介護職の悩みはこんなに⁉︎悩みのジャンルと相談先について解説

どのような仕事にも悩みはあります。しかしながら、人を相手にする仕事、特に苦痛や悩みを抱えた人たちを相手にする介護や医療の仕事は、とても悩み深いものです。また、対応する側にもチームワークが求められ、「すべてが人間関係」といえますので、介護職の悩みは尽きないものです。

では、介護職に就く人たちの悩みの“現実”はどのようなものでしょうか。そしてそれらへの対応策にはどのようなものがあるのでしょうか。今回は介護職の悩みに焦点を当て、ご説明いたします。

1.介護職の悩みのジャンル別「あれこれ」

まず、介護職に就いておられる方の悩みに注目してみましょう。もしかするとあなたの思いと同じ方がいらっしゃるかもしれません。

1-1.労働時間やお金にまつわること

多忙であるにも関わらず、それがお給料という“目に見える形”で報われていないと思う方は少なくありません。それは、勤務時間の長さや、要介護者の健康・命を預かるという重責に比例していないと感じているのが主な原因です。

介護の仕事をお金の面で支えるのが介護保険であることはご存じのとおりです。介護報酬の中で定められた点数、そして企業努力によってスタッフへの月給・時給が決まるのですが、その仕組みを理解してもなお、おかしいと思われるケースは少なくありません。

  • サービス残業が多い
  • 休日出勤も当たり前になってきた
  • 社用車がなく自分の車で利用者自宅まで行かなければならないのに、ガソリン代・交通費がほとんどつかない
  • 人の残りの人生を担っている重い仕事とわかってから、給料とのバランスが悪いと感じ始めた
  • 夜勤明けなのに昼間での残業を命じられたうえ、夕方からの会議への参加を指示された

1-2.スタッフ間の人間関係にまつわること

介護の仕事は、サービスを利用する要介護者がお相手です。それぞれ状態が違いますので、それを支えるチームがまとまっていなければ、すべての利用者のニーズに正しく応えることはできません。しかしながら、スタッフもまた人間で、相性が良い・悪いがあったり、仕事への考え方が違ったりと、「すれ違い」が生じてしまうことも往々にしてあります。

残念ながら、長い間介護の仕事に就いている人が自身の“初めて”を忘れ、新人への教育を怠ったり、心理的なサポートを行わなかったりすることから、人の入れ替わりが多い職場になっていることも少なくないようです。

  • 先輩方は派閥を作って、いつも“仲良しこよし”をやっている
  • うまくグループに入り込めれば可愛がってもらえるけれど、そうでない新人は業務に必要な情報さえ与えられてない
  • 教育と称して、つらい仕事ばかり押し付けられる
  • 可愛がっている後輩がミスをしても知らん顔なのに、そうでない人のミスはいつまでも追求する

1-3.責任に対して自責の念に駆られやすい仕事であること

本来要介護度を上げないのが介護サービスの目的ですが、介護とは、不慮の事故によって骨折などの事態を招くことも少なくない仕事です。そのことから、自分自身を責め、仕事を続けること自体が悩みとなってしまうことも少なくはありません。

  • 仕事は好きなのに、ミスが怖くて続けられるか不安
  • 薬の人間違いをしてしまい怖くなった。もう会社にとって不要な人間なのだろうか
  • 仕事を教えてくれる複数の先輩がいて、それぞれに方法が違う。毎回違うと叱られるが、どれが一番安全な方法なのかわからない

1-4.事業所・施設により考え方が違うことへの不安

介護職を長く続けている方の多くは、転職も経験済みかもしれません。職場環境の変化で、介護への考え方・利用者への接し方の大きな違いに戸惑い、結果的に「この場にいる意味」を見失ってしまったという悩みも少なくありません。

  • 一応、高級老人ホームとして売り出してはいるものの、手洗い・うがいをしないなど危機感が薄い職員が多くていやになる
  • 虐待と思しき行為を目にしたり、衛生面での問題が発覚したことを上司に相談したら、逆上された
  • 利用者への接し方があまりにも雑。少なくとも人生の先輩と思えばそんなことできないはずなのに
  • 利用者の前でスタッフを叱りつける上司。利用者が不安に思わないか心配

1-5.利用者からのパワハラ・セクハラにまつわる悩みも

お世話をする方の状態によっては、適切な意思疎通ができなかったりすることも珍しくない介護の仕事。また、たとえ1割負担していたとしても、それ以外に必要なお金が「みんなのお金(介護保険)」から出ていることを理解できていない利用者もいます。そのことから、利用者とうまくやっていけないと悩む方も少なからずいます。

  • お前たちの給料は俺が払っているのに決められたことしかできないのが悪い、といわれ困ってしまう
  • 在宅サービスで訪問した家のペットに引っかかれたり噛まれたりしても、その家の人は謝罪もしない
  • 清掃やシーツ交換のとき、「いつも私は後回し」と文句をいわれる
  • 確かに拘束はよくないこととわかってはいるけれど、認知症の人にいつも髪をつかまれたりなどの暴力を受けるのがつらい

