認知症保険とは?2016年に現れた新保険と加入に関する考え方のポイント

認知症

もしも親や家族の誰かが認知症と診断されたら…。介護生活がイメージできない、ましてや必要なお金はさらにわからない、そういった状況に置かれてしまうかもしれません。

どのようなケガ・病気であっても同じことなのですが、一度発症したら治ることがないとされる認知症ですから、その心配はことのほかでしょう。そのような悩みをカバーするのが、認知症と診断されたときのための民間保険です。

認知症とされたとき実際に必要な介護費用はどのくらいなのでしょうか。また、そのような保険ではどういったことをカバーしてくれるのでしょうか。認知症にまつわるお金の話と保険について解説します。

1.認知症とされた方の介護にはいくらかかる? 重度の認知症では1カ月13万円!

親と同居しながら介護にあたっている方を対象にした調査があります。その2016年版を見ると、介護にかかる費用のあらましが理解できます(認知症の状態別費用│公益財団法人家計経済研究所)。

認知症の状態別費用│公益財団法人家計経済研究所

要介護度が上がれば上がるほど、全体的な支出が増えることはイメージできるのですが、赤色が一番強い「認知症重度」のところをよくご覧ください。要介護度のみならず、認知症の症状が進めば進むほど、必要となる介護費用が大きくのしかかることがわかります。

この調査では、「要介護度4ないしは5」で「認知症重度」のとき、1カ月の介護費用に13万円支出したという結果が出ています。主に介護する方は恐らく仕事を辞めているでしょうし、その中にあって生活費と介護費をまかなっているというすがたがイメージできます。

2.2016年、日本初の「認知症保険」発売

認知症は、高齢化の進む日本においてすでに「他人事」ではなくなっています。この問題をカバーするため、保険会社が認知症と診断されたときの保険「認知症保険」の発売を始めました。その皮切りが太陽生命「ひまわり認知症治療保険」です。またその後を追うように、朝日生命「あんしん介護」がスタートしました。その他の保険会社も認知症や介護に対応した保険を発売し始めています。

他に認知症患者が物損事故など他の方へ与えた影響への保障をするため、三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損保が個人賠償責任保険を用意しています。これらは比較的早い時期に認知症へ対応した保険として発売されたものです。

3.認知症保険は“発展途上”、丁寧に比較して必要なものを

先に触れたとおり、認知症や介護にまつわる民間保険の歴史はほんの1年ほどです。まだまだ“発展途上”であるだけにその仕組みは大きく異なりますので、親ないしは自分の経済状況に合わせ、どのようなときに必要になるのかを見極めつつ比較しなければなりません。

3-1.代表的な認知症保険の保障内容比較

※以下の情報は2017年9月現在のものです。

商品名 特徴 保険金支払いの条件と金額 備考
太陽生命

「ひまわり認知症治療保険」

  • 7大生活習慣も保障
  • 要介護の原因となりうる骨折も保障
  • 女性特有の病気にも対応
  • 性別・年齢で掛け金が変わる
  • 保険期間・払い込み期間は10年ないしは終身
  • アルツハイマー型認知症をはじめとした器質性認知症症状が180日以上継続した(契約時に100万円/200万円/300万円から選択)
  • 女性疾病(男性7大疾病)で1日以上入院(5万円)
  • 女性疾病(男性7大疾病)で所定の手術を受けた(入院10万円・外来5万円)
  • 女性疾病(男性7大疾病)で所定の放射線治療を受けた(10万円)
  • 骨折と診断され、治療を受けた(10万円)
  • 解約返戻金なし
  • 不慮の事故により所定の障害状態となったとき、保険料払い込み免除
  • 認知症と診断された際の保険金の支払いは1回
  • 加入から1年間は、骨折以外の給付金が50%削減される

 

 

