認知症は予防できる!効果的な食べ物6つと運動法5つ

認知症

認知症は予防できる!効果的な食べ物6つと運動法4つ

ご家族やご親戚に「認知症」と診断された方がいらっしゃる、もしくは自分自身「認知症ではないか」と疑っているという方は少なくありません。高齢化社会において、心と体の健康は生活の質に直結するとても重要な事柄です。「自分らしく健康である」ため、認知症を予防したいということは、誰もが考え、願うことです。

認知症とは何なのか、認知症の分類、体全体の健康と認知症の関係、そして認知症の予防法など、私たちの将来を左右する事柄についてご説明いたします。

1.そもそも、認知症とは?

介護のシーンにおいて、「認知症」は特に介護者に重くのしかかるものとして知られています。介護される側・介護する側にとって、確かにつらい症状のひとつである認知症ですが、正しい知識を身につけることが何より重要です。

1-1.認知症の症状

私たちは、生まれてからこの方、さまざまな学習や経験を積んできました。これらには物事の理解・判断の仕方、他の人と接する方法、言語など、人間ならではの高いレベルの知能です。これら高度な精神機能が何らかの理由で衰えたり消え去ったりするのが認知症です。一度発症すると、治療が難しいとされています。

認知症の症状

「疾病および関連保健問題の国際統計分類(ICD=International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problemsの略。2003年版をICD-10とする)」(「疾病、傷害及び死因の統計分類」│厚生労働省)では、認知症を

通常、慢性あるいは進行性の脳疾患によって生じ、記憶、思考、見当識、理解、計算、学習、言語、判断等多数の高次脳機能の障害からなる症候群

と定義しています(認知症の定義、概要、経過、疫学│一般社団法人日本神経学会)。

つまり、

  • 新しいことを覚えられない
  • 古い記憶(少し前のことも含み)を失う
  • 正しい判断やそれに則った行動ができない
  • 考えがまとまらない
  • 上記の事柄が原因で、日常生活に支障をきたしてしまう

ことに要約されます。

「あなたはだれ?」「私はだれ?」といった発言をしたり、本来ならば隠しておくべき感情をあらわにしたり(泣く・怒る)、ときに感情を失ったような表情になったりするのは、脳が正しく働かなくなってしまった結果なのです。

これら認知症の症状は、なにも高齢者だけでなく、「若年性アルツハイマー病」として若い方に現れることもあります。

具体的な症状を、おおむねのジャンルごとに示します(複合的なものも含む)。

【記憶障害】

  • 今日の日付が言えない、物を置いた場所がわからなくなる
  • 過去に経験をした事柄(エピソード)を忘れてしまう
  • 家事などこれまでに行ってきた作業の手順を忘れてしまう

【見当識障害】

  • 日付や時間を間違えてしまう
  • 自分が今いる場所がわからなくなってしまう
  • 人間違いをするようになる

【抽象能力や判断力の欠如】

  • 物とそれを示す言葉(単語)がかみ合わなくなり「それ」「あれ」で表現する
  • 季節に合わない服を着てしまう
  • 信号無視など交通ルールに無頓着になる
  • お金を払うというルールを忘れ、意図せず万引きをしてしまう

【精神的障害】

  • せん妄(意識混濁による興奮)を起こし、暴力的な発言・行動をする
  • 物の置き忘れを他人のせいにし、「盗られた」と訴える
  • 赤の他人や動物が家に入り込んだなどと訴える
  • 気分が落ち込んだり、眠れない、食欲がないなどうつ症状を呈する

1-2.認知症の原因

認知症の原因は、今現在完全に解明されてはいません。しかしながら、日本人に一番多い原因は「脳梗塞」とされています。記憶を司るとされる海馬、学習を司るとされる尾状核、嗅覚以外の感覚を大脳へ送る視床での梗塞は特に重症な認知症につながります。

一方で、同じく認知症に含まれるアルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)の原因はまだわかっていません。とはいえ、その研究は進んでいて、「アミロイドカスケード説」が有力です。老人斑(アミロイドβたんぱく質)が脳の特定部位に集まってしまい、このことから脳神経細胞が死滅してゆく、という考え方です(認知症│厚生労働省)。

