老後の生活費はいくら必要?4つのケース別対応策

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老後の生活費はいくら必要?4つのケース別対応策

老後、親や自分の生活はどうなるのだろう、というとき、考えなくてはならないのは何も介護のことだけではありません。生活を支えるためのお金である生活費についても知っておく必要があります。

さて、老後に必要な生活費はどの程度を見込んでおけばよいのでしょう。「せめて生活費だけは子どもに迷惑をかけたくない」、「親を支えるために子どもである自分たちはどのくらいを覚悟しておけばよいのか」と考える方に、老後の生活費についてご説明します。

1.平均的な日本人の暮らしぶりを知るには?

ごくごく一般的な、老後に必要な生活費を知るための近道は、現在日本に住む方の家計の状況を“覗いて見る”ことでしょう。このとき役に立ってくれるのが総務省統計局の資料です。このページから必要な統計資料を読めば、平均的な日本人の生活がお金の面から見えてきます。平成28年(2016年)については、「家計調査報告(家計収支編)―平成28年(2016年)平均速報結果の概要―」で知ることができます。

この資料から見ると、老後の生活費を左右する要素は以下のとおりです。

1-1.「住まい」が持ち家か、賃貸か

「住まい」が持ち家か、賃貸か

ここでは、高齢者のみならず日本における二人以上の世帯(勤労者世帯)のデータを見てみます。住まいにかかる費用は、若かろうが高齢者だろうが変わりはないからです(「世帯属性別の収支(二人以上の世帯)」│総務省統計局)。住宅ローンを返済中の世帯での住居費は、2016年で月平均5,697円、住宅ローン返済のない世帯では月平均27,420円です。住宅ローン返済がない、というのは、住宅ローン返済が終わっているもしくは賃貸住まいかのどちらか、ということになります。

これで2万円強の差が出るのですから、住宅ローンを払い終えた持ち家がある、という状況は、老後の生活費を楽にしてくれるという可能性を示唆しています。

1-2.貯蓄があるかどうか・年金以外の収入があるかどうか

貯蓄があるかどうか・年金以外の収入があるかどうか

同じ資料の図Ⅱ-1-4「高齢夫婦無職世帯の家計収支」を見てみましょう。夫65歳以上、妻60歳以上の無職世帯を抽出したデータから見る家計収支は「マイナス54,711円」です。この不足分を補うために、貯蓄を切り崩す、ないしはこれまで働いてきた会社での定年後再雇用してもらう、パートなどで収入を得るといった行動が必要です。

充実したリタイヤ生活を送ろうと考えているのであれば、貯蓄をする・夫婦で働けるうちは働くといった心がけが必要のようです。

1-3.60代は最も「保健医療費」「交際費」が必要な世代であるということ

60代は最も「保健医療費」「交際費」が必要な世代であるということ

同資料の表Ⅱ-1-1では、世帯主の年齢階級別家計支出(二人以上の世帯)の支出内訳を見ることができます。この中で特筆すべきことは、60代では「保健医療費」と「交際費」が他の世代に比べて最も高いことです。保健医療費は14,936円(50代で11,590円、40代で 10,733円)、交際費は26,528円(50代で 20,530円、40代で12,362円)です。

持病が発覚したり、体調を崩しやすくなる年代ですので、保健医療費は避けて通れません。また、家族や親戚、知人にまつわるお祝い事・悲しみ事への出費も増える年代が60代、といえるのです。

この保健医療費・交際費はなかなか削ることのできない出費ですので、それ相応の準備が必要といえるでしょう。

1-4.【支出総括】60歳以上の世帯・二人の生活費は「26万7546円」

先の資料で示されている「夫65歳以上・妻60歳以上の世帯」での支出(表Ⅱ-1-4高齢夫婦無職世帯の家計収支)は、26万7546円です。その内訳は、以下のとおりです。

  • 非消費支出(税金や健康保険料など)=29,855円
  • 食費=64,827円
  • 住居費=14,700円
  • 水道光熱費=18,851円
  • 家具や家事用品=9,017円
  • 被服費=6,675円
  • 保健医療費=15,044円
  • 交通及び通信費=25,256円
  • 教育娯楽費=26,303円
  • その他の支出(交際費含む)=57,016円

これは統計による平均値ではありますが、40歳未満の現役世代(二人以上の世帯・26万1490円)と大差ない支出であることがわかります。となれば、上記の3ポイント「住まい」「貯蓄や年金以外の収入」「保健医療費と交際費」をじっくり考えた上で上手にやりくりをする必要があるでしょう。

2.老後の生活費は年金額で足りる?生活費の実態は?