朝日生命

「あんしん介護」

  • 保険金の支払いを「年金タイプ」「一時金タイプ」から選べる
  • 「介護」「認知症」を組み合わせてより安心のプラン
  • 介護保険の要支援・要介護の認定程度と連動していてわかりやすい
  • 保険期間・払い込み期間は5年毎ないしは終身
  • 保険商品で初のグッドデザイン賞受賞
  • 要介護1以上認定で、契約プランに応じた金額
  • 年金タイプの場合、要支援・要介護度が上がるにつれ、契約プランに応じた金額が上乗せされていくので介護生活へ対応しやすい(※終身が有利)
  • 解約返戻金なし
  • 要介護認定1と認定された時点から保険料免除
  • 介護に対する考え方によって柔軟にプランを組める
  • 介護一時金タイプは要介護3以上認定から支払い

 

 

三井住友海上あいおい生命

「積立利率変動型終身保険」

  • 主保険「積立利率変動型終身保険」に「終身介護保険特約」を付加し介護に備える
  • 保険金払い込み終了後、死亡保障の継続・年金型もしくは介護年金に変更できる
  • 介護保険の要支援・要介護の認定程度と連動していてわかりやすい
  • 要介護2以上と認定されたとき、契約プランに応じた年金ないしは一時金(基本保険金額1,000万円/500万円/300万円から選択)
  • 解約返戻金あり
  • 生命保険に付加するタイプのため、介護部分単独での契約は不可
  • 要介護2以下(要支援・要介護1)は支払い対象にならない
アフラック

「スーパー介護年金プランVタイプ」

  • 65歳時点で、死亡時・介護時・老後資金といった不安なシーンに備えられるよう受け取り方を選択できる
  • 痴呆症・寝たきりとアフラック社が判断したときの介護一時金(60万円/1回)
  • 高度障害状態とアフラック社が判断したときの高度障害一時金(60万円/1回)
  • 痴呆症・寝たきりとアフラック社が判断したときの介護年金(60万円・年額×最長10年)
  • 高度障害状態とアフラック社が判断したときの高度障害年金(60万円・年額×最長65歳まで)
  • 公的介護保険の認定程度と連動してはいるものの、痴呆症に関しての保険金を受け取るためには要介護状態が3カ月以上継続したときから
  • 公的介護保険の認定程度と連動してはいるものの、寝たきりによる要介護状態とされるのは、実際に介護を必要とする状態が6カ月以上継続したときから
  • 介護年金・高度障害年金支払い中は、保険料払い込み免除
  • 解約返戻金あり
  • 年金タイプを選んだ場合の支払い期間は基本的に10年
三井住友海上火災保険

「GKすまいの保険グランド」

  • 住宅火災保険に「日常生活賠償特約」をつけることで、他人への損害、線路への立ち入りで電車など運行不能にしてしまったときの損害を補償
  • 事故1回に付き最大1億円
  • 火災保険の特約であるため、払い込み期間中の特約付加は不可
あいおいニッセイ同和損保

「タフ・住まいの保険」

  • 住宅火災保険に「個人賠償(電車等運行不能賠償追加型)特約」をつけることで、他人への損害、線路への立ち入りで電車など運行不能にしてしまったときの損害を補償
  • 事故1回に付き最大1億円
  • 火災保険に家財・携行品損害特約・受託物賠償特約を付加している場合のみセット可

4.認知症対応の保険は、若いときから準備しておくのが有利

どのタイプの保険を選ぶにしても、働き盛りの年代から準備しておくのが有利です。

たとえば、朝日生命の「あんしん介護」を介護年金終身のみの条件下で払い込み金をチェックすると、

  • 40歳=男性約3,700円/女性約5,800円
  • 50歳=男性約5,000円/女性約8,300円
  • 60歳=男性約7,800円/女性約13,500円
  • 70歳=男性約13,800円/女性約25,000円

となります。

これは、当然のことながら払い込み期間の長短に左右されるからです。特に女性は、男性に比較して長生きであることにも影響され、特に60歳・70歳では概ね男性の2倍に設定されています。このことを考えると、若い頃から将来のリスクに備えておくことが重要であると理解できます。

