訪問介護で「資格なし」はOK?資格の種類を知り有利に職を手にしよう!

訪問介護は、自宅を離れず生活したい要介護者とそのご家族にとって、頼りになる心強い“助っ人”です。家とは、その方にとって思い入れの深いものでしょうし、精神的混乱を避けるためにも自宅で過ごしたいというケースもあります。

そのような方に直接接触する訪問介護にあたるには、どのような資格が必要なのでしょうか。もしも資格なしの場合、どこまでお手伝いができるのでしょうか。

今回は訪問介護にまつわる資格のご説明をします。これから訪問介護に関連した仕事に就こうとされている方が有利に職を得るために役立てていただきたいと思います。

1.訪問介護の場で役立つ資格一覧

訪問介護で行うことは、進退介護と生活の支援、通院介助の3種の仕事です。これらの中には、介護を受ける方の状態に合わせ、決め細やかな対応をしなければならないものがあります。

過去には「ホームヘルパー」と呼ばれていて、家事の代行のようなイメージがあった頃もあります。しかしながら、ホームヘルパー1級・2級という資格は平成25年に廃止されています。

1-1.介護職員初任者研修

介護職員初任者研修は、訪問介護と施設介護のふたつの現場で役立つ資格です。130時間の受講+介護演習に加え、筆記試験合格で介護職員初任者研修修了となります。

ホームヘルパー2級を持っている方は、そのままで介護職員初任者研修修了とみなされます。しかしながら、制度改正によって“横滑り”で介護職員初任者研修修了同等とされても、あくまでもホームヘルパー2級ですので、履歴書などの書類には「訪問介護員2級(いわゆるホームヘルパー2級)養成研修課程修了」と記載しなければなりません。

もしも「介護職員初任者研修修了」と記載したいのであれば、改めて介護職員初任者研修を受講する必要があります。受講時間は無資格で介護職員初任者研修に臨む方と同じく130時間、うち介護演習(実技)が90時間必要で、筆記試験合格も求められます。

※介護職員初任者研修については、次の記事も参考になさってください。

1-2.実務者研修

実務者研修は、より訪問介護の現場で重宝される資格です。というのも、身の回りのお手伝いのみならず、「たん吸引」「経管栄養」(本来は医療行為)にまで踏み込んだケアができるからです。

介護の世界で、ひとつの目標とされる介護福祉士への“一歩手前”のステップでもありますので、将来もっと介護の世界で羽ばたきたいと願う方にとっては、必須の資格といえるでしょう。

合計450時間の受講+研修を受け、後に知識が身についているかの確認(振り返り)があり、そこで規定水準を満たしていると判定されれば修了です。既に介護職員初任者研修修了者は、450時間中、130時間の研修を免除されることがあります。

※実務者研修については、次の記事も参考になさってください。

1-3.重度訪問介護従業者養成研修

重度の身体不自由者や精神障害により、常に介護が必要な方は増えています。重度訪問介護従業者養成研修は、いわゆる介護保険とそれを司る法ではなく、障害者総合支援法に基づいた障害福祉サービスにまつわる資格です。

しかしながら、平成25年の法改正により、重度の障害を持つ方だけでなく、難病により一定の障害のある方もサービス利用対象者となりましたので、重度訪問介護従業者養成研修の資格を活かせる場は増えています。

重度訪問介護従業者養成研修は、合計40.5時間の研修を受講することで取得できます。都道府県指定の研修事業者により講習が行われていますので、自治体のサイトで調べてみてください。

熊本県障がい保健福祉ホームページ│熊本県

2.訪問介護で「資格なし」「資格いらない」は本当?

訪問介護の仕事には、資格なしでもOK、ブランクがあってもOKとしている会社が多くあります。

2018年1月現在、資格なしで働ける求人情報の中で特に多いのが

  • 訪問入浴ヘルパー
  • 生活援助(掃除や洗濯、調理、買い物)

です。

その中でも、「無料の資格取得制度」を設けている会社も少なからずあります。最初はサポートからはじめ、資格取得を待って“本格始動”という方法です。

訪問介護といっても、要介護者の自宅に向かうものではなく、高齢者施設(住居型)へその施設内または近隣に併設された事務所から向かい、暮らしのお手伝いをするという方法が主なものです。

2-1.訪問介護での仕事の具体例

介護保険法により定められる訪問介護とは何なのか、介護保険法を見てみましょう。

この法律において「介護予防訪問介護」とは、要支援者であって、居宅において支援を受けるもの(以下「居宅要支援者」という。)について、その者の居宅において、その介護予防(身体上又は精神上の障害があるために入浴、排せつ、食事等の日常生活における基本的な動作の全部若しくは一部について常時介護を要し、又は日常生活を営むのに支障がある状態の軽減又は悪化の防止をいう。以下同じ。)を目的として、介護福祉士その他政令で定める者により、厚生労働省令で定める期間にわたり行われる入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の支援であって、厚生労働省令で定めるものをいう。

介護保険法(第8条2)│法務省

入浴や排泄、食事といった身体介護、掃除や洗濯など生活面での支援を行うのが、介護保険を用いた訪問介護の仕事内容です。

平成24年に改正された介護保険法により新設されたもののなかに、「定期巡回・随時対応サービス(正式名:定期巡回・随時対応型訪問介護看護)があります。訪問介護・訪問看護とを一度に提供するもので、

  • 定期巡回=ケアプランに則って決められた回数訪問する
  • 随時対応=体調の急変やケガのとき、事業所へ連絡することで24時間いつでも訪問する

という対応ができるようになりました。

このサービスを行うには、都道府県の指定事業所となる必要があります。指定事業所は、平成27年12月現在763箇所、平成28年12月現在で953箇所です(定期巡回・随時対応型訪問介護看護指定事業所数│厚生労働省)。

このように、「24時間対応事業所」は増える傾向にあり、そのような事業所では訪問介護・訪問看護にまつわる有資格者を求めているのも現状です。

※訪問介護のケアプランにより、どのように手伝いをするのかは、次の記事もご参考になさってください。

3.訪問介護サービス提供責任者とは? その資格要件は?