これまでに見てきたとおり、どうしても欠かせない出費などいくつかのポイントを重視し、老後の生活をプランニングしなければならないことは明白です。また、先にも少し触れましたが社会保障給付(年金など)では、具体的に60代以降の老後を年金でそれらをまかなえるのか、4つのパターンでご説明します。

2-1.【やや辛い】厚生年金を受けておられる方・二人暮らし

【やや辛い】厚生年金を受けておられる方・二人暮らし

先にも少し触れましたが、老後の生活費の実態は「赤字」です。それでもやはり年金という制度はありがたいものではあります。

たとえば、厚生年金受給者の平均老齢年金月額は、平成29年度で22万1277円(月額/夫婦二人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)です(平成29年度の年金額改定についてお知らせします│厚生労働省)。上で触れた「夫婦ふたりの生活費・26万7546円」には4万円ほど不足しますが、2017年現在60代・70代の方であればそれなりの貯蓄もあるはずです。というのも、総務省統計局の発表した「平成26年全国消費実態調査~二人以上の世帯の家計収支及び貯蓄・負債に関する結果~(結果の概要)(25ページ・図Ⅴ-3)」によると、60代の平均貯蓄額は2,133万円、70代では2,072万円となっています。

年金額で補いきれない約4万円を、2,000万円の貯蓄を切り崩してしのぐとするなら、約41年分を賄うことができます。しかしながら、突然の病気やケガ、入院など不足の自体も予測される年代ですので、「リッチな老後」を期待できるのはごく一部の方、といわざるを得ません。

2-2.【女性は辛い】厚生年金を受けておられる方・一人暮らし

【女性は辛い】厚生年金を受けておられる方・一人暮らし

厚生年金を受けておられる方で、今で言う「おひとりさま」の場合はどうでしょうか。厚生年金の支給額は男性と女性とで開きがあります。それは賃金の格差により払い込み額が異なることから生じます。

男性・65歳以上の方が手にしている年金額平均は、月に17万8928円。女性・65歳以上の場合は月に10万9180円です(平成27年度厚生年金保険・国民年金事業の概況(11・12ページ)│厚生労働省年金局)。

しかしながら、男性・女性を問わず月に出てゆく支出の平均は、65歳以上で14万7052円です((第2表)男女、年齢階級別1世帯あたり1か月間の収入と支出(単身世帯)│総務省統計局)。男性ならば年金でなんとかカバーできる状態ですが、女性にとっては約4万円不足していることが伺えます。いずれにしてもあまり余裕はなく、預貯金の切り崩しや働けるうちは働くことで不足分を補う必要があるでしょう。

しかしながら、旦那さんを“お見送り”した奥さんには、夫の厚生年金額の4分の3が遺族厚生年金として支給されます。しかしながら、これまで手にしてきた年金額のすべての4分の3ではなく、いわゆる「2階部分」と呼ばれる厚生年金のみですので、注意が必要です(遺族厚生年金│日本年金機構)。

2-3.【とても辛い】国民年金を受けておられる方・二人暮らし

【とても辛い】国民年金を受けておられる方・二人暮らし

国民年金で、平成29年に新規裁定され満額受け取れる方の月額は、6万4941円です。これを二人分としたとき、12万9882円となります。しかしながら、学生であっても20歳以上の誰もが国民年金に加入しなければならない「国民皆年金」制度となったのは1991年(平成3年)からです。そのことから、国民年金の払い込みをしていなかった期間のある方(特に女性)もいらっしゃる世代ということもあり、満額受け取れない方も少なからずいらっしゃいます。