ご高齢の方であれば、年齢や病歴によって契約できないことも考えられます。もしも手持ちの預貯金でカバーできると予測できれば、わざわざ高い掛け金の保険契約をすることは不要かもしれません。

一方、今現在働き盛りの世代は、自分自身の老後のお金のことは見通しが立てづらい状況にあります。だからこそ、若いときから認知症に対応した保険を吟味する必要があるのです。

※老後の生活に必要なお金のこと・平均的な預貯金のことなどは、次の記事もご参考になさってください。

今はまだ各社出揃ってはいない状況ですし、それがゆえに選択肢が狭い・使い勝手の面で選びにくい側面は否めません。しかしながら、これからますますこのような商品は増えていき、カバー範囲の拡大も見込めることでしょう。親御さん、ないしはご自身に必要な保障は何なのかを考えながら、情報収集を続けることをおすすめします。

今は、複数社の保険会社の“総合窓口”となり、相談者のニーズにマッチした保険商品を紹介してくれる会社も多くなりました(保険の窓口など)。このようなカウンターを利用し、折にふれ保険の見直しをするのも、老後(特に認知症)への対抗策となることでしょう。

5.認知症対応保険を検討する際に参考となるデータ

では、認知症を主眼に置いた介護生活を想定し、それに備える保険を検討するため「何を基準にすればよいのか」について考えてみましょう。

ある調査では、脳梗塞など脳血管性認知症に比較し、アルツハイマー病は75~79歳を境に罹患率が大きく増加することが示されています(アルツハイマー病について│新潟大学脳研究所附属生命科学リソース研究センター バイオリソース研究部門 遺伝子機能解析学分野・生命情報工学分野)。

アルツハイマー病について│新潟大学脳研究所附属生命科学リソース研究センター バイオリソース研究部門 遺伝子機能解析学分野・生命情報工学分野

ごくごく平均的な認知症(認知症とされた方の中で、アルツハイマー型認知症とされるのは全体の約50%)に対する備えは、上記の通り70代に入る前の60代までに“完了”しておくべき、といえるでしょう。特に「アルツハイマー家系」と考えられる方は、もう少し早く、40代・50代までには上記のような保険への加入を済ませておくことが有益と考えられます。

※認知症の原因や病名については、以下の記事もご参考になさってください。

まとめ

近年、認知症に対応する保険の発売に熱い視線が注がれています。若年性認知症も確認されている昨今ですから、特に認知症家系と思われる方にとって、今からでも備えなければならないこととして意識されているのではないでしょうか。認知症にはいくつかの種類がありますが、中でもアルツハイマー型認知症についてもカバーしてくれる保険は心強いものではないでしょうか。

今回は認知症とそれにまつわる介護生活を支えてくれる民間保険についてご説明しましたが、特に次の5つのポイントをご記憶いただきたいと思います。

  1. 認知症と診断されたら、その症状を元通りにすることはほとんどできない。そのため、認知症を含む介護費用をカバーしてくれる民間保険は重要な役割を果たしてくれる
  2. 認知症と診断され、要介護度が上がるほど、介護にかかる費用は“うなぎのぼり”となる。中には1カ月で13万円を要するケースが観察されている
  3. 認知症に対応した民間保険が発売されたのは2016年。介護費用や介護にまつわる当初費用を支えるもの、認知症患者が他の人たちに損害を与えたときの保障をするものに分けられる
  4. 認知症を支える保険は今後広まる可能性が。今からでも情報収集をし、親や自分に必要なものは何か、本当に必要なのか、を総合的に検討・吟味することが重要
  5. 認知症の代表例であるアルツハイマー型認知症は、70代で急激に発症数が増加。アルツハイマーの家系と考えられる方は、40代からこれらの保険への加入を検討

 

ピックアップ記事

関連記事一覧