2.せめてスタッフ間の悩みだけでも解消したいという方へ

要介護者の一番近くでその生活を支えるという大役を担っている以上、少なくともスタッフ間のいざこざだけは避けたいと考えている方が大多数ではないでしょうか。そのような方は精一杯仕事をこなし、「利用者のため」という大義名分が立つようにすることで、“こころの協力者”を増やすことを目指しましょう。

どのような仕事の人間関係も同じですが、わかる人にはわかってもらえるものです。仕事ぶりを認めてもらえるようになれば、先輩や上司もあなたに一目置かなければならないようになり、改善のための意見も伝えやすくなることでしょう。また、わからないことは積極的に聞く・伝えることを心がければ、心ある上司になら現場の雰囲気が伝わるはずです。

あなたと同じように、同僚が人間関係で困っているようなら、積極的に声をかけてあげるのはいかがでしょうか。「自分だけでも精一杯」かもしれませんが、相互に情報・気持ちを共有できれば、一緒に前を向いて仕事に臨むことができる仲間になれるはずです。

3.何をしても悩みが解決しない場合、どうすればいい?

介護職にまつわる悩みは多方面にわたります。しかしながら、そもそも論である「劣悪な職場環境」「違法と思われる低賃金」が目の前の現状であるのなら、事業所外の適切なところへ相談しなければなりません。

介護職の方の心身や暮らしを蝕む大きな問題は、以下のようなところで相談を受け付けています。

3-1.ハローワーク

ハローワークでは、近年、介護の仕事のマッチングに力を入れています。就職サポートのため、要件を満たしている人に介護職員初任者研修の講座を準備したりもしています。

それと同時に、ハローワークの求人票と実際の労働条件が違う場合のための「ハローワーク求人ホットライン」を開設、労働基準監督署や都道府県の消費生活センターなどと連携し、該当企業への指導を行うようになっています(ハローワークでの求人票と実際の労働条件が異なる場合の対策を強化します│厚生労働省)。ハローワークは、今では相談窓口としても機能しています。

3-2.自治体の電話相談窓口を探す

介護事業を始めるためにあたり、事業者は都道府県知事ないしは市町村長の指定を受け、指定事業者となる必要があります。認可にあたっては、法人であること、人員基準を満たしていること、適正な運営ができることといった要件をすべて「満たし続ける」必要があります。一度認可を受けても、後に基準を満たせなくなったときは、その認可を取り消されてしまいます。

事業者の適正な指導・管理を行うことを目的とし、自治体が介護職員のための相談窓口を開設していることがあります。まず、お住まいの県や市町村にそのような窓口がないかを確認してください(介護職員のための電話相談窓口を開設しました!│高知県)。

3-3.福祉職員のための労働組合へ電話相談してみる

小さな事業者では、労働組合はほとんどありません。福祉や保育といった職場で働く労働者の権利を守るために団体交渉を行える労働組合に「全国福祉保育労働組合」があります。ここでもまた、労働に関する相談を受け付けていて、電話やメールを受けてくれます(全国福祉保育労働組合)。

3-4.介護職に特化したユニオンへ電話相談してみる

派遣切りや社内いじめのニュースでときどき取り上げられるユニオン。介護職に特化したユニオンもあります。これもまた労働組合の一形態ですが、個人で加盟できることが特徴です。ひとりでは上げづらい声も、専門家のバックアップを得ながら粘り強く交渉することができます(UAゼンセン日本介護クラフトユニオン)。

労働組合とユニオンの違いは?
いずれも労働組合。
労働組合は労働組合法に基づき雇用主と対等に団体交渉を行える。
ユニオンは労働者個人(異業種・複数企業でも可)が加入するもの。
孤立感を感じやすい個々人がまとまることで、意見を交渉テーブルに乗せやすくなる。
長期戦となることも珍しくないので、環境改善を求め闘う意志がなければ転職が問題解決の近道となる。

まとめ

介護職には、多くの悩みがついてまわります。人のお世話をする仕事であること、そしてお世話をする側も人間であることから「人間関係の悩み」が尽きません。この点は、他の業種と異なる部分です。また、賃金にまつわる悩みも少なくありません。

人の思いや考え方は多種多様で、すべてを満たすことはとても難しいことです。それでも利用者のことを考え、職場の雰囲気をよくすることはできないのでしょうか。今回は介護職の悩みについて取り上げましたが、特にご記憶いただきたいのは以下の5つのポイントです。

  1. 介護職は、要介護者の健康や命を預かる重責が伴う。しかしながらその苦労に比例した給料が得られないことが悩みを生みがち
  2. 介護職は多くの人が関連する仕事。考え方やお世話の手法の違いが心理的摩擦を生み、深い悩みになってしまうケースも多い
  3. 残念なことに利用者からのパワハラ・セクハラを受けることも。充実した生活の手伝いをしたくても、お世話そのものが難しくなってしまう
  4. 仕事仲間も同じような思いをしているようなら、積極的に声かけを。最低限の情報共有であっても、それが心の支えとなる
  5. 自力で解決できない問題は、それに対応した窓口へ相談。ハローワーク・自治体・労働組合・ユニオンなどが電話相談を受けている