訪問介護サービス提供責任者は、ケアマネジャーのような働き方ができるようになります。ケアマネジャーが作ったケアプランをもとに、より具体的な訪問介護計画書を作成、そのとおりにサービス提供ができるよう動きます。
また、“後輩ヘルパー”の指導役を任されたり、ときには事業所の管理者となることもあり、介護の最前線でありながらも少し“高い場所”から現場を見守る役目を果たします。

訪問介護サービス提供責任者(サ責)になるためには、

  • 実務者研修修了
  • 介護福祉士
  • ホームヘルパー2級修了+3年以上の実務実績

のいずれかが求められます。しかしながら、「ホームヘルパー2級+3年以上の実務経験」のパターンでは、その他の資格と比較して介護報酬が10%も少ないという面があります。

このことから、やはり、実務者研修の修了はしておきたいところです。事業所そのものも、人員配置(資格所有者)により成立する部分もありますので、事業所側から資格取得を促されることもあるでしょう。

一方では、パートやアルバイトが急遽休まざるを得なくなったときや、トラブルが発生したときに駆けつけなければならない立場ともなります。

指定訪問介護事業所では、利用者数が40またはその端数を増すごとに1人以上のサービス提供責任者をつけなければなりませんでした。

しかし、平成27年にその基準が見直され、

  • 常勤サービス提供責任者が3名以上配置されている
  • 1人以上が、主にサービス提供責任者業務に従事できる
  • サービス提供責任者業務が効率的に行われている

という要件を満たすことで、「利用者数が50またはその端数を増すごとに1人以上のサービス提供責任者をつける」よう変更されています(サービス提供責任者の配置基準について│東京都福祉保健局)。

サービス提供責任者の配置基準について│東京都福祉保健局

実務者研修修了者もまた、不足気味であることが透けて見えます。

4.訪問介護は資格があると有利、「登録ヘルパー」で副業も

何らかの資格を持つことで「誰かの手伝い」というポジションから抜け出せれば、副業や時給制といった働き方でも大きなメリットが出てきます。

平成28年度のある調査によると、時給制で働く場合、訪問介護員(いわゆるヘルパー)の時給は、他の資格よりも比較的高く、1,255円となっています平成28年度「介護労働実態調査」の結果│介護労働安定センター

  • 訪問介護員=1,255円
  • サービス提供責任者=1,181円
  • 介護職員=945円
  • 看護職員=1,452円
  • 介護支援専門員=1,258円
  • 生活相談員または支援相談員=1,012円

訪問介護事業所に登録をし、時間制のシフトないしは1日で何件かの訪問をするスタイルは、副業ないしは子育て中の仕事として選ばれることも多くあります。これもまた、資格あればこそ、の働き方といえるでしょう。

平成28年度「介護労働実態調査」の結果│介護労働安定センター

同調査によると、「従業員が不足している(大いに不足+不足+やや不足の合計)」が62.6%で、その原因として「採用が困難」を挙げる事業所が73.1%となっています。特に訪問介護員は総合計で80.2%と高い率で「足りない」とされています。

このような環境にある介護の現場で“より高く自分を売る”には、資格と経験を持つことが有利であることは明らかです。

平成28年度「介護労働実態調査」の結果│介護労働安定センター

介護の仕事の入り口とも言える資格「介護職員初任者研修」を取得し、他のヘルパーさんの“お手伝い役”ではなく、自らが考え動ける人材となれれば、効率の良い働き方も夢ではありません。

まとめ

訪問介護でも、資格を持つことは有利に働くことをお解かりいただけたと思います。人手不足である介護業界において、効率よく働く・副業をするといった観点からも何がしかの資格は持っておいたほうがよいという理由をご説明しました。

もちろん、「はじめての介護職」から先、ずっと介護の世界で働き続けようと考えるとき、時間と費用をかけてでも身につけておきたいのが介護の資格です。訪問介護においての資格については、以下の5つを特に理解しておきましょう。

  1. 訪問介護の場で役立つ資格は、まず介護職員初任者研修。また実務者研修や重度訪問介護従業者育成研修なども
  2. 資格なし・資格不要の仕事は、訪問入浴ヘルパーや生活支援が主なもの。先輩スタッフのサポート役からはじまる
  3. 介護の現場は「有資格者」を求めている。資格種類を問わず、「スタッフ不足」とする訪問介護の事業所は80.2%も
  4. 自分を高く売り込むためにも、何がしかの資格や経験があることが重要
  5. 登録ヘルパーとして効率よく働きたいなら、少なくとも介護職員初任者研修を修了して「訪問介護員」となるとよい

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