その他、レビー小体型認知症や前頭側頭葉変性症と呼ばれるもの、ウイルスなどによる感染による認知症もあります。

いずれも、明確な治療法は確立していませんので、予防することが最善の方法です。

1-3.認知症の国内患者数

国内で行われた調査によると、2010年時点で200万人ほどの認知症患者が確認されています。56歳以上の人のうち、約10%が認知症患者とする見方もあり、これを元に計算すると約242万人程度となります。

認知症の国内患者数

2006年から2008年の3カ年で5県2市において実施された、若年性認知症に関する調査では、18歳~64歳・10万人に対する患者数は47.6人とされています。うち男性は57.9人、女性は36.7人で、このデータをもとに全国の若年性認知症患者数を推計すると、3.78万人となります(認知症│厚生労働省)。

2.認知症は予防できる?

「高齢者の病気」と思われていた認知症は、今や若い人の中にも起こるようになっています。これまで調査されていなかったものが改めて見つかったともいえるのですが、遠い、知らない誰かのこととして済ませてはならない状況です。

では、高齢者・若年者を問わず認知症は予防できるのでしょうか。いくつかの観点から整理してみます。

2-1.脳梗塞型認知症の予防

脳血管のある部分が詰まり、必要な血液が行きわたらないため細胞が死んでゆく脳梗塞型認知症予防は、血液と血管をよい状態に保つことで予防します。いわゆる「血液サラサラ」を目指した健康習慣を実践しなければならない、といえるでしょう。

一番手身近なところで行えることは、

  • こまめな水分の摂取

です。

こまめな水分の摂取

ご高齢になると、トイレに起きるのが面倒、介護者に面倒をかけたくないと、自ら水分摂取制限をしてしまうこともありますが、それはむしろよくないことです。若い方であっても、脳梗塞予防のみならず、熱中症や血栓予防にも大切です。

また、食物摂取や生活習慣の面では、

  • 塩分摂取を控えめにし、高血圧を予防する
  • 脂肪分・糖分摂取を控え、血液中の脂肪分を減らして高脂血症を予防する
  • 適度な運動や禁煙で、動脈硬化を予防する

の3点が重要です(脳梗塞│一般社団法人日本生活習慣病予防協会)。

2-2.アルツハイマー型認知症の予防

特定の物質(アミロイドβたんぱく質・タウ)が脳内に蓄積し、神経細胞間の情報伝達を邪魔をしはじめ、最終的にはそれら物質が塊をなすことで脳細胞が死んでゆくのがアルツハイマー型認知症です。最終的には、記憶を司る海馬が縮こまり、認知症を発症してしまいます。

神経細胞間の情報伝達を刺激するため、日ごろから行えることがあります。

たとえば、

  • 脳を活性化したり、リラックスさせたりするアロマを使い分けて「アロマセラピー」を
  • いわゆる脳トレと呼ばれるゲームやドリルを楽しみながら行う
  • 週末など、時間の取れるときに新しい事柄(趣味)にチャレンジする
  • 五感をフルに使うよう意識する

これらの行動で、脳の神経細胞を刺激することを心がけましょう(アルツハイマー型認知症は予防も可能!今からできる対策。│湧永製薬株式会社)。

3.認知症予防に効果的な食べ物6つ

上でも触れたとおり、脳の血管や血液を健康な状態に保ち、積極的に脳を使うことが認知症予防に役立ちます。毎日の食事で脳の健康を守るためには、次のような食べ物が有効です(地域高齢住民における認知症の疫学:久山町研究│九州大学医学部)。

3-1.大豆製品

大豆製品

大豆には、神経伝達物質であるアセチルコリンの“原料”となるレシチンを多く含みます。また、シロチンも多く含み、幸せを感じるために必要とされるドーパミンの分泌を高めてくれます。また大豆イソフラボンはアルツハイマー型認知症の原因物質であるアミロイドβたんぱく質の蓄積を抑制するとされています。