今回のモデルである12万9882円を二人暮らしに用いることのできる条件が整っていたとしても、二人暮らしに必要な生活費は26万7546円ですので、約14万円も不足することとなります。

国民年金は、20歳以上60歳未満であり、企業に雇用されている方がかけている厚生年金に加入していない方が加入しているものです。つまり、自営業者ないしは非正規雇用者、勤め先が企業であってもその会社が厚生年金に加入していない(掛け金を支払っていない)場合、年金受給時に国民年金からの年金受給となります。このことから、自営業者を長年続けてきた方や職を転々とした方、非正規雇用の時期があった方は、自ら貯蓄を増やしたり、働けるうちは働いて老後をしのがなければならないこととなります。

2-4.【きわめて厳しい】国民年金を受けておられる方・一人暮らし

【きわめて厳しい】国民年金を受けておられる方・一人暮らし

先にピックアップした12万9882円を満額手にできる方であっても、一人暮らしにかかる費用は平均で14万7052円で、その差額は約2万円です。一見、国民年金・二人暮らしと比べたとき、「さほどではない」と感じられますが、貯蓄や労働で補填しなければならないことは同様です。しかしながら、二人で貯蓄・労働するのと、一人で貯蓄・労働するのとでは、大きな差が出ることはイメージできるのではないでしょうか。

特に、若い頃から個人事業+生涯「おひとりさま」だった場合、国民年金の支払いが一時的にできなかった(保険料免除・納付猶予)ことはないか振り返ってみましょう。もしもそのような時期が長くあった場合は、何らかの形でお金を用意し、「追納」をするとよいでしょう。10年分さかのぼって収めることができる上に、確定申告により所得税や住民税が軽減されることもあります免除された国民年金保険料を追加で支払いたいとき│国民年金機構)。

3.老後の生活費と暮らしぶりは、「若いときからのシュミレーション」が重要

これまで見てきたとおり、老後の生活費のベースとなるのは、「年金」と「貯蓄」です。年齢を重ねたがために多くなる出費のことも考えながら、若いうちから準備しておく必要があります。

  • ねんきん定期便を確認する
  • 転職を重ねた方、会社員から自営業者になった方などは、支払った保険料が正しく反映されているかを確認する
  • 不安なときは国民年金機構窓口に出向き、知りたいことを問い合わせる
  • 窓口にでかけるのが難しいときは、「ねんきんネット」を利用してみる
  • 月々小額でも貯蓄をはじめる
  • 収入が高いうちでも、無意味な浪費は避ける。生活レベルを落とすのはとても難しい
  • もしも貯蓄で老後の生活を支えることが難しいと思ったら、ファイナンシャルプランナーなどお金の専門家に相談。
  • 自分が思い描く生活に合った民間保険に加入

毎年、経済状況は変わります。また、年金だけでなく、労働者へ支払われる賃金も改定されることがあります。少なくとも数年単位で、若いうちから将来をイメージできるよう生活の見直しをしておく必要があります。

まとめ

老後に必要な生活費と、それを賄うための年金の金額の概ねをご紹介しました。ここで覚えておいていただきたい大切なポイントは次の5つです。

  1. 60歳以上の二人家庭での支出額は26万7546円。持ち家か賃貸住まいか、年金以外の収入や貯蓄があるかで「余裕度」が決まり、保健医療費や交際費もかさみやすい年代である
  2. 老後の生活を支える収入源である年金は、厚生年金と国民年金の2種類。会社員がかけている厚生年金の方が、国民年金に比べ手取り額が増える傾向にある
  3. 自営業を営んだ期間中、国民年金を免除・納付猶予された時期がある方は「追納」をして対策を。追納金額は確定申告に反映でき、所得税や住民税が安くなることも
  4. 60代の平均貯蓄額は2,133万円、70代では2,072万円。受給できる年金額と考え合わせ、追いつかないようならば、働けるうちは働く覚悟を
  5. 若いうちから「ライフプラン」を数年ごとに見直すクセを。経済環境や収入は年々変化するうえ、高い生活水準のままでは老後にパンクしてしまう可能性も
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