少なくないのではないでしょうか。

2014年に破産をした年代は

  • 50歳代=21.05%
  • 60歳代=18.71%
  • 70歳以上=8.63%

と、比較的高い年代の人が48.39%を占めています。

2014年破産事件及び
個人再生事件記録調査│日本弁護士連合会消費者問題対策委員会

この調査では、負債の原因を「住宅購入」としたのが26.98%でした。複数回答が認められている設問でしたので、「家を買ったこと」が破産の直接の理由ではないにしろ、大きな負担になってしまったケースが多いことはわかります(2014年破産事件及び個人再生事件記録調査│日本弁護士連合会消費者問題対策委員会)。

先にご紹介した「老後の生活費はいくら必要?4つのケース別対応策」でご説明したように、平均的な老後の姿は、貯金を取り崩しながら暮らしを支えているものでした。そこには、住宅ローンの支払いや古くなった家のリフォーム、固定資産税が含まれていることでしょう。

もしも、「もう、生活費の資金繰りが難しい」と感じ始めたら、家を売ることも検討材料に含めてください。売却することで住宅ローンを完済できれば、少なくとも家のリフォーム資金や固定資産税の準備・支払いはせずに済みます。たとえ賃貸住宅の家賃が発生しても、夫婦ふたりないしは一人暮らしのちょうど良い家に住み替えができる、と良いほうに考えてはいかがでしょう。

生活費もそこそこに抑え、工夫しながら暮らしているにも関わらず住宅ローンを払えない状況に追い込まれてしまっているのなら、早めに上記の項目を徹底的に検討し、ベストな道を選んでいただきたいものです。

老後の暮らしには、思いのほかお金がかかるものです。リタイヤし、年金生活に入ってしまうと、収入は年金以外にないという状況にもなります。住宅ローンの支払いに不安を感じ始めたら、早く解決策を見つけることが最も重要といえます。

まとめ

老後の生活をしながら、または老後を目に前に「住宅ローンが払えない」という事態を目の当たりにすると、私たちの暮らしはどうなるのだろう、と暗い気持ちになってしまいます。また、これまで苦労して払い続けてきた住宅ローンで名実共に自分のものになろうとしている家を失ってしまうかもしれないという悲壮感に襲われることでしょう。

しかしながら、様々な角度から生活を見直すことで「新しい一歩」を踏み出すことも可能です。今回は、特に次の5つのポイントを覚えておいていただきたいと思います。

  1. 住宅ローンを払えないと、最悪の場合家が競売にかけられてしまう。このような不幸を避けるためには、「払えなくなるかも」という早い段階で様々な観点から家計のチェック・家を守るための検討をはじめる
  2. 住宅ローンの借り換え、親族に援助してもらう、親族に家を買ってもらうなど、家そのものを守ることを考えてみる。どうしても家という財産を守りたいのなら、金融機関や親族の力を借りることをためらわない
  3. 貯蓄性の高い保険商品には「契約者貸付」が利用できるものがある。一時的に生活が苦しくなるときは、これまでかけてきた保険の中にそのようなものがないかを調べ、借入できないか相談してみる
  4. 住宅ローンを省いて考えても、生活そのものが苦しいのであれば、国民年金・国民健康保険料(税)など税金関係の相談を。何らかの理由で収入が落ち込んだ・介護のために離職したなどの理由があれば、免除や猶予をしてもらえる可能性も
  5. 住宅ローンに加え、家のメンテナンス費用や固定資産税の支払いもできないと感じ始めたら、早いうちに家の売却を。売却で残債を一括返済、もしくは任意売却をしどうしても残るローン残高を少しずつ支払うというふたつの方法がある
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