介護の仕事で役立つ資格一覧と難易度、「辛さ・やりがい」を解説!

「介護の現場」では、人手不足とされています。それは国も認識していて、介護保険の点数見直しや、人材確保のために動き出しています。介護の仕事に就きたい、キャリアアップのために他の職に就きたい、という方も少なくないでしょう。

介護の仕事は、少子高齢化という社会問題に立ち向かうため大きな役割を果たします。また、要介護のご本人や家族に喜んでもらえるというやりがいもあります。しかしながら、一方では「きつい」「辞めたい」などのつらさもある仕事です。

今回は介護に関する仕事の種類とその仕事内容、平均的なお給料やその職に就く難易度などをご説明します。これから介護の仕事に就きたいという方に参考にしてもらいたいと思います。

1.介護の仕事は「辛い」のか?

介護の仕事の代表例といっても過言ではない「介護ヘルパー」へのアンケート結果が公表されています。2014年のものではありますが、そこから介護の仕事の「辛さ・イライラ」と「やりがい」が読み取れます(2014年度版「介護施設で働く労働者のアンケート」と「ヘルパーアンケート」報告集│全国労働組合総連合)。

1-1.「辛さ・イライラ」はこんなときに感じる

  • 正規雇用・非正規雇用いずれのケースでも、全産業平均と比較して賃金が低い
  • 休日や有給休暇が取りづらい
  • 生理休暇が取りづらい
  • 上司や同僚からのパワハラ・男性利用者による女性職員へのセクハラが少なくない
  • 腰痛や肩こりなどの“職業病”、倦怠感・イライラ・不眠症など精神的ストレスを原因とする症状を呈する人も

人員の不足から過労となる・休みを取りづらい上に、賃金が低いことから、辛さを感じている人が多いと推測できます。

1-2.「やりがい」はこんなときに感じる

一方、介護の仕事に携わることで感じるやりがいも存在します。

  • 人の役に立っていることを実感できる
  • 高齢者の気持ちがわかるようになったことで、思いやりを持てるようになった
  • 高齢者の長い人生からくる強さに触れ、元気をもらえる
  • 「ありがとう」と言ってもらえ、信頼関係を築けたと自信を持てる
  • ターミナル(終末期)にある方が思い通りの“終わり”を迎えられたとき、またはサービス利用で元気になっていく姿を見たとき「よかった」と感じる

人とのふれあいの中で生まれるコミュニケーションに、やりがいを感じるシーンが思いのほか多いことがわかります。たとえそれが元気になるための手伝いであろうと、終末期の手伝いであろうと、「その人らしさ」を実現する大きな役割であることを自負できれば、それがやりがいに通じるのです。

2.介護の仕事一覧と仕事内容・資格取得・平均賃金

介護の仕事には、多種多様な仕事が存在します。それぞれの仕事内容と資格取得(なり方)、平均賃金についてご説明します。

※2017年9月現在の情報です。給与については、表内に特に指定が無い限り厚生労働省発表「平成28年度介護従事者処遇状況調査結果」を参照、月収+手当てやボーナスなどを1カ月分とした金額で計算しています。

※公的データが見つからないものは、◎で示し求人情報からおおよその数値を引用しています。地域性もありますのでご注意ください。

2-1.介護の仕事全般を見守り世話をする仕事

介護の仕事には、介護保険制度をはじめとした公的支援についての知識を持つ人が必要です。また、スタッフに的確な指示を出したり、よりよいチームワークを引き出すため、現場を“俯瞰”する役割を持つ立場の人が求められます。

学ぶ費用をかけ専門知識を身につけた後国家試験に合格しなければならない点からいうと、難易度は高い資格といえます。現場デビューしても、数年ごとに見直される制度の変化についていく必要があります。接する相手は要介護者とその家族、行政や介護サービス業者、現場スタッフとあらゆる方面に広いものですので、高いコミュニケーション能力が求められます。

家族の問題や介護の現場の問題に踏み込まざるを得ないことも少なくありませんので、それぞれの言い分をしっかり傾聴する粘り強さも必要です。ときとして「家族のケンカ」にも巻き込まれてしまうこともありますし、ケアプラン・ケアプログラムをスタッフに伝達する際、うまく伝わらない・忙しさからきちんと聞いてもらえないという苦労をすることもあります。

仕事 仕事内容 資格取得の方法と難易度 給与(月給)
ケアマネージャー

(介護支援専門員)

  • 要介護者やその家族の相談を受ける
  • ケアプランを立てる
  • 介護事業者と連携する
  • ケアプランの見直しをする
  • 医療や福祉に関わる国家資格ないしは生活指導員・相談支援専門員・主任相談支援員の実務経験5年以上
  • 都道府県が実施する試験に合格する
  • 難易度★★★★☆
【常勤】約338,440円