3-2.緑黄色野菜

緑黄色野菜

かぼちゃやにんじん、ほうれん草、ピーマン、トマトなどの緑黄色野菜には、βカロテンが多く含まれています。βカロテンは人体をさび付かせる活性酸素を除去する抗酸化物質とされていて、認知症の研究が進められるより前から大事な栄養素として知られています。実際に認知症と診断されてしまった患者さんの血液を調べたところ、βカロテンが特に低いことが確認されています。

3-3.魚類(特に青魚)

魚類(特に青魚)

イワシやサバ、マグロ、ブリなどの青魚には、DHAやEPAといった良質な脂質(いわゆるオメガ3脂肪酸・油分)が多く含まれています。ドコサヘキサエン酸(DHA)やEPA(エイコサペンタエン酸)は、脳の働きを活性化させるのに効果的な成分として注目されています。

また、コレステロール値を下げて血液の粘度を低くしてくれることで、認知症予防に有効な成分といわれます。日本人なら大好きなお刺身やお寿司といった食事で摂取しやすい成分でもあります。

3-4.きのこ類

きのこ類

きのこ類は食物繊維が豊富で、腸内の有害物質を便として体外に排出するのに有効です。また、細胞分裂を促す葉酸も多く含んでいますので、細胞レベルで脳を活性化するために積極的に摂取したい食品です。特にエリンギは多くのミネラルを含んでいて、そのうちのカリウムが高血圧を効果的に抑制してくれます。低カロリーですので、食事に取り入れやすい食材といえるでしょう。

3-5.海藻類

海藻類

きのこ類と同様に、海藻類には多くのミネラルが含まれています。さらに鉄分も豊富ですので貧血を起こさずに済み、脳を含む体の隅々にまで新鮮な酸素を送れるようになります。特に女性は貧血を起こしがちですので、積極的に食事に取り入れたい食品です。

3-6.乳製品(牛乳を含む)

乳製品(牛乳を含む)

乳製品に多く含まれるビタミンB12は、認知症と深いかかわりが指摘されている体内の血漿ホモシステイン濃度を低下させてくれます。また、きのこ類や海藻類と同じく、ミネラルも含んでいますので、高カロリーにならない程度に取り入れたい食品のひとつです。

牛乳は苦手、という方でも、ヨーグルトやチーズなら食べられることもあるでしょう。食事の際に何かしらの乳製品を添えることは可能ではないでしょうか。

4.認知症予防に効果的な運動4つ

認知症予防には、運動も効果的です。脳を刺激しトレーニングすること、そして体調を整えることで血管や血液を健康に保つことの2点でメリットがあるからです。食生活と同様、習慣化することで、認知症の発症を予防したり、症状の改善を見込めます。

4-1.コグニサイズ

計算やしりとりなど脳を働かせながら、軽い全身運動を行うことを、「コグニサイズ」といいます。国立長寿医療研究センターが開発したもので、「cognition (認知)」 と「exercise (運動)」 からなる造語です。考えながら体を動かすことで、積極的に脳を刺激することが特徴です。

正しく行えることがベストですが、たとえ間違っても「笑う」「気軽に何度もチャレンジする」という前向きな気分も作ってくれ、活動的になれます(認知症予防に向けた運動コグニサイズ│国立研究開発法人国立長寿医療研究センター)。

4-2.ダンス

ダンス

これもまた、脳で考え、脳から体に指令を伝達する運動のひとつです。ステップや振りが決まっているフォークダンスは、記憶とそれに付随した運動となります。

一方、社交ダンスなどのペアダンスなどは、リーダー(男性)が次のステップの指示を送り、フォロワー(女性)がその指示を理解し体を動かすという駆け引きを行います。瞬時に判断をしそれを実行することが求められますので、脳のトレーニングには最適です。また、適度に距離を保ちながらも他の人に触れることや対人関係の構築で、気持ちの落ち着きを得ることができると注目されています(世界で注目を浴び始めた【タンゴセラピー】│NPO法人日本タンゴセラピー協会)。