【非常勤】約238,310円

介護福祉士

(ケアワーカー)

  • 食事や入浴、歩行・排泄などに関し現場スタッフを指導
  • 現場の状況に精通し、運営を円滑に進める
  • 介護施設での業務経験、高校の福祉課などで教育を受け、国家試験に合格する
  • 厚生労働大臣指定4年制大学・短期大学などで教育を受けている(将来的には国家試験に合格が必須となる)
  • 難易度★★★★☆
 【常勤】302,550円

【非常勤】236,640円

 社会福祉士

(ソーシャルワーカー)

  • 支援を要する人の相談に乗る
  • 対応相談内容は、障害福祉・高齢者福祉・生活保護と幅広い
  • 成年後見人制度の「後見人」となれる
  • 4年制大学ないしは短期大学で指定科目修了し、実務経験を積む
  • 国家試験に合格、登録
  • 難易度★★★★★
 【常勤】323,570円

【非常勤】280,240円

※非常勤は平成27年度の数値

2-2.特定の分野で能力を発揮する仕事

介護の現場では、医師などの指揮下で要介護者の状態に合わせたケアや措置をする専門家も必要です。実際に要支援者・要介護者のこころと体に触れ、求められる支えを提供する面から、常に学び、最新の“手法”を身につけておくことが不可欠です。

以下の仕事もまた、専門知識取得に加え国家試験に合格しなければなりませんので、難易度は高めです。医師などの指導のもとリハビリなどを行うと同時に、要介護者の状態をつぶさに観察しなければなりませんので、細かな配慮も必要な仕事です。要介護者と接することも多くあり、ケアプログラムを理解してもらえない・ケアの辛さにより要介護者から暴言を受けるといったこともあります。

仕事 仕事内容 資格取得の方法と難易度 給与(月給)
精神保健福祉士

(PSW/精神科ソーシャルワーカー)

  • 認知症ないしは精神的障害のある方の状態を見守り、どんなケアが必要かを考える
  • 家族からの相談に乗る
  • 施設などでは、要介護者同士のコミュニケーション促進をはかる
【常勤】289,166円

【パートなど】122,083円

理学療法士

( PT/フィジカルセラピスト)

  • ケガ・病気・障害・老化からくる体の機能を維持ないしは回復させる
  • 運動療法を用い、日常生活がスムーズに送れるよう考える
 【常勤】335,250円

◎【非常勤】1,000円~/時給

作業療法士
  • 日常の基本動作の回復・衰えを防止する
  • こころ(脳)の問題も取り扱い、質の高い暮らしを続けられるようサポートする
【常勤】335,250円

◎【非常勤】1,300円~/時給

言語聴覚士

(ST)

  • 言語や飲み込みに関連の深い口周りの能力を維持する
  • 衰えが見られるときは、積極的なリハビリで機能回復を目指す
  • 指定された大学・短期大学・専門学校で学ぶ
  • 一般4年制大学卒業後、大学の専攻科を修める
  • 国家試験に合格
  • 難易度★★★☆☆
 ◎【常勤】25~30万円

◎【非常勤】1,200円~/時給

柔道整復師
  • 転倒による脱臼や骨折の応急措置
  • 医師の指導の下で機能回復の手伝いをする
  • 指定された大学ないしは専門学校を卒業
  • 国家試験に合格
  • 難易度★★★☆☆
◎ 【常勤】20~28万円

◎【非常勤】1,400円~/時給

2-3.介護の最前線で要介護者の生活をがっちり支える仕事

直接要介護者のお世話をする人たちなくしては、介護の現場は成り立ちません。その分、大変な面はありますが、逆に「人の役に立っている」という充実感を得られるのもこれらの仕事のよいところです。自分自身の“特性”とマッチすれば、よりやりがいを感じられることでしょう。

しかしながら、他の仕事(資格)とは異なり、資格単独で評価され就職や転職できるわけではありません。資格手当てに反映されるタイプのものですので、ステップアップのために取得すると考えてください。これらの仕事は「介護の最前線」ともいえる場所で行うものです。要介護者が認知症の場合、お手伝い・お世話の意味を理解してもらえず暴言・暴力を受けることもしばしばあります。

仕事 仕事内容 資格取得の方法と難易度 給与(月給)
介護職員初任者研修

(旧ホームヘルパー2級)

 

  • 訪問介護において、食事や掃除、入浴や排泄の手伝いをする
  • 「介護職員初任者研修」(130時間)ないしは「実務者研修」(未資格者450時間)受講
  • 修了証明書取得
  • 難易度★☆☆☆☆
【常勤】273,970円

【非常勤】183,990

実務者研修

(旧ホームヘルパー1級)

  • 訪問介護において、食事や掃除、入浴や排泄の手伝いをする
  • 痰の吸引や経管栄養についての知識を持てる(認定特定行為行為業務従事者認定証を得て実施)
  • 資格なし(450時間)/ホームヘルパー3級(420時間)/ホームヘルパー2級(320時間)/ホームヘルパー1級(95時間)/介護職員基礎研修(50時間)を受講
  • 終了証明書取得
  • 難易度★★☆☆☆
【常勤】285,310円

【非常勤】205,820円

行動援護従事者養成研修
  • 認知症により問題行動を起こしがちな要介護者を支える
  • 家庭内や外出先でのサポートを行う
  • 「行動援護従事者養成研修」(24時間)受講
  • 修了証明書取得
  • 難易度★☆☆☆☆
◎【常勤】16~23万円

◎【非常勤】900円~/時給

介護予防運動指導員
  •  歩く・食べるなど生活に不可欠な運動が続けられるよう運動の指導
  • 介護予防プログラム立案、他の専門職員との連携
  •  「介護予防運動指導員講座」(31.5時間)受講
  • 旧ホームヘルパー2級ないしは介護職員初任者研修修了者(2年以上実務経験)
  • その他医療分野における国家資格取得者
  • 難易度★★☆☆☆
 ◎【常勤】22万円~30万円

◎【非常勤】1,000円~/時給

福祉用具専門相談員
  • 車椅子や電動ベッドなどの介護用具についての相談
  • 介護保険でカバーできるかなどの相談
  • 都道府県知事指定の研修事業者の講習を受け筆記修了評価をパスする
  • 看護師/保健師/理学療法士/作業療法士/介護福祉士な受講の必要なし(福祉用具貸与販売事業者での相談対応のみ)
  • 難易度★☆☆☆☆
◎【常勤】22万円~25万円

◎【非常勤】900円~/時給

3.介護の現場に立つとき「資格取得」から得られるメリット

どのような仕事でも「資格あり/なし」は就職や転職の際にメリットとなります。しかしながら、働きながらでも資格を取得したいと願う方は、さらなるステップアップを目指しているのではないでしょうか。

たとえば、「社会福祉士」「介護福祉士」を取得した人はどうなのでしょうか。ある調査からみてみましょう(社会福祉士・介護福祉士就労状況調査結果(平成27年度)│公益社団法人社会福祉振興・試験センター)。

3-1.【期待】資格取得の動機

社会福祉士・介護福祉士就労状況調査結果(平成27年度)│公益社団法人社会福祉振興・試験センター

特に多かったのは

  • 専門職としての知識や技術を得るため
  • 就職や転職に有利なため

でした。

3-2.【結果】資格取得をしてよかったこと

社会福祉士・介護福祉士就労状況調査結果(平成27年度)│公益社団法人社会福祉振興・試験センター

資格取得で得られたことは

  • 知識やスキルが体系化された
  • 給与や手当てに反映された
  • 就職や転職の際に有利になった

比較的期待度が低かった「資格手当て・給与への反映」が満たされたうえ、これまで細切れだった知識や経験が“統合”され、より仕事への理解が深まったという結果となりました。これこそまさにスキルアップ・ステップアップですので、より自信を持って仕事に臨むことができるようになったことでしょう。

まとめ

介護の仕事は、「未経験・無資格」から始められるものもあります。しかしながら、やはり経験や知識を身につけておくことで、よりよい滑り出しが出来ることは間違いありません。また、介護の現場で頼りにされることも多いので、早くからやりがいを感じられることでしょう。

今回の記事では一般的に介護職で経験することや持っておくと有利な資格、そしてその資格の取得方法などをご説明しましたが、特にご記憶いただきたいのは以下の5点です。

  1. 介護の仕事は「人と接すること」が基本。時にパワハラと感じられることにも遭遇するが、「要介護者の願いをかなえる仕事」であると自負できればやりがいも
  2. ケアマネージャー・介護福祉士・社会福祉士などは国家試験を受けなければならず資格取得難易度が高い。しかしその分給与は高く、介護の仕事には有利
  3. 精神保健福祉士・理学療法士・作業療法士などは資格取得難易度高め。給与も比較的高い上に、専門知識を活用して要介護者の求めに積極的に関われる
  4. 介護職員初任者研修・実務者研修・介護予防運動指導員などは資格取得難易度中~低。日頃の介護・支援をより深く知ることができ、お世話をしている方に安心を感じさせられる
  5. 特定の資格取得を目指すことは、知識を深め、就職に有利との結果が。仕事をしながら学べる・取得できる資格があれば積極的にトライすることは有益