4-3.有酸素運動

有酸素運動

水泳やウォーキング、ラジオ体操などは、体への負荷が軽く、体内に酸素を多く取り入れることができる活動です。脳が手足を動かすよう指示を出し、軽い運動をすることで血行促進・酸素の取り込みができ、結果として脳に酸素が行きわたります。

また、有酸素運動を定期的に行うことで、脳梗塞性認知症の原因である高コレステロールや肥満を解消することができます。脳のトラブルだけでなく、寝たきりのきっかけとなる運動機能低下(ロコモティブ症候群)の予防にもつながりますので、積極的に取り入れることがおすすめです。

4-4.ストレッチ

ストレッチ

有酸素運動の項でも触れたとおり、要介護者となってしまうきっかけに「寝たきり」があります。寝たきり状態は脳を刺激することが少なくなってしまい、結果的に認知症を引き起こすことがあるのです。

しかしながら、実際にケガや病気で本格的な運動ができないケースもあるでしょう。そのようなときは、自身で行える範囲内で手足を動かす、可能な限り座位を取るといった運動をしましょう。もしも自分自身で体を動かせない状態なら、病院や入所施設のリハビリ専門スタッフの手を借り、ストレッチ支援をしてもらえる環境を整えます。

まだ若く、健康であるという方であっても、多忙なために本格的な運動ができないことがあるでしょう。寝る前・起床直後や公共交通機関を利用している最中などの隙間時間でも行えるストレッチはいくつもあります。自分自身で「今、どこの筋肉を動かしているか」を意識しながら、筋肉を緊張させたり緩めたりを繰り返すことで、脳を刺激しながら血行を促進することが可能です。そもそも活動的ではないインドア派の方であっても、ながらストレッチは可能ではないでしょうか。

5.認知症を予防する薬がある?

認知症を予防する薬がある?

日本国内で承認されている認知症治療薬も増えてきています。特にアルツハイマー型認知症では数種類あります。どの薬にも副作用がないわけではありませんので、主治医が内臓疾患など他の病気との折り合いを見て処方してくれます。

5-1.アリセプト

脳内では、情報のやり取りを神経伝達物質により行っています。アルツハイマー型認知症では、この神経伝達物質(アセチルコリン)が減少していますが、これはアセチルコリンを破壊してしまう酵素が原因です。この酵素の働きを阻害してアルツハイマー型認知症の進行を抑制する薬がアリセプトです。

5-2.リバスタッチ(イクセロンパッチ)

アリセプトと同じような仕組みでアルツハイマー型認知症の進行を抑制する薬です。貼り薬であることから、介護者が薬のコントロールをしやすいというメリットがあります。介護される方ご自身でも、使用状況を目で見て確認できますので安心です。皮膚がかぶれやすいタイプの方は、貼る場所を適宜変更しながら使用します。

5-3.レミニール

アセチルコリンを破壊する酵素の作用を阻害する・アセチルコリンを受け止める受容体の感受性を促進するというふたつの作用で、アルツハイマー型認知症の進行を抑制する働きが認められています。錠剤・液体・口腔内崩壊錠(口の中で溶ける)の3タイプがありますので、介護される方の状態に合わせて処方されます。

まとめ

認知症の予防において、日常生活の中でできることや、治療に使われる薬についてお伝えしてきました。このページでは以下の4つのことを覚えておきましょう。

  1. 認知症とは、生誕後に身に着けた知識や経験を失ってしまうこと。生活や人間関係で困難を抱えてしまうことも往々にしてある
  2. 認知症は予防が大切。小さな脳梗塞から起こる認知症予防には、食生活や生活習慣を見直して健康的な生活を送ることが重要
  3. 運動や脳を使う趣味を通じて、脳の働きを活性化したり、血管・血液の状態を健康な状態に保つことも予防の一手段
  4. 認知症の薬の主なものは、アルツハイマー型認知症に用いるものが多い。要介護者の状態に合わせて使いやすい薬が処